【韓国文化】理想的なことが日本で、最悪なことが中国で発生中

韓国人にとってこれ以上なく望ましくて誇らしいこと。
それは例えばこんな展開だ。
外国人が韓流ドラマやK-popを見る、それに影響を受けて韓国語を学ぶ、韓国文化が好きになってチャミスル（韓国焼酎）を飲んだり韓国式フライドチキンを食す、そしてその国のスーパーには韓国食品の専門コーナーがあり、即席めんやコチュジャンなどが販売されていて外国人がそれを購入していく。

ちょうどいまの日本がそんな状態だと、韓国の全国紙が報じている。

韓国経済新聞／中央日報（2022.02.06）

【コラム】焼酎・チキン・即席めん・イカゲーム…日本に「韓国」があふれる

日本に住んでいて、実際どれぐらい「韓国」があふれているかは個々人の判断にまかせるとしよう。
個人的な感覚でいえば、近所のドラッグストアやコンビニでハングル文字の商品を見かけるようになったし、韓流ドラマはたしかに人気がある。それに韓国のアニメもよく放送されるようになった。
「韓国」の大洪水とは思わないけど、ちょくちょく身近に韓国文化を感じるようになっているのは確かだ。

とにかく外国で（特に日本で）、「韓国」があふれるようになるという状況は、韓国人にとってはひかえ目に言って有頂天だ。

で、その逆は最悪の悪夢。

聯合ニュース（2022/02/06）

北京五輪開会式に「韓服」登場　韓国で批判の声

先日４日に行われた北京五輪の開会式で、韓国の伝統衣装である韓服（チマ・チョゴリ）を着た女性が登場した。
そのことについて韓国ではいま、「中国が韓服を自国のものと主張している」といった怒りの声が高まっているという。
中国への不満は一般国民のレベルを超えて、政界にも飛び火する。
来月の大統領選挙を目前にして各候補も、韓服は言うまでもなく大韓民国の文化であり、中国はそれを奪うようなマネはするな！韓国国民の自尊心を傷つけるな！と国民の感情を代弁した。

中央日報（2022.02.06）

韓国大統領選候補、北京五輪「韓服議論」に…「文化ほしがるな」「漢服ではなく韓服だ」

ただ中国側が開会式で韓服を登場させたのは、国内の少数民族である朝鮮族の文化を紹介するためという見方が一般的だ。
でも韓国国内では「中国が韓服を奪う」、「いま中国は韓国の歴史や文化を盗んでいる段階にある」といった怒りの声がかなり大きいから、隣国にまで聞こえてきた。

共同通信（2022/02/06）

韓国では「中国は歴史をねじ曲げて朝鮮半島の文化を中国のものにしようとしている」との警戒心が強い。過去にはキムチや韓服の起源を巡り、中韓のメディアやネットユーザーらが論争を繰り広げた経緯もある。

朝鮮半島伝統衣装に韓国反発五輪開会式登場に「文化の侵奪」

韓国内では反中感情が高まっていて、中国の「文化侵奪」には政府レベルで対応するべき、という声があふれている。でも政府は、「両国の良い関係に誤解が生じかねない」ということを懸念して中国には抗議しないと発表する。
それを伝える記事への国民の反応は「いいね」がゼロに対して「バカ」が500と、もう怒りのやりどころがない。

中国ではある歌手がウェイボー（中国版ツイッター）に、

「開会式直後に韓国メディアがなぜわれわれの韓服が中国少数民族衣装として登場するのかと報道した。高麗棒子（韓国人の蔑称）、なんでそうなのかわからないのか」

と投稿して嫌韓感情をあおる。
となると当然、韓国でも同じような反応が発生する。

きょねんも韓国の時代劇で使われた韓服や小道具について、中国ではSNSに「中国文化を盗んだ！」という主張が噴出し、自尊心を傷つけれた韓国民が反発した。
とにかく最近は「韓国 vs 中国」の争いがよく起こるのだ。

韓国文化について言えば、韓国人にとって理想的なことがいま日本で起きていて、中国では「侵奪」という最悪な事態が進んでいる。
でも韓国政府は日本に対しては必要以上に抗議するけれど、中国には全力で見守る。
これがいつも納得いかない。