【2つの地雷】アホ日本人がミャンマー人を激怒させた背景

 

タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス、マレーシアなどを旅してきたボクの経験からいうと、「東南アジアで最も怒らない国民」はラオス人とミャンマー人が双璧。

この2国で、怒鳴り声をあげる人やケンカをしている人を見た記憶はなくて、ホテルやレストランの従業員はいつもおだやかでニコニコしている。
でも気を付けないと、ときどきボラレル。

 

ミャンマーの人たちはバスに乗るとき、15分先か1時間先か、いつ来るかわからないバスを根気強く待つ。というより、一緒に待っている人とおしゃべりをはじめてのんきに待っている。

これはどこまで正確か分からないけど、RPGのレベル上げで例えるなら、危険な敵との戦いは避けてチート行為をすることもなく、スライムをひたすら倒し続けるのがミャンマー人だ。

ミャンマー人の日本語ガイドいわく、この国の人たちは熱心な仏教徒で因果応報を深く信じている。
だから他人にやさしくしたり怒ったりすれば、それはいつか自分に返ってくると考えていて、みんなおだやかな気質をしている。

 

最近、そんなミャンマー人を激怒させたアホな日本人を発見。
日本人とミャンマー人が交流するSNS上のグループで、「恋人が出来ました。」というメッセージと一緒に、若いころ(20代?)のこの人の写真を投稿しやがった。

 

 

新しい恋人というのがオバマ元大統領だったら波乱はないけど、アウンサンスーチー氏の写真を見せてそう言うからミャンマー人を立ち上がらせる。
「写真の女だれかしてますか?」といった残念な日本語もあったから、修正を加えたコメントを以下に載せよう。

・あなた誰ですか?本当に日本人ですか?どういう意味で写真を載せて変な言葉を使っているんですか?写真の女性は誰か知っていますか?

・てめぇ
バカじゃないの😡?冗談じゃないぞこれは😤

・言葉づかい気をつけや。
どういう意味でスーチさんの写真載せてるか、よくわからんけど、ほんまにやめてほしい。ミャンマーの国民達に迷惑やで。

・テメ、ぶっ〇すぞコラ!!

・ミャンマーのことをちゃんと分かっていらっしゃるでしょうか?もし、分かっていらっしゃってないなら、ただアメリカのニュースや他のニュースだけでミャンマーのことを判断するべきではないと思います。ミャンマーのことは、ミャンマーの土地で実際に住んでいる人がよく知っています。

・ロヒンギャ問題はもちろんあります。では、全てのロヒンギャをあなたが日本に呼び寄せてください。住む所、職まであなたが提供してやってあげてくださいよ。

 

アウンサンスーチー氏は「建国の父」と言われる国民的英雄・アウンサン将軍の娘で、いまは実質的にミャンマーのトップにいる人。
彼女は軍事政権時代にミャンマーの人権と民主主義を守るために行動して、政権側を怒らせたことで10年以上、自宅に軟禁されていた。
それでも圧力に屈することなく抵抗をつづけ、ついにミャンマーに民主主義をもたらした人物だ。

 

 

アウンサンスーチー氏が自宅軟禁されていたころのミャンマーに行ったとき、彼女の写真を神さまのように壁の上に貼っている商店や食堂をよく見た。
ちなみに日本軍の軍服を着ているのが父親のアウンサン将軍。

 

その功績によってアウンサンスーチー氏はノーベル平和賞を受賞して、ロンドンやパリの名誉市民に選ばれるなど海外でも高い評価をされていたから、国民にとって彼女の存在は誇りでもある。

「恋人が出来ました。」と言ってミャンマー人の名誉を汚すから、「バカじゃないの😡?冗談じゃないぞこれは😤」という声が飛んできたのだ。
ミャンマーの人たちは基本おだやかだけど、愛国心はとても強いからそれが地雷になりやすい。

具体的にはロヒンギャ問題だ。
国内にいるロヒンギャの人たちにミャンマー政府が弾圧を加えたとして、欧米からアウンサンスーチー氏がその責任を問われている。
それが原因でノーベル平和賞のはく奪を求める運動が盛り上がって、ロンドンとパリの名誉市民は取り消された。
こうした国際社会の外圧と比例して国内では、アウンサンスーチー氏を守り抜こうとする国民の気持ちが高まっている。
だから下手に彼女とロヒンギャ問題に触れると、おだやかなミャンマー人も一瞬で爆発する。
あのアホ日本人がしたのがまさにそれですよ。
このタイミングであの投稿をするのは、ロヒンギャ問題をからめてミャンマー人を批判・挑発する意図があったはず。

 

では最後に、ロヒンギャ問題について書いたミャンマー人のコメントを紹介しよう。
これはいまのミャンマー人の気持ちをストレートに表していて、アウンサンスーチー氏を守ることが国を守ることにつながるのわかるが思う。

「私達ミャンマー国民はロヒンギャのことをミャンマーの国民だと認めたことは一度もありません。顔や宗教も全然違います。
彼らはバングラディシュから船でミャンマーに違法で入って来て、住んでいる人達です。それだけではなく、彼らの出生率が高いため、彼らが住んでいるミャンマーのその地域に元々住んでいたミャンマー国民達が困っています。そのことはご存知でしょうか。

しかも、彼らの人口がその地域にどんどん増え、その地域の元々のミャンマーの国民を殺したり、地域を奪ったりしていました。そのことに誰が耐えれますか?
ミャンマーの立場に日本だったら、それは許せますか?
『そんなこと、ニュースに出てないよ』と言うかもしれないけど、世界のニュースって本当に信じられますか?私達は本当のことを実験した人達です。ニュースなんかただの浅い作り物です。数年間前、インドとかで起こった酷い事件の写真もロヒンギャの写真としてニュースに載せて、ミャンマーを訴えているニュースも見たことあります。

知っておきたいことはその人達は私達の地域へ違法で入り込んで、住んで、本当の国民の土地を奪って強くなっていることです。
もし、他人の国を判断したいなら、国民の本当の声も聞いてみてください。片方だけ見て、浅いニュースだけで判断するんだったら、それはやめてください。この問題はミャンマーの政治や軍隊がロヒンギャを殺しているじゃなくて、彼らに自分の国に戻って欲しいだけです。それが、ミャンマー国民達の希望でもあります。」

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。