初のWTO事務局長? 高まる韓国の期待と日本の当たり前反応

 

「我々は「韓国人事務局長の誕生」のニュースを待ちわびている。」

韓国のハンギョレ新聞がいまの政府・国民の期待感をこう表現した。(2020-10-24)

[記者手帳]来週WTO事務局長選の手続き終了…韓国政府、ユ候補者の支援に総力

4カ月ほどまえ、世界貿易機関(WTO)の次期事務局長をきめる選挙に韓国のユ・ミョンヒ氏が名乗り出た。
いまは国内の通商交渉本部長をしているユ氏は、これから韓国人としては初めてWTOのトップになるかもしれない。

 

「国益を最大限にし、我々の通商力量を強化する方案として、ユ本部長をWTO事務局長の候補として立てることにした」と言って送り出した韓国通商当局の期待に応え、ユ氏はここまで勝ち残ってついに最終ラウンドの舞台に立った。
最後の相手は世界銀行副総裁を務めたナイジェリアの候補者で、どちらかが次のWTO事務局長に選ばれる。

ハンギョレ新聞の記事によると、8人が出馬した今回の選挙で当初は「当選確率が低いとして、外交側が消極的な態度を示した」 と政府内でユ氏を推す雰囲気はあまりなかった。
でもユ氏が勝ち上がっていき、ついに最後の一騎打ちにまで進むと政府の空気が一変。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今週だけで、インド、デンマーク、ルクセンブルク、イタリア、エジプト、オーストラリア、ブラジル、マレーシアなど10カ国の首脳と電話会談し、ユ・ミョンヒ本部長の支援に総力を挙げた。

 

これでユ氏が勝利したら、大韓民国大統領のパワーを国民に見せつけられて政権の支持率アップが期待できる。
良いか悪いかは別として、自分の利益になると判断したら、文大統領は手のひら返しを恥ともせずに全力で応援してくれる。
それでいまは、「貿易・通商事案を越え、韓国とナイジェリアで国のプライドがかかった外交イシューとなっている」という状態。

結果は、今月28日から11月7日までには判明する見通しだ。
全韓国がいま勝利の一報を待っていて、もうシャンパンとマッコリの準備はできているはず。

 

そんな隣国に対する日本の反応がこれ。

共同通信の記事(2020/10/25)

日本、韓国候補を不支持へ WTO次期事務局長選

日本政府はナイジェリアの候補を推すことにした。
でも、見出しに「日本、ナイジェリア候補を支持へ」ではなくてこういう書き方をすると、韓国を支持しない日本に不満があるようだ。

でも不支持の理由は簡単明瞭。

韓国は日本による輸出規制強化を不当としてWTOに提訴しており、韓国候補が当選した場合、紛争解決手続きの公平性に影響しかねないと判断したもようだ。複数の政府関係者が25日、明らかにした。

輸出管理を輸出規制とするのは韓国サイドの表現じゃないですか。

 

日本の輸出管理強化を、韓国最高裁の判決に対する報復措置とみて激怒した韓国側は、きょねんこの問題をWTOに提訴した。
例え“報復”であったとしても、これについては、日韓の合意を破って国際法に違反する判決を出した韓国側が悪い。

とにかくこれから日本はWTOを舞台に韓国と争うことになるのだから、この提訴を主導したユン氏がその事務局長になったらたまんない。
WTOに中立・公平を期待する日本がナイジェリア推しになるのは、水が高いところから低地に流れるようなもので、この逆がおきたらワケがわからない。

 

一面トップで伝える中央日報

 

百歩ゆずってユ氏や韓国政府が、提訴と事務局長就任を分けて考えていればよかったけど、韓国側はユ氏が出馬したときから、立場を利用して裁判を自国有利に進める気マンマンだった。

「wowkorea」の記事(2020/06/24)

今回、ユ本部長が当選する場合、日韓の貿易摩擦の焦点となっている日本の「ホワイト国」論に対して韓国の反論を国際社会にアピールしやすくなると予想される。

「日本のホワイト国論に対抗?」韓国、通商交渉本部長をWTO事務局長の候補者に…今日、出馬宣言

 

そもそもはじめから韓国通商当局は、「国益を最大限にし、我々の通商力量を強化する方案として」と言っていた。

あちらはこういう期待をもってくれているのだから、「日本、韓国候補を不支持へ」は当たり前。
韓国側も、さすがにこうなることは分かっていただろう。

 

不幸は友だちを連れてくるらしい。
いまニュースを見たら欧州議会(EP)も、「エネルギー」を持ち「仕事への能力が備わっている」という理由でナイジェリアの候補者を選択して韓国不支持を決めた。
欧州連合(EU)に対し、ナイジェリア候補への支持を表明するよう要請したという。

「これはいける!」と思ったら態度を一変させて、全力で支援してきた文大統領にいきなり強烈な逆風が吹き始めた。
でも文大統領は負けない。
中央日報/韓国経済新聞の記事(2020.10.26)

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は過去一週間8カ国の首脳と電話会談を行って世界貿易機関(WTO)事務局長選の最後の総力戦を繰り広げた。相手候補に比べて劣勢という評価を得た兪明希氏が政府の全面的な支持の下に逆転勝利を収めることができるか注目が集まる。

文在寅大統領、8カ国首脳と「兪明希氏支持」電話会談

 

直接関係ないのに、日本でもこの結果にいま注目が集まっている。
盛り上げ上手の文大統領にはエンターテインメントの才がある。
さて、「我々は待ちわびている」という韓国の期待に世界はどう応えるか。

 

 

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