【メンツは命】日本が先に申し出たから、韓国は受け入れた。

 

近く、10年ぶりの日韓戦が行われるかもしれない。

中央日報の記事(2021.03.04)

<サッカー>韓日親善試合、10年ぶり開催か

正確に言うとサッカー日韓戦は東アジアカップであったけど、「親善試合」は2011年8月を最後に行われていない。
このときまで日韓関係はわりと良好だったのに、翌12年に李明博元大統領が竹島に上陸し、日本を激怒させて蜜月は終わった。
これと親善試合のストップには関係があるかもしれない。

さて今月は、カタールワールドカップの2次予選を行わないことが確定しているから、いま大韓サッカー協会(KFC)と日本サッカー協会(JFA)が日韓戦の開催を話し合っているらしい。
その運命の日は25日が有力視されている。
それはいいんだが、記事のこの表現が気になった。

JFAの実務陣が先に親善試合の開催を提案してきた。続いてJFAの正式公文書がKFAに届き、親善試合の推進が公式化された。

 

日本が先に試合を申し込んで、公式文書を送付して、韓国側はそれを受け入れて話が公式化した。
何気ない文章に見えるかもしれないけれど、「神は細部に宿る」(God is in the details)と言うではないか。
本当に大事なポイントは見えにくいところ、見過ごしやいところにあるのだ。

 

相手が日本となると韓国さんの場合、どちらが先かという「順序」にこだわる。それに異常に。
韓国はメンツを超大事にしていて、特に日本が相手なら「じゃんけんでも負けられない」といわれるほどだ。

「こちらが先に言い出したら負け。メンツを失ったら、時にそれは「死」を意味する。だから何とかして日本を動かして、「日本の申し出にこちらが応じた」という形をつくって国民に示さないといけない。」

そんなことをけっこうホンキで思っているんじゃないだろうか、隣人は。と思ってしまうことが多々ある。

 

日韓通貨スワップ協定をめぐる「日韓戦」でよくそんなことがある。

2012年に総務大臣政務官だった片山さつき総務大臣政務官が、

「『日韓双方に利益があるなら』なんて、とんでもない。日韓通貨スワップの実質は、日本による韓国への信用補強です」

と正確・無慈悲に否定したように、これは実質的に日本による韓国支援になる。

韓国企画財政省のソン国際金融局長が「可能であれば通貨スワップ枠を維持することが望ましい」と述べたものの、2015年にスワップ協定は終了する。
この決定には竹島上陸の影響もあったはず。
その後、また協定を締結しようという話が持ち上がったけれど、韓国の市民団体が慰安婦像を建て、政府がそれを黙認したことで日韓の信頼関係は崩壊、通貨スワップ協定の話も霧消する。

これを結びたいのは当然韓国側で、喉から手が出るほどの思いだけど、「韓国が先に申し出た」という姿を見せるわけにはいかない。

 

終了の2年後、中央日報の記事(2017年01月07日)よると韓国側は、「国民の自尊心を傷つけながら通貨スワップにこだわる理由はないと判断した」ということだったが、韓国経済がその自尊心についていけなかった。
経済はかなり悪化していたけど、でも、でもこちらから先に「スワップ協定」を言い出すわけにはいかない。
それで韓国側の担当者はこう発言した。

宋寅昌次官補は「今後日本が望むなら通貨スワップ協議を再開することができる」と述べた。

韓国、外貨準備高3711億ドル…「韓日通貨スワップにこだわる理由ない」

 

順序はメンツ。
そしてメンツは命だから、これだけは失うわけにはいかない。
「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」の思いだ。

さて日本の立場はというと、その答えは2020年の中央日報の記事にある。

麻生氏、韓日通貨スワップに言及 「誰が頭を下げて金を貸すか」

通貨スワップ協定の再開を求める声が韓国から上がっているが、どう思うか?という質問を受けた麻財務大臣は、それについては6~7年前に韓国に『大丈夫か』と確認したと話す。
そのあとは「麻生節」をどうぞ。

「その時、『本当にいいのか』と聞いたら、韓国は『(どうか)借りてくださいと(日本が)言うなら、借りることもやぶさかではない』と答えた。(金を貸す側が)頭を下げて『借りてほしい』などという話は聞いたことがない。(それで)交渉テーブルを蹴って(交渉から)撤収した。それで終わりだ。スワップに対して韓国との間にあったのはそれが最後だった。今はどうなっているのかよく知らない」

 

「今後日本が望むなら通貨スワップ協議を再開することができる」
「どうか借りてくださいと言うなら、借りることもやぶさかではない」

これが大韓民国のメンツでこちらから先に、公式に話を出すことは「国民の自尊心」を傷つけてしまうからそれはできない。媚びぬ省みぬ。
こういうあちらの価値観がわかるとサッカーの試合でも、日本が先に親善試合の開催を提案し、続いて正式公文書を韓国側に送ったことで、「親善試合の推進が公式化された」と書く理由も見えてくるだろう。
順序や表現など、日本からしたらどーでもいい細かいところに、あちらには絶対に譲れないメンツという「神」が宿るのだ。

 

 

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1 個のコメント

  • まー別に、どっちが先に申し入れようが構わないとは思いますが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。