外国人からみた日韓関係：「最悪？信じないね。」と言うワケ

浜松にいるアメリカ人とイギリス人とコストコで買い物をした後、カフェで話をしていたとき、いま日本と韓国の関係について聞かれた。
だもんで、「日韓関係？かなり悪いだよ。ひかえ目に言って、ジョニー・デップと元妻ぐらいかな。過去になかったような悪さ」と言うと、「そんなのウソだ。オレは信じないね」とアメリカ人が言ってイギリス人も同意する。
後日、浜松に住むインド人に「いまの日韓関係は最悪だよ」と話したときも、「それはないでしょう。日本と韓国は仲良しですよ」と一蹴された。

そんなことでウソをついてボクにはメリットがないし、韓国との関係なら、そんなことに興味のない彼らよりもよく知っている。
なのに、続けて２度も否定されたのはナゼなのか？
ボクの言っていることが正しいのは、きょうの韓国紙・中央日報を見ればわかる。

「韓日、史上最悪」の関係から抜け出せるか

中央日報はこんな特集を組んで、「史上最悪」の具体的な中身やそうなった原因について分析している。
さらに「新駐日大使がやるべきこと」など、関係改善のためにこれからすべきことを提案する。

両国関係はいま「最悪」で、そこから抜け出さないといけないという認識は日本も同じ。
先月、韓国でユン・ソンニョル大統領による新政権が発足すると、松野房長官はさっそくこれを歓迎し、日韓が健全な関係に戻るよう期待するコメントを発表した。
日本の各全国紙もこの変化を、不幸な現状を打破するきっかけにするべきだと主張する。

最近、日韓で行われた世論調査の結果、北朝鮮・中国・ロシアに軍事的脅威を感じるという国民が両国で多いことが分かり、読売新聞はきょうの社説で、安全保障の面でもいま日韓の連携・協力は欠かせないと訴えている。（2022/06/11）

日韓世論調査　危機意識の共有を生かしたい

ただ、関係改善には韓国側が「元徴用工（旧朝鮮半島出身労働者）問題で解決に向けた具体策を提案することが不可欠だ」と釘をさす。

日本も韓国も現在の関係を、これ以上ないほど「最悪」の状態と認識していて、一刻も早く抜け出さないといけないと考えている。
これは個人の見方ではなくて、冷静で冷徹な事実。
にもかかわらず、なんで日本にいる外国人が「そんなのウソだ。信じないね」と否定するのかと言えば、彼らが最近、こんなニュースを見たから。

コロナの影響で停止していた韓国ビザの発給が再開した。
するとそれを求める人たちが殺到して、日本人らしく道の両脇に列をつくって行儀よく並ぶ。
上のアメリカ人もインド人も周りの日本人から、「いまの日韓関係は本当にひどい」と聞いていて、素直にそう思っていた。
でも、こんなニュースを見て、整理券を手に入れるために長蛇の列ができたり、アスファルトの上で徹夜したという日本人を知って「話が違う！」とビックリする。
発展途上国なら国内が大混乱に陥って、海外への逃避を求める人が殺到するということも分かる。
日本で観光ビザを求めるこんな列を見たことないから、アメリカ人もインド人も「ダマサレタ」と感じて、日本人の話す「最悪関係」はもう信じないと言う。

一方、韓国でも、日本政府が外国人観光客の受け入れを発表すると、旅行会社が歓喜の声を上げた。

朝鮮日報（6/9）

日本が団体観光客の入国を許可するや…韓国で旅行予約887％増

政府の発表があってから、日本旅行の予約数が１週間で２８４％増え、さらに次の週には８８７％に爆増したという。
大阪や神戸をまわる２泊３日のツアー（約５万２０００円と約５万５０００円）は１３６５席が２時間で完売。
ひとつの旅行会社だけで、１日に1０００人以上の予約があった日もあって、「日本を訪れる人が増え続けるものとみて」、韓国の旅行業界はいまいろんな日本ツアーを提供している。

インドの”天敵”はパキスタンで、「パキスタンに旅行？行くワケないだろ。インド人とバレたら殺されるかもしれないのに」と真顔で言うインド人もいた。
過去と比較すれば現在の日韓関係は、間違いないなく「最悪」と言えるほど悪化している。
でも、外国人が「最悪の関係」と聞いて思い浮かべるイメージと比べると、日韓関係はとんでもなく良く見える。
日本人が海外に住んでいて同じ経験をしたら、「これで”史上最悪”って、いままでどんだけ仲が良かったんだよ」とあきれるのでは。
「史上最悪」と「大人気」が同時に存在している日韓関係を、第三者の外国人が理解するのはホントにむずかしそうだ。