日本語を勉強している外国人さんのネット投稿を見ていると、マレにこんな質問がある。
「みんな、このまえオレは『ゑ』という文字を見たんだ。これが何だかわかるか?」
ネットには「ゑむ氏」という人物がいるし、いまでもこの文字はたま~に見かける。
知らない人なら「る?」と思ってしまいそうなこの「ゑ」は、「え」と読む。
「あ行のえ」ではなく「わ行(わゐうゑを)のえ」で、昔は「ウェ」と発音したらしい。
奈良時代にはあった「ゑ」は、昭和21年(1946年)に公布された『現代かなづかい』によって「え」に書き換えられることになり、この仮名は日本社会から消えていった。
いまは死語に等しいけど古くて歴史のある文字だから「ええ?」より、「ゑゑ?」としたほうが江戸時代の人間が驚いたっぽい。
神道の神「えびす」を入力すると、変換候補に「恵比寿」や「ゑびす」が出てくるようにいまでも例外的に使われている。
現代では「え」を使う下の言葉は昔は「ゑ」だったから、これを読んでいるうちに「ゑ」の感覚が何となくつかめるのでは?
「礎(いしずゑ)、植え(うゑ)、飢え(うゑ)、声(こゑ)、末(すゑ)、据え(すゑ)、杖(つゑ)、巴(ともゑ)、酔ふ(ゑふ)、微笑む(ほほゑむ)、故(ゆゑ)、描く(ゑがく)、えぐい(ゑぐい)、餌(ゑさ)」
お笑いコンビの「すゑひろがりず」も「すえひろがりず」に比べると、一字変えるだけで与えるインパクトが違う。
さて、さりげなく忍ばせた「酔ふ」にお気づきだろうか。
いまなら全員一致で「よう」と読むこの言葉、昔の日本人は「えう」と言ったのだ。
「ふつかえい」とか「えっぱらう」とか言われたらもうワケワカラン。
街を歩く外国人が思わず「なにこれ?」と疑問を持ってネット投稿してしまうように、「ゑ」は人の注意を引くことのできるなかなかのパワー・ワード。
だから浜松に「ゑびす」という居酒屋があるように、この文字を店名に使う人も多い。
だから「ゑむ氏」は「ゑむ氏」にしたのだろう。
「ゑ」は少なくとも奈良時代から1000年以上の歴史ある仮名から、これを日本社会から消滅させるのはもったいない。
ネットを見ると、頭のいい子どもは「ヤバい・エグい」を絶対使わないという記事がある。(=語彙力がない)
でも、「それエグい」「えぐいて」を古風に「それゑぐい」と書けば、きっとそこには知性の光がかすかに見える。
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