イスラム教徒には1年の中で「聖なる1か月」がある。
それがラマダンで2021年のことしは、4月13日~5月12日がその期間になっていた。
このラマダン月の間、イスラム教徒は断食をおこない、食べ物はもちろん飲み水も口にすることができない。
ツバさえのみ込むことも禁止されているという。
このラマダン月の断食を含めて、世界中のイスラム教徒には五行という守るべき五つの義務がある。
信仰告白:「アッラーの他に神は無い。ムハンマドは神の使徒である。」と証言すること。
礼拝:一日五回、神に祈ること。
喜捨(ザカート):収入の一部を困窮者に施すこと。
巡礼(ハッジ):メッカのカアバ神殿に巡礼すること。
これはラマダン期間中のエジプト人イスラム教徒の食事
ことしのラマダンの最中、以前日本の大学に留学していて、いまは母国に戻っているインドネシア人と話をした。
インドネシアは国民の約9割がイスラム教徒で彼もそのひとり。
いまがラマダンの期間中で、インドネシアでもコロナの感染が広がっているのは知ってた。が、ワクチン接種さえ”飲食”に当たり、断食を破ってしまうのではないかという不安の声が上がっていると聞いてビックリだぜ。
注射を打つことが断食に反するという発想はなかった。
そんな信者の懸念にインドネシアのイスラム教団体は、ラマダン期間中のワクチン接種は問題ないという声明を出している。
断食といってもそれは太陽が出ている間だけで、日の出前と日没後なら食べても飲んでもいい。でもないとイスラム教徒が死んでしまう。
だからイスラム教団体は、断食中のワクチン接種が不安な人には夜間に受けることをすすめているという。
それで彼に昼か夜か、いつワクチン打つのかたずねたら、「わたしはワクチン注射をしません」と言う。
「結局はですね、神を深く信じていれば、コロナウイルスに感染しても死にませんよ。」という狂信的な理由ではなくて、ワクチンにはイスラム教徒が口にするのを禁止されている、豚の成分が含まれているからだった。
ただこれについても、イスラム教団体が「問題なし」との見解を発表しているが、彼はそれを信じられないから打たないつもりらしい。
いまネットを見たら、エジプトのイスラム教団体は加工されたら、ブタとみなされなくなるからワクチンを接種しても大丈夫だと説明している。
インドネシアのイスラム教団体も同じ理由だろう。
注射を打つと断食を破ってしまい、ラマダンが無駄になってしまうのではないか?
ブタを摂取して神の教えに反してしまい、”罪”になるのではないか?
そんなことを真剣に悩んでいるという話を聞くと、無宗教は本当に生きやすいと思う。
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日本人でも、ワクチンに対する不信感が強くて接種を拒否する人がいます。それと同様、宗教的な信念のもとでワクチンを打たないことを選択するのも、その個人の自由でしょう。
ただし、自分のその選択によって、結果的には自分以外の周囲の他人に損害を及ぼす(自分が感染源となってしまう)場合があり得ることを、理解すべきです。同じ理由で、そのような者達は大勢が密に集合しての礼拝の場にも参加する資格はありません。「公共の福祉」という観点からは、現在の日本では、「外国人の信教の自由を保証する」ことよりも「感染症の拡大を防止する」方が優先されると言わざるを得ない。