いま活躍している日本の外交官の中でも、韓国を最もよく知るという道上尚史氏(日中韓三国協力事務局 前事務局長)が韓国で有名な総合雑誌『月刊中央』のインタビュー記事で、
「平均的な日本人の心は韓国から離れてしまった。韓国をリスペクトしていた人ほど韓国への失望が深い」
と発言して注目を浴びている。
東洋経済オンラインの記事(2021/09/23)
日本外交官が苦言「日本が韓国に失望した」理由
外務省の「コリア・スクール」の代表者格という道上氏、ビジネスや学校の勉強で目標を定めて達成する韓国の集中力をほめた一方、韓国外交についてはこう苦言を呈した。
「相手がなぜそう主張するのか、相手の事情をよくリサーチする必要がある。国際法、国際慣例はもちろん把握しなければならない。国内説得も重要だ。 」
慰安婦・徴用工問題で日韓合意をひっくり返し、国際法違反の状態をつくり出して、その是正をしないで放置している文政権のことを言っているのは明らかだ。
実際、韓国政府は反日世論に迎合してこれを説得しようとはせず、国家間の約束を軽視している。
いまの韓国には日本をよく研究し、対日関係をうまく構築していく作業が見えないと言う道上氏は、日本に対しては逆に、即興的な反応や反発がよく目につくと批判した。
そして韓国が嫌がる(でも重要な)指摘をする。
「韓国は日本に対する真摯で客観的な姿勢が最も必要な国に見える」
韓国をリスペクトしていた日本人ほど、韓国から心が離れてしまったと氏は嘆く。
韓国政府がここ数年、日本を「盗人猛々しい」と言うなど反日強硬で感情的に対応した結果だ。
韓国を理解し親しみを持っていた知韓派日本人の「韓国離れ」が始まったのは、文大統領が2015年の慰安婦合意の破棄を主張し、そのために具体的に動きだしたころだろう。
日韓政府が慰安婦問題の「最終的な解決」を確認した慰安婦合意について、文大統領は作業部会をつくって検証させたあと、日韓合意には重大な不備があったため、これで慰安婦問題を解決することはできないと合意をひっくり返す発言をした。
これにガッカリして、心が冷めていったのが知韓派の日本人だ。
韓国での生活が長く、韓国メディアに「知韓派言論人」と評価される朝日新聞の箱田哲也氏が3年前、中央日報のインタビュー記事でこう言った。(2018.01.15)
今回の韓国政府の対応を日本で最も歓迎する人は皮肉にも嫌韓派だ。『ほら見ろ、約束を守らないのが韓国の本当の姿だ』と叫ぶ機会をつかんだ。先入観を抱かずありのままの韓国を理解しようと言いながら両国の懸け橋の役割をしてきた人たちの立場が狭まっている」
「知韓派」日本言論人が見る最近の韓日関係
これはまったくその通り。
慰安婦合意を否定して日韓関係を悪化させたら、韓国嫌いの日本人はシャンパンを開けるか、ガッツポーズをするしかない。
文大統領は「嫌韓派」をよろこばせて、知韓派日本人の「韓国離れ」を生みだした。
このあと韓国側は徴用工問題でも日本との合意を白紙にし、国際法違反の状態をつくり出して、「両国の懸け橋の役割をしてきた日本人」の韓国離れを加速させた。
韓国にとっては最も大事な人たちのはずなのに、ここ数年の反日的言動によって、そうした人たちの立場を狭めていったから、「韓国をリスペクトしていた人ほど韓国への失望が深い」という今がある。
最近、ヤフコメの「嫌韓コメント」を問題視する韓国メディアの記事を見たけど、日本での対韓感情の悪化を不安視するのなら、まずは文政権の態度を問題視したほうがいい。
「韓国は日本に対する真摯で客観的な姿勢が最も必要な国に見える」
韓国側がこの指摘を「嫌韓コメント」とするのなら、日韓関係はもうどうしようもない。
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韓国が好きな日本人が韓国に嫌気がさすことは悲しいことです。
しかし、それは文政権とそれに同調する韓国人が、自ら招いたものです。
韓日友好関係を求める私のような韓国人はとても悲しいです。現在、韓国社会を席巻している民族主義的性向がこのようなことを作っています。この4年間で韓国は30年ほど後退した感じです。
世界の中の韓国」ではなくて、”わが民族同士”に閉じ込められてしまいました。
> 「韓国は日本に対する真摯で客観的な姿勢が最も必要な国に見える」
> 韓国側がこの指摘を「嫌韓コメント」とするのなら、日韓関係はもうどうしようもない。
その通りで、もうどうしようもないと考えます。両国関係が好転するには、あと50年はかかるでしょう。
この先、もしも中国が世界一の経済大国にのし上がってその状況が続くようなことがあると、かつての米ソ対立が東西ドイツを舞台としたように、米中対立が日韓関係を舞台として顕在化することになってしまい、今後はむしろ両国関係がより悪化するかもしれません。
選ぶのは韓国人ですよ。