長い間、日本と韓国の最大の外交問題だった慰安婦問題。
両政府がその「最終的かつ不可逆的な解決」を確認してから、ちょうど5年目となる昨年末、茂木外相はこう言った。
「たとえ政権が代わったとしても、国同士の約束だ。責任を持って実施されなければならない」
これはつまり、韓国はしっかり合意を守ってくれってこと。
これは当然で、合意を結んだのは政権ではなく国なのだから、韓国が韓国である限り合意は有効。
「それは前の担当者との契約ですから」と一方的に約束を白紙に戻すような企業は、信用を失ってどこの世界でも誰からも相手にされなくなる。
日本は2015年の慰安婦合意に基づいて、元慰安婦を支援のために10億円をわたし、当時の安倍首相が心からのおわびと反省の気持ちを表明した。
日本は約束した内容をすべて実施したにもかかわらず、韓国側はまだ。
撤去されるはずだった慰安婦像は、5年以上たったいまでもソウルの日本大使館前にある。
それどころか状況はむしろ逆行、文政権はくり返し慰安婦問題を持ち出しては日本に謝罪を要求し、慰安婦財団を一方的に解散して実質的に合意を破棄した。
合意から5周年ということで韓国側も改めてそれまでを振り返り、文政権は結局、約束を破っただけだったことを確認している。
中央日報日本語版(2020.12.28)
2019年1月21日、女性家族部が和解・癒やし財団の設立許可を取り消し、これで韓日合意は事実上廃棄された。その過程で相手国の立場は眼中になかった。
【時論】5年前の慰安婦合意を霧散させて無為に歳月を送った韓国政府
「合意はしっかり守ってほしい」という日本の要求を文大統領はまさに”ガン無視”し、これを白紙に戻してしまった。
文政権は日本と合意を結んだ前政権をボロクソに批判したが、自分たちは3年間で慰安婦問題を何も解決することができず、時の流れに身をまかせるだけだった。
その半年後のつい先日、茂木外相がこんな表現を使って韓国政府を批判。
中央日報日本語版の記事(2021.06.01)
「韓国によってゴールポストが常に動かされる」 文政権の慰安婦対応を非難した茂木氏
日韓が話し合って「この問題はこういう条件で解決しましょう」と確認しても、あとから韓国が「いや、まだだ。あれでは問題は解決していない」と言いだして新しい要求をしてくる。
最初にきめたゴールに一緒に到達しても韓国側が謝罪要求などをしてくるから、終わったことが終わらない。
元駐韓日本大使で韓国事情に精通している武藤正敏氏はこう言う。
戦後の日本と東アジア関係は、韓国が日本との国家間の条約・合意・声明・事前の取り決めなどを破って、一方的にゴールポストを動かして、日本に対して金銭や謝罪などを追加要求してくるものだった。
茂木外相は今回、慰安婦問題について国会でこう発言した。
「韓国によって、せっかくのゴールポストが常に動かされる状況がある」
「今後も政府の考え方やこれまでの取り組みについて、国際社会から正当な評価を得られるよう引き続きしっかりと取り組んでいく」
これに対する韓国側の反論が記事にある。
しかし、合意直後から交渉過程での被害者排除問題が取り沙汰され、謝罪表明を巡る当時安倍晋三首相の真意問題が提起された。
しかしもbutもない。
解決を確認し日韓外相が握手をした後に、「被害者の意見がしっかり反映されていなかった!」と言いだしても合意は動かない。
“取り沙汰され”って、これはあとから韓国側が問題化したこと、もう韓国の国内問題だから文政権の責任で解決してください。
心からのお詫びの気持ちを表明すればいいと韓国側が言い、安倍前首相はその要求を受け入れてそうしたのだから、あとから“真意”を一方的に解釈して「不十分」と言いだしたところで合意は不変不動。
それにしても、最終的な解決を確認した直後にゴールポストを動かそうとするとか、韓国との話し合いとはいったい何なのか。
韓国側は結局、慰安婦問題を蒸し返してまた謝罪を要求しているだけ。
ただ「ゴールポストが動かされる」といっても、なんだかんだで最後にはその移動を許してしまったのは日本の失敗だった。
一度約束したら、内容の変更は一切認めるべきではなかった。
そういう反省を含めて、日本はもう絶対に譲歩しないということだろうから、茂木外相の態度は支持するしかない。
ここで踏みとどまらないと、次の世代の両国民も慰安婦問題で悩まされることになる。
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「国民に分かりやすく敵の存在を示し、それに対する反感によって国家の団結を図る」というのは、ナチス・ドイツが得意とした戦略なんですがね。そういうことに気づかないのは愚かだ。
この手の韓国のやりようを見ていた結果、最近、ドイツの韓国に対する好感度が以前よりも下がってきていることに、韓国人自身は気づいてないようです。かつてのナチス・ドイツを連想させる政治手法が、ドイツ人から好意的に思われるはずがない。むしろドイツ人にとっては最大のタブーですよ。
また、南北に分断された状態を自分たちの力でいつまでも解決できない韓国人は、(自力で民族の東西統一を果たした)ドイツ人にとって、「かつての自分たちが愚かだった状態を思い起こさせる」らしく、もともと、好感度が低い国となっているようですけどね。このことも大半の韓国人が知らない。
にもかかわらず、事あるごとに「日本はドイツを見倣え!」と喚く。実に愚かだとしか言いようがない。
「売春宿」「戦時売春婦」「prostitute」などという露骨な表現を使わず、「慰安所」「慰安婦」「confort girl」という呼称を用いたのは、(同じ戦線で戦ってくれている)彼女達に対する優しさ・敬意の現れたったと思うのですが・・・。その気遣いも、結局は、日本人にしか通用しない考え方だったのですね。
現在、世界ではコロナウィルスによる感染症が猛威を奮っています。この状況、小松左京の小説「復活の日」を彷彿とさせる災難なのですが、そのSF作品中にも「慰安婦(ただし米国の白人女性)」が登場します。
さすがは小松左京、太平洋戦争中の「慰安婦」に対する日本人の感覚がよく分かっていたのだと思う。その辺の「感覚」を最も正確に描いているのは、この作品が随一だと私は考えます。