日本のメディアが一斉に報じたのがこのニュース。
共同通信(2022/6/20)
徴用工問題解決へ協議会、韓国 尹政権、具体的動きか
日本海、旭日旗、竹島などの諸問題で、価値観や考え方が根本的に違う日本と韓国でも、いまの両国関係が戦後最悪だという認識では完全一致している。
ただ、かなり大きなダメージを受けたといってもヒットポイントはまだ残っているし、これからの展開しだいでは関係回復は可能だ。
その希望が潰(つい)えるとしたら、韓国にある日本企業の資産が現金化された瞬間。
これが現実になったら日本は韓国に制裁をおこない、韓国も制裁返しをして、両国は底なしのドロ沼にはまっていくことは間違いない。
日韓関係は向こう10年は回復できないという悲観的な見方もあるし、資産現金化というクリティカルヒットをくらったら、日韓のHPはなくなって関係も一度、ジ・エンドになる。
そんな悪夢を避けようと、韓国政府が元徴用工問題の解決策を模索するために、専門家による官民共同の協議会を今月中にも発足させるという。
5月に発足したユン(尹)政権では大統領も大臣も、最悪となった日韓関係を必ず改善させるという強い意欲を示してきた。
それが今回、言葉だけではなくて、そのための具体的な一歩を踏み出したことになる。が、韓国最高裁がこの判決が下したのは2018年だ。
問題解決に向けて、本格的に始動するのに4年もかかるというのは、いくら何でも遅くないか?
それに大事なことは話し合いそのものではなくて、そこで得られる結論、現金化阻止や元徴用工問題で韓国側がどんな解決策を導くか。
「遅くてもやらないよりはマシ」というけれど、もう現金化に一刻の猶予も無い現状からすると、これから専門家による協議会をつくるということには期待と、イマサラ感がある。
個人的にはそう思ったし、ネットを見ても「いまからソレ?」とあきれるような書き込みがたくさんある。
でも、このまえ知人の韓国人と話をして、今は「ユン政権もガンバッテますね」と思うようにもなった。
日本の会社で働いているその韓国人(20代・男性)は日本が好きで、日本語を勉強してマスターしたという良い意味の親日派。
3月に行われた大統領選挙で、彼は「反日路線」のイ・ジェミョン氏ではなく、「韓日友好」をアピールするユン・ソンニョル氏を支持していたから、ユン氏が大統領になって満足している。
でもその前後で、まわりの日本人と話をしていると、ストレスを感じるようになってきたとか。
こういう日韓の政治問題を話すのは、基本的に仲の良い日本人だけで、彼らはみんな日本政府の意見を全面的に支持している。
いまの関係悪化は、韓国が日本との約束を破ったことで生まれたものだから、解決の責任は韓国側にある。韓国政府は日本に納得できる解決案を出さないといけないと、日本人の友人は言う。
その日本人の心中には、「韓国がどれだけ苦しんでもそれは自業自得」という思いがあったのでは。
たしかに日本に対して必要以上に厳しかったブン前政権において、そういったことがあったのは彼も知ってるから、日本人がそう話す気持ちも理解できる。
でも、そういう日本人はユン政権が置かれている状況や、いまどれだけ努力しているかを分かっていない。
大統領選で前政権の「反日路線」を否定して、日本や両国関係の重要性を国民にアピールし、「日本寄り」の姿勢を見せることだけでも覚悟がいることを日本人は知らない。
日本文化の人気があっても、韓国社会には歴史問題については「反日色」が根強くあるから、こういう政治問題で日本に譲歩をすることは本当にむずかしいし、やり方を間違えると政権がもたなくなる。
ブン政権の残した対日問題のツケはあまりにも多すぎた。
誰が大統領をやっとしても、すべてをうまく解決することはできないから、ユン政権がスタートした時点で韓日の問題ではもう詰んでいた。
ユン氏が大統領選を制したといっても、それはほんのわずかな差で、国会では野党議員の方が多いから、歴史問題で日本に有利に見えるような法案を通そうとしてもきっと成功しない。
関係改善にかけるユン政権の意思はホンモノだし、すごく困難な状況で、それを実現しようと政府がいま全力で取り組んでいるのもガチ。
なのに日本人はそのへんの事情や気持ちを理解しようとしないで、「それでは足りない」と厳しく見ている。
「約束を守ることは大切だ」と言うのは、日本の立場からするともっともなことだけど、それだけをくり返し言うのではなくて、日本人にはもっとユン政権のガンバリを認めるような態度も見せてほしい。
彼は「日本は譲歩しろ」と言っているのではなくて、その主張はそのままでもいいとしても、ユン政権の取り組みを評価したり共感する部分を日本に求めている。
そういう気持ちがあれば、韓国側も動きやすいらしい。
そう言われるとこっちも、対日関係でユン政権がいま国内でどれだけ苦しい立場にいるのか、正確にはわからないし実感もない。
そんなことで、これまでなら「尹政権、具体的動きか」と知ったら「遅すぎる!」とだけ思っただろうけど、彼の話を聞いて共感できる部分もあったから、「でもがんばってますね」とも今は思う。
それでもやっぱり大事なことは協議の結果だ。
日本はユン政権に配慮しつつも、ここで譲歩してはいけない。
ちなみにこの協議体の設置について、記者会見で聞かれた松野官房長官は、
「韓国国内の動きの一つ一つにコメントすることは控えたい」
「日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき、韓国と緊密に意思疎通していく」
といつもどおりの返答をしただけ。
知人の韓国人としては、こういう日本政府の鉄のような態度にガッカリするのだろう。
約束破りが文政権のみで起こった特殊事情であればともかく日韓の問題は韓国人の特殊性によって生じています。仮に伊政権との間でなんらかの合意ができたとしても次の大統領でほぼ100%の確率で約束は破られ、さらなる関係悪化を招くだけです。韓国とは関係改善を目指さず日本に利益があれば協力して利益がなければ放置するような関係になればいいと思います。