文大統領に冷ややかな日本。「決意を示す!」という無意味

 

大前研一氏によると、人間が変わる方法は次の3つしかない。

・時間配分を変える
・住む場所を変える
・付き合う人を変える。

この3つの要素でしか人は変わらない。
そしてもっとも無意味なことは「決意を新たにすること」という。

なるほどなるほど。

 

さて、話は変わって隣国さん。
慰安婦問題や徴用工問題なんかで、いま戦後最悪の関係といわれる最近の韓国で変化があった。
文大統領が先日、これらの問題について、いままでの見解とは大きく違う認識を示して日韓で大きな注目を集めた。

韓国の最高裁判所が徴用工訴訟で、日本企業に賠償を命じる判決を出したことについて、韓国側はこれまで日本企業の賠償を前提にした提案ばかりをしてきた。
でも、それはおかしい。
徴用工問題は日本との話し合いによって、韓国政府がすでに解決を確認したのだから、いまになってその合意をひっくり返した韓国側に問題解決の責任があるはずだ。

でも文大統領は「司法に介入することはできない」とこの問題を事実上、放置してきたことで、韓国内にある日本企業の資産が現金化される可能性がかなり高まってきた。
もしこれが行われたら、日本の報復&韓国の報復返しは避けられず、日韓関係は「ご臨終」となってしまうかも。
それでも文大統領はこれまで問題の解決に動かなかったのだけど、先日、現金化されることは「韓日両国間の関係において望ましくない」と明言した。
いままでの「我関せず」の態度に比べると、しっかり意思を示した格好だ。

そして慰安婦問題でも考え方に変化がみられた。
日韓慰安婦合意について、2018年に文大統領は「合意は真実と正義の原則に背き、内容と手続きともに誤り」だったと発言。
でも今回は「両国政府間の慰安婦問題に関する合意は公式的な合意だった」と、これまでの否定的な見方をクルリと翻し、国民の前でこの合意の意義を認めた。
そして慰安婦問題は「慰安婦被害者も同意できる解決法を見いだすように韓日間の協議をしていく」というつもりらしい。

そして日本との関係では「過去は過去であり、韓日間で未来志向的に発展していくべきことはそれとして進めていくべき」という。
まぁこの発言はこれまでと変わらない。

 

だがしかし、いままでと比べると、今回の文大統領の態度には確実に韓日関係を改善しようとする意図がみえる。
では、日本政府はこの言葉をどう受けとめたのか?

ある外務省幹部は「文氏が現金化への危機感を表明したのは前進」と一定の評価はしたものの、「大統領の発言は行動が伴わなければ信用できない」と突き放す。
韓国政府に対する日本の不信感はかなり強そう。

文大統領の発言について茂木外相は記者会見で、「姿勢の表明だけで評価を行うことは難しい」と評価を保留する。先ほどと同じく、韓国を突き放したようなものだ。
その理由はこれだろう。

「ここ数年、韓国によって国際約束が破られ、二国間合意が実施されていない状況がある」

「懸案解決のための韓国側からの具体的提案を見て評価したい」ということで、日韓関係の改善のためには「韓日間の協議をしていく」の前に、まずは韓国側がそのための具体的提案をしないといけない。それが日本の立場だ。
国と国との約束を破り、国際法に違反したのは韓国という事実は動かない。である以上、いまの日本の態度も動かない。

これは日本の反応を伝える韓国メディア・中央日報の記事(2021.01.19)

外務省内では「真意が分からない」とし、韓国政府への不信感を表す声も出ていると、時事通信は伝えた。(中略)首相官邸のある幹部も「大事なのは何らかの行動をすること」と文大統領の今回の発言を低く評価した。

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日本が求めているのは言葉じゃなくて行動。
文大統領がキレイなことを熱を込めて言ったとしても、検討に値する具体的な解決策を韓国が出さない以上、いまの日本との関係は変わらない。

でも残念ながら、それは韓国側にはあまり伝わっていないらしい。

韓国与党のキム・テニョン院内代表は、「(文大統領が)日韓関係正常化に対する外交的意思を明らかにしただけに、菅義偉首相の前向きな答えを期待する」と述べた。
いまの韓国がすべきことは「期待」ではない。

だがそれ以前に、いちばん無意味なことは「決意を新たにすること」と大前氏は言っている。
「意志を明らかにした」だけでは意味がないのだ。
特に約束をしても守らない韓国に対して、日本の「信頼」というヒットポイントはゼロに等しい。
言葉の力をなくしたのはこれまでの自身の行動なのだから、韓国政府はこれからその逆をしないといけない。
「未来志向的に発展していくべき」「進めていくべき」というのが本気なら。
意思や決意の表明だけなら、「本気は来月になったら出す!」という「やるやる詐欺」と変わらない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。