イギリスと韓国で起きた「動物虐待」 重要ポイントはココ

 

世間の目に触れてはいけない動画が流出してしまった!
なんてことは今のネット時代、どこの国でも日常茶飯事だ。
でも、その人の立場と内容によってはトンデモナイ大騒ぎになって、世界的なニュースにもなる。

最近、イングランドのサッカーチームに所属していて、フランス代表でもあるクル・ズマ選手がペットの猫に対して、

・腹部を蹴飛ばす。
・靴を投げつける。
・頭部を殴る。
・「殺してやる」と暴言を吐く。

といった行為をする動画がアップされると(なぜした?)、すぐに大拡散&大炎上になる。
多くの人がこの動画に怒り、何万人もの人がズマ選手と動画を撮った弟に対して法的措置を取るよう求める請願書に署名した。

イギリスBBC(1 Jun 2022)

Many people were upset by the video and tens of thousands of people signed a petition calling for legal action to be taken against Kurt and his brother.

Kurt Zouma to carry out community service for kicking his cat

 

ヨーロッパは一般的に動物虐待にはめちゃ厳しい。
猫に「不必要な苦痛」を与えた罪は重く、「自分の行為を謝罪したい。言い訳はできないし、心から反省している」といった謝罪だけでは済まされず、英国動物虐待防止協会が調査に乗り出して、動物福祉法でズマ選手と弟を起訴した。
結果、投獄は免れたものの、ズマ選手には今回の件でこんなペナルティーを与えられた。

・5年間の動物飼育の禁止。
・180時間の社会奉仕。
・スポンサー企業から契約を解除された。
・フランス代表からも外された。
・所属するチームから約4000万円の罰金を科され、そのお金は動物保護団体へ寄付された。

猫への虐待は日本人にとっても許せない行為だ。
とはいえ日本人とイギリス・フランス人の感覚はかなり違うようで、ネットを見ると「罪と罰」のバランスが合っていないと感じた日本のネットユーザーが多い。

・えぐいな
・1日中ボランティア活動するのを1ヶ月近くの時間って罪重すぎるだろ
・人間への暴力以上に罰せられている
・スゲェ……
ヨーロッパはこんなに厳しいのか
・ネコと和解せよ

ただ所属チームから契約解除はされてないし、フランス代表へ復帰も不可能ではないから、選手生命を断たれるほどではなく、サッカー選手として何とかやっていけるギリギリの処分か。

 

次は最近の韓国で起きた“動物虐待”の話。
どんな内容か知らんけど、慶南養殖魚類協会がソウルで行った抗議集会で、ブリとマダイを道路に放り投げるパフォーマンスをした。
すると国内の動物保護団体が激怒し、動物保護法に違反したと協会を警察に告発。
しかし、検察は投げられた魚は「食用目的」だから、動物保護法の対象外で動物虐待には該当しないと判断し、関係者を不起訴処分にする。
これに動物保護団体がまた激怒。
そんな判断をくだした検察に抗議活動を行う。

その一連の流れがこの動画にある。

 

この魚は「イルボンサン」(日本産)と言っている。
これも不起訴処分になった理由だったりして。

 

このまえイギリス人と会う機会があったんで、サッカー選手のネコ虐待とこの“魚放り投げ”について感想を聞いてみた。

前者のほうがはるかに罪が重いのは当然として、彼女の個人的な意見では、動物虐待になるかどうかの一番重要なポイントは食用かどうかよりも、その生き物が痛みを感じるかどうか。
苦痛を感じる生き物に不必要な痛みを与えて、その様子を見て楽しむ生き物はもう人間と呼べない。
猫は間違いなく苦しみを感じるけど、ブリとマダイは知らにゃい。
だから、もしイギリスで「魚放り投げ」が行われたら非難殺到は当然だろうけど、彼らが具体的にどんな処分を受けるかは分からない。
アスファルトに叩きつけられたブリやマダイを、人間が再現するこのパフォーマンスは好き。

 

ということで、このイギリス人の意見では「見ている人間がツライ」ということより、その生き物が苦痛を感じる能力をもっているかを科学的に証明することの方が大事。
痛みを感じるかどうかが、動物虐待に該当するかどうかの分岐点になる。
これも個人的な意見だけど、韓国人や日本人にはヨーロッパ人に比べて、生き物に対する“科学的な視点”は少ないと思う。

 

 

宗教 「目次」 

米国の「人間至上主義の動物愛護精神」に違和感ありまくり

海外にはない!?日本人の信仰と動物愛護精神「ペット観音」

【優しく殺す】日本人には理解不能?西洋人の動物愛護の感覚

 

1 個のコメント

  • > どんな内容か知らんけど、慶南養殖魚類協会がソウルで行った抗議集会
    その集会の意図は、
    「政府が日本産の魚を無差別」に輸入してしまい、国内の養殖魚の価格が落ちて魚養殖業界が倒産の危機に瀕しているという理由でデモを開いた
    のだそうですよ。https://news.nifty.com/article/world/korea/12211-1203898/
    なので、
    > この魚は「イルボンサン」(日本産)と言っている。
    > これも不起訴処分になった理由だったりして。
    という見方は、おそらく正しいのでしょうね。

    まあ、残酷と言うよりも、やることが幼稚で乱暴、呆れてしまいます。
    少なくとも食べ物に対する冒とくです。動物の命を「いただく」ことは残虐かもしれないが、少なくとも日本人だったら最低限度の感謝の念を感じ取るはず。(仏教思想かな?)
    バチが当たるよ。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。