韓国大統領をねらう李在明氏、日本と日韓関係をこう考えてる

 

日本語と台湾の言葉(台湾華語)では同じ漢字でも、意味が微妙に違うことがよくあって、「配合」もそのひとつ。
日本では「混ぜ合わせる」ことをいうのだけど、台湾では「協力する」という意味になる。
そう言われてみれば、なんとなくそのニュアンスがつかめるような。
ただ「配合」の協力とは五分・五分ではなくて、自分が相手に合わせて譲歩するという意味合いが強いらしい。

ということで、いま韓国の大統領選挙に立候補している李在明(イ・ジェミョン)氏の登場ですよ。
先日おこなわれた討論会に出席した李氏の言葉を見る限り、氏は日本に対して一方的な「配合」を求めまくり。
聯合ニュースの記事(2021.11.25)

徴用賠償判決「執行しないよう求めるのは不可能」 韓国与党候補

「最悪」と言われるほどいまの日韓関係が悪化した原因は、2018年に韓国の最高裁判所が元徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じたことにある。
この問題は1965年の日韓請求権協定で、日本がばく大な経済支援金を韓国に渡してすでに解決済みだ。
なのに日本との合意を一方的に破り、国際法違反の状態をつくった韓国に日本が激怒して、いまはその是正を求めている状態。

日本企業の資産が現金化されたら、「終わりの始まり」だ。
そうなったら日本は韓国に制裁をおこない、韓国は「制裁返し」をして、日韓関係はいまの最悪を超えて、異次元の暗黒ステージに突入してしまう。
だから韓国は現金化だけは阻止しないといけない。っつーのに李氏は、

「加害企業と被害を受けた民間人の間で行われた判決を執行しないよう求めることは事実上不可能」

と他人ごとのように言う。
そしてこの認識を前提に、「問題解決(方法)を見つけなければならない」という。
それは一体誰が?
解決の責任は、問題をつくり出した韓国側にあるにもかかわらず、李氏は日本にその責任を負わせるつもりマンマンのようす。
「真摯(しんし)に謝罪すれば、最後に残る賠償問題は十分現実的な方策をいくらでも見つけられる」という発言は最初から最後までデタラメだ。
まず韓国政府が「最終的な解決」を約束した問題について、日本が謝罪することはあり得ない。なのに李氏の話では、日本の謝罪がすべての前提になっている。
「方策をいくらでも見つけられる」という簡単なことなら、いまの韓国政府が見つけているはず。
李氏の頭の中には、韓国の合意、国際法違反に怒る日本は存在してなくて、どこかの世界線にあるのか分からない、日本人の知らない日本を念頭に好き勝手なことを言ってるだけ。

日韓関係の改善策としては、

「歴史、領土問題と社会、経済、交流問題は分離し、できることはやっていく『ツートラック』でアプローチすることが良いと思う」
「こうした立場を貫くことができれば、双方が十分に合意、同意できる道を見つけられる」

と、すでに失敗した論理を真面目顔で話す。
歴史問題で心からの反省や謝罪を求めると同時に、経済協力を求めるツートラックはほぼ韓国だけに利益のある考え方だから、日本は相手にしていない。

きょうの朝鮮日報にあった記事のように、いまの日本は、すでに解決を約束した問題に付き合うつもりはないのだ。(2021/11/25)

慰安婦訴訟の控訴審 日本政府が対応せず弁論延期に=韓国高裁

ここ数年、日本は「戦略的無視」で韓国との話し合いにほとんど応じていない。
日本の主張や立場を徹底的に無視した李氏のやり方では、始める前から不幸な結果が見えている。

「個人的には日本の国民を愛し、彼らの質素倹約、誠実さ、礼儀正しさを深く尊重している」という李氏の言葉は日本人には何も響かない。
「過ちは認め、それに見合う補償をすることが今後、より良い関係のため望ましい」、「戦後、ドイツが欧州諸国に取った態度を日本は少し見習う必要がある」と述べた李氏はきっと気持ちよかったに違いない。

前提がすでに不可能で、頭に浮かんだことを言うだけの李氏。
日本のネットの反応を見ると、もう誰もまともに相手をしていない。

・なら日本は変わらず無視
・李在明、君に決めた。
・条約・合意の履行と経済を分離して考えるっておかしいよね
・左手で殴っておいて右手で握手できるか!?
・素敵!!
・ツートラックでいけるならこんな状態になってないだろ
・よしよし、次々と逸材が出てきよるw
・魔法の言葉
『やくそくまもれ』

 

ただ、もう一人の候補者である尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏は李氏とは違い、「現政権に入って韓日関係が国交正常化以降最悪になった」という正しい認識を示した上で、「私は国内政治に外交を利用しない」、「国民を親日と反日に分けて韓日関係を過去に縛っておく過ちを繰り返さない」と強調した。

まぁどっちが次の大統領になったところで、日韓関係が急激に改善することことは期待できないとしても、日本に一方的な「配合」(譲歩という協力)を要求する李氏よりは尹氏のほうがいい。

 

 

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2 件のコメント

  • もし李氏が大統領に当選したら、韓日関係の破綻だけでなく、韓米関係にも破綻をきたすだろうし、それよりさらに不幸なのは大韓民国そのものがなくなる可能性もあります。
    それでは、先生は今のようにブログで不便な韓日関係の話を書くこともないでしょう。
    南北がどのような方法であれ統一をするだろうし、おそらく北朝鮮が望む方法である可能性が非常に高く見えます。そうすれば、北東アジアと世界の力学にも変化が起きるでしょう。彼が大統領になることはそれほど韓国に危ないことです。

  • 日本・アメリカとの関係を危うくする李氏は危険と思うのですが、それを支持する韓国国民が多いのが不安で驚きでもあります。
    この人が大統領になったら、いろいろなことが終わるでしょうね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。