前回も書いたのだが、いま韓国の人たちの中国を見る目は冷え切っている。
韓国では日本よりも、中国に対する印象の方が悪いのだ。
そうした認識はこんなことの積み重ねの上にある。
2020年の7月、歌手のイ・ヒョリさんが韓国のバラエティ番組で、中国での自分の芸名に「マオはどうですか」と言ったところ、「毛沢東主席をバカにした」と中国のネットユーザーから猛批判をうけた。
イさんはその後、インスタグラムを閉鎖。
その1カ月後にはBTS(防弾少年団)のメンバーが朝鮮戦争について、「(米韓)両国がともに体験した苦難の歴史」と発言し、「中国に礼儀を守れ」「歴史を正しく知れ」と中国のネット民から激しい抗議を受けた。
*中国で朝鮮戦争は『抗美援朝戦争』と呼ばれ、アメリカ(美国)の侵略に対して北朝鮮を守るために中国が戦った正義の戦争とされている。
中国のこうした反応は韓国社会に大きな衝撃だったという。
ネットで「盲目的に愛国し、狂的に外国を排斥し、自由主義的知識人を攻撃する」若い人たちを「憤怒青年」というらしく、そんな青年についての本を書いた韓国の専門家(キム・インヒ東北アジア歴史財団研究委員)のインタビュー記事が中央日報日本語版にある。(2021.03.29)
BTSやイ・ヒョリを攻撃した中国「憤怒青年」…誰が彼らを育てたのか
韓国の専門家はこう分析する。
・憤怒青年は、世の中が中国を尊敬し、中国が要求することに応じるべきだと考える。
・世の中が中国を尊敬せずに望み通り従わないことに対して怒っている。
・外国に対するやり方が非常に攻撃的で排他的だ。今の中国の若者世代は幼稚園の時から愛国思想を注入された世代だ。
エンターテインメントなどの韓流文化が世界で認められることを『憤怒青年』は不快に思っていて、いまでは歴史問題では日本より、韓国の方を嫌っているという。
中国の『偏狭な民族主義』や『行き過ぎた愛国主義』を非難する動きは韓国では前からあって、きょねん中央日報日本語版はこんなコラムを載せていた。(2020.10.20)
知識界は中国の歪曲された歴史認識と自己中心的な二重のものさしに対する対応論理を開発し厳しい忠告を与えなければならない。
【リセットコリア】中国のずれた愛国主義、駄目なものは駄目だと言わねば
なるほど。
ではそういう韓国はどうなのか?
2019年に新元号が発表されたとき、TWICEのサナさんがSNSにこんなメッセージを投稿。
「平成生まれとして、平成が終わるのはどことなくさみしいけど、平成お疲れ様でした!!!
令和という新しいスタートに向けて、平成最後の今日はスッキリした1日にしましょう!」
元号は天皇に関係するものだからと、「韓国に礼儀を守れ」「歴史を正しく知れ」「韓国から出て行け!」というのがかわいく見えるような、ムゴイ批判がこのとき殺到した。と同時に、それは過剰反応だという意見も出てきて正面衝突し大きな論争になる。
中央日報日本語版の記事(2019.05.01)
TWICEサナの日本の改元関連コメント、韓国で「甲論乙駁」
平成生まれの日本人があんなメッセージをして、軍国主義や民族主義と言って怒るのは明らかに行き過ぎだ。
でもこのとき、韓国ネットユーザーの『ずれた愛国主義』に『厳しい忠告』を与えた韓国メディアなんてひとつも見なかったのだが?
オール日本人のグループ・NiziUの場合、『反日バッシング』のため韓国でのデビューがなくなった。
(その後どうなったかは分からない)
週刊女性PRIMEの記事(2020年12月13日)
現地でのバッシングが影響しているのか、日本デビュー前に体調を崩してしまったメンバーもいて、ファンからは心配の声があがっている。
「NiziUは日本人」だからダメ?反日感情とバッシングで韓国デビューが白紙
さてそんな韓国には「自分はしてもいいけど、おまえはダメ」という二重基準を表す『ネロナムブル』ということばがある。
朝鮮日報によると、『ネロナムブル』ということばはいまの韓国社会ではよく使われるけど、この概念は独特で、ほかの言語では正確に訳せないらしい。
朝鮮日報のコラム(2020/12/27)
現政権ほど「ネロナムブル」という言葉が多く使われた時期はなかった。チョ国(チョ・グク)前法務部長官は「ネロナムブル」の「ラスボス」として登場した。
【萬物相】外国語にない「ネロナムブル」
中国の『憤怒青年』に対する批判も、中国と韓国、韓国と日本を入れ替えても違和感はゼロ。
・日本が韓国を尊敬し、韓国が要求することに応じるべきだと考える。
・韓国を尊敬せずに望み通り従わないことに対して怒っている。
・やり方が非常に攻撃的で排他的だ。今の韓国の若者世代は幼稚園の時から愛国思想を注入された世代だ。
ということは、韓国の考え方にしたがえば日本は、韓国の歪曲された歴史認識と自己中心的な二重のものさしに厳しい忠告を与えなければならない。
そして韓国のずれた愛国主義や民族主義に対しては、駄目なものは駄目だと言わねばならない。らしい。
こちらの記事もいかがですか?
韓国の除夜の鐘①ソウルの普信閣・鍾路・明洞の観光(歴史)案内
> 「自分はしてもいいけど、おまえはダメ」という二重基準を表す『ネロナムブル』ということばがある。
> 朝鮮日報によると、『ネロナムブル』ということばはいまの韓国社会ではよく使われるけど、この概念は独特で、ほかの言語では正確に訳せないらしい。
正確に訳せない? そうですか?
「自分(ネ)がやれば「ロ」マンス、他人(ナム)がやれば不倫(ブルユン)」なんだから、「自ロ他不(ジロタフ)」あるいは「我ロ他不(ワロタフ)」で十分でしょう。ははははは、何が独特なものか。
きっと、朝鮮日報は自国民に対する侮蔑の単語を他国へ紹介したくないのでしょうね。だから「正確に訳せない」などと言い訳するのだろう。だってそもそも、朝鮮日報をはじめ韓国の大手メディアがこの記事にある通り、反日反中に関しては典型的な「ワロタフ」状態じゃないですか。
理解できないのさ!