韓国政府が示す徴用工問題の解決案、日本が“即却下”するワケ

1965年の請求権・経済協力協定で日韓両政府が「完全かつ最終的な解決」を約束した。っつーのに元徴用工訴訟で韓国の裁判所はこれをひっくり返して、2018年に日本企業に賠償を命じた。
両国の信頼関係は崩壊し、いまに続く最悪の関係が始まった。

この問題に対する日本国民の思いは、読売新聞の社説が代弁している。（2021/10/04）

元徴用工らの主張を優先する「被害者中心主義」を唱え、司法の反日的な風潮を煽った文在寅大統領の責任は大きい。協定を土台に、日韓が経済協力や多角的な交流を積み重ねてきた歴史を軽視していたのではないか。

元挺身隊訴訟　文氏は在任中の解決を図れ

「被害者中心主義」と言いながら、文大統領や韓国の政治家が反日的な言動で国民感情を煽り、日本を軽く見たことがいまの事態につながった。
こうした怒りや不満をいま多くの日本人が感じているはずだ。

韓国内にある資産（約５千万円）の売却を命じられた三菱重工業はつい先日、これを不服として抗告した。
日本企業の資産が現金化されたら、サヨウナラ。
日本政府は当然、韓国に対して制裁をおこない、すると韓国側も「制裁返し」をおこなって、いま危篤状態の日韓関係は息を引き取ることになる。
だから韓国政府は一刻も早く、日本に受け入れ可能な打開策を示さないといけないのに、文大統領が動かすのはほとんど口だけ。
だから事態は１ミリも前に進まない。

もし「経済戦争」になったら、日韓双方が敗者になる。
というのは正確ではなく、体力のない韓国が日本より大きなダメージを受けることは確実だ。
それは回避したい韓国側は解決策を考えてはいる。

中央日報の記事（2021.10.07）

強制徴用賠償で韓国政府の「代位弁済」提案に…駐日韓国大使「良いアイデア」

これはまず韓国政府が原告側に賠償金と同じ金額を渡し（代位弁済）、後から日本企業にそのカネを請求しようという案。
与党のイ・サンミン議員は、

「韓日関係が最悪だが強制徴用と慰安婦賠償判決と関連して韓国がリーダーシップを見せ、日本の賠償責任は認めるものの韓国政府が代位弁済するのはどうか。これを通じて韓国の自尊心も守り韓日間でこじれている問題も解決できる」

と話し、カン・チャンイル駐日韓国大使は「良いアイデアだ」と称賛した。

盛り上がっているところ大変恐縮なんだが、日本がこれを「いいね！」という可能性はほとんどないと思うんだ。
“代位”というのは「日本に代わって」の意味だろうから、これだと日本政府に対し「日本企業の責任を認めろ」ということになる。
それに後から日本政府や企業からカネを出させるとなると、日本が繰り返し韓国側に求めている「国際法違反の是正」を韓国政府は完全スルーすることになる。
日本の意思を無視して「代位弁済」とやらを提案し、身内が「良いアイデアだ」と笑顔を見せる。
そんな自画自賛で動くほど、いまの関係悪化は甘くないゾ。

それに韓国側は去年これと似た案を提案し、その場で日本に「チェンジ」と言われているのだ。

中央日報の記事（2020.12.10）

「韓国大統領府秘書官が極秘訪日、日本企業資産現金化時は保全提案」

１年前の10月11日、国家安保室所属の秘書官が日本をひそかに訪問して外務省の要人と会い、「日本被告企業の差し押さえ資産が現金化されると同時に韓国政府が損害を保全する」という案を示した。
その応えはコレだ。

これに対して日本側は「たとえ（保全が）同時に行われるとしても判決執行を認めろということには変わりない」として直ちに拒絶したことが分かった。

今回の韓国政府の代位弁済案も「日本の賠償責任は認める」というものだから、このとき瞬殺された「判決執行を認めろ」という案と基本的に同じ性質のものだ。
提案してみるのはいいけど、また「直ちに拒絶したことが分かった」というオチになる予感しかない。
韓国は日本を無視して自分の都合の良い”解決案”を出すから、同じ失敗を同じようにくり返す。
「司法の反日的な風潮を煽った」ことのブーメランが、いま自分の頭部に突き刺さっている格好だ。

それに「代位弁済」は原告側も「良いアイデア」と言ったのか。
文大統領が「被害者中心主義」を叫ぶほど「日本軽視」がひどくなっていき、問題解決のハードルは上がってていく。
「文氏は在任中の解決を図れ」は、現実的にはもうムリっぽい。

＊いまさっき見た報道ではこの案は「日本側の謝罪が条件になる」という。
「日本の賠償責任を認める」というすでに高いハードルを天空まで上昇させて、韓国は一体どんな着地を考えいるのか。