金融危機で韓国を支え続けた日本。なのに今では“日本のせい”

 

日韓関係の命運を左右する、運命の日はあした。

元徴用工裁判で韓国の原告側が差し押さえている日本企業の財産を、8月4日から現金化することが可能になるのだ。
といってもすぐに現金化されることはなく、なんだかんだで年末ごろか、ひょっとしたら現金化されないんじゃね?という見方もある。

この問題については、解決済みの問題を蒸し返した韓国側に責任がある。
そのことと、日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決を「国際法違反」と指摘したうえで、夕刊フジの記事(8/1)で日本の専門家は事実上の金融制裁が最強のカードだと提言する。

やられたらやり返す!「元徴用工問題」蒸し返す韓国に金融制裁だ 日本企業の資産現金化に対し「銀行のドル資金枯渇作戦」 識者「韓国は国家破綻に」

 

もし日本企業が実害を受けることになったら、日本政府も「報復措置」を取らざるを得なくなる。
ここまでされて「極めて遺憾の意」を表明しただけで終わったら、国民の怒りによって安倍政権が終了してしまう。
でも、韓国文政権は動かざること山のごとし。
このまま文政権が現金化を黙認するだろうと想定して、いま日本政府はそのあとの具体的な方策(つまり報復)を検討しているところだ。

毎日新聞の記事(8/1)

菅官房長官 元徴用工問題「方向性出ている」 対抗措置示唆で韓国側けん制

くわしい内容について菅官房長官は、「現時点で国にとって不利になる発言はすべきではない」と明らかにはしなかった。(そりゃそうだ)
さっき検討中と書いたけど、もうその段階は終わって、いまは「命令待ち」の状態かもしれない。

 

韓国への対抗措置として、何が効果的なのか?
言い換えれば、韓国は日本に何をされると嫌がるのか。

先ほどの夕刊フジの記事で、韓国の延世大学に留学し、東京三菱銀行ソウル支店で主任支店長代理などを務めた経験のある韓国経済のエキスパート・真田幸光教授(愛知淑徳大学ビジネス学部)が韓国が震え上がるようなことを話している。

「恒常的にドル資金不足の韓国は、ドルが枯渇するとキャッシュフローが回らず、国家破綻に陥る状況にある。ドル資金に余裕のある日本の銀行は、韓国の銀行に貸し付けて運用しているが、日本の金融機関が超短期のドル資金を融通しなくなるだけで、一日にして韓国の銀行はデフォルト(債務不履行)に陥ってもおかしくない」

 

日本の金融機関が「その気」になれば、韓国の銀行からドル資金が消えて国家破綻に直面する可能性がある。
本当に国家旗破綻することにはないとしても、韓国にとってはかなりのダメージになるはず。

お金を貸してくれている相手を、なんで本気で怒らせるのか?
でも、反日強硬の文政権を止められる人は韓国にはいない。

ただ真田氏がここまで言うのは、あのときの「恨み」があるせいかもしれない。

 

韓国は1997年に、『朝鮮戦争以来、最大の国難』と言われる経済危機におちいった。
倒産する会社は相次ぎ、株価は暴落して外資が一斉に引き上げて、韓国中央銀行の外貨準備は底をついてしまう。
韓国は自力での立て直しを断念して、国際通貨基金(IMF)へ救済を要請した。

嵐が去ったあと、韓国側はこの屈辱的事態の原因を次のように指摘する。

「日本系の金融機関が、日本国内の予想外の金融事情から短期債権の満期延長を拒否し、1997年11月~12月に急に70億ドルを回収していったのが金融危機をもたらした原因だ」

アジア通貨危機・韓国

 

この見方に真っ向から反論するのが先ほどの真田氏。
金融危機当時、東京三菱銀行の韓国担当だった真田氏は日経ビジネスオンラインの記事(2015/3/5)でこう語る。

米欧が貸しはがす中、我々は最後まで引かなかった。「日本が引き金になった」とは言いがかりも甚だしい。これだけは記録に留めていただきたい。邦銀の担当者は本店を説得し、欧米が逃げた後も最後まで韓国にドルをつないだのです

「人民元圏で生きる決意」を固めた韓国 「日韓スワップ終了」を真田幸光教授と考える

あのとき最後まで韓国を支え続けていたのが日本。
これは記録にも記憶にも刻んでおこう。

 

いまの韓国社会での見方はこの反対。
1997年の金融危機は、この中央日報の記事(2015.02.17)のように日本のせいにするのがほとんど。

韓国は1997年通貨危機以降、通貨スワップを模索し始めた。日本が100億ドルに達する資金を韓国から引き出していったことが通貨危機を触発した決定打となった

「葛藤の溝」深くなった韓日、通貨スワップ終了

 

きょねんも中央日報はコラム(2019年07月15日)で「1997年に韓国通貨危機に追い込んだ国も日本だ」と非難した。

日本の経済戦争の挑発、日本よりも考えてこそ勝つ

 

でも真実はこの逆にある。(と少なくとも日本ではみている)
欧米の金融機関が見放すなか、最後までドルを貸し続けていのが日本の銀行だったから、当事者の真田氏は「韓国の歴史認識は完全に誤っています」と憤慨する。

真田氏の話では、金融危機がおきたころは「日本は最後まで面倒を見てくれた」と話す韓国人もいたらしい。
でもそんな声は韓国社会から次第に消えていき、いまでは日本が悪者にされている。

それで日本の金融界には「恩を仇で返された」との思いが強いという。

 

8月4日以降に韓国側が日本企業の財産を現金化した場合、それに対する日本の報復として、

「日本の金融機関がドル資金を融通しなくなるだけで、一日にして韓国の銀行はデフォルト(債務不履行)に陥ってもおかしくない」

と真田氏が提案した背景には、「恩を仇で返された」という思いがあるのでは。

 

 

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3 件のコメント

  • だから、韓国を助けるべきではなかったという教訓ですよね。
    いつも思います。
    日本がおめでた過ぎる。
    そういう意味では、日本の方も悪いですよ。

  • 以下、Wikipediaより:

    > 姜慶植は金泳三政権での経済担当であったが、金大中政権が開催した「IMF危機事態の責任」を問う国会聴聞会でにおいては「日本系の金融機関が、日本国内の予想外の金融事情から短期債権の満期延長を拒否し、1997年11月~12月に急に70億ドルを回収していったのが金融危機をもたらした原因だ」と決めつけ、「それを予測出来なかったのは当たり前で自分たち金融当局には直接の責任は無い」と主張した。この主張に対し、前政権を追及したかった金大中政権は、欧米系金融機関が資金を引き揚げたのに対し、日本系金融機関は、最後まで韓国金融機関への協調融資に応じていたと明らかにし、激しく非難した。

    上記で、金大中政権の主張は、この記事の中にある日系金融機関の見解とも一致していますね。

    この姜慶植という男、自分の責任逃れをするために金融政策の失敗を日本へ押し付けたのです。
    後日、自分で、「あの金融危機の原因は韓国内の改革の遅れがもたらしたもの」と正直な考えを白状している。
    ただ、それも既に「日本犯人説」が韓国内に広がってしまってからの話です。そうなってから「自分は嘘を言ったわけではない、考えが変わったのだ」と言い訳する、
    こういうのが政治家・官僚の代表なのだから。
    自分の失敗は自分で拭きなさい。

  • もっと単純な「なぜ欧米が撤退したのか?」という疑問に記者と呼ばれる人たちがたどり着かないってとこに疑問をもたざるをえない

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。