2011年に初めてソウルの日本国大使館前に設置されて以来、慰安婦像は増え続けていき、いまでは韓国内だけで100体を超えた。
さらにこの動きは海外にも広がって、アメリカでは韓国系住民を中心に運動がおこなわれて、2013年にカルフォルニア州のグレンデール市に像が建てられた。
これが他の都市にも飛び火して日本との外交問題に発展し、慰安婦像をめぐって対立した大阪市とサンフランシスコ市は姉妹都市関係を解消してしまう。
フィリピンでは首都マニラに2017年、ソウルの日本大使館前にある慰安婦像と同じ像が登場して日本を驚かせた。
このときは日本政府や大使館が強く抗議すると、「(日本を)侮辱するのはもうやめよう」とドゥテルテ大統領と述べて像に反対する意思を示すと、すぐに撤去された。
しかし、一難去ってまた一難。
今度は2018年にルソン島にある都市でまた慰安婦像が設置されるも、日本政府がフィリピン政府に「遺憾」の意を示すと、この像も撤去された。
日本の「遺憾砲」が効果を発揮した好事例がコレだ。
慰安婦問題について「不当に政治問題化することは控えるべき」と声明を発表したフィリピン大統領府に、日本中がうなづいたのは記憶に新しい。
命を助けたフィリピン人に、逆に命を助けられたという神保信彦の影響もあったかも。
国の内外で増えて続ける慰安婦像ついては、韓国国内からも批判の声は上がっている。
日本の”蛮行”を訴え、”正しい歴史”を伝えるという目的から離れて、「平和の少女像」の作者が像の商標権登録をしようとしていたことが発覚し、慰安婦問題をビジネスに利用していると韓国で叩かれた。
朝鮮日報の社説(2020/06/17)
商標権は販売商品に付ける商標を独占する権利だ。つまり、「平和の少女像」という商標は自分たちだけが使用でき、関連商品を売って金もうけするという意味だ。
少女像商標権登録の試み、慰安婦運動を営利目的とみていた
ドイツでは2016年に、韓国の水原(スウォン)市がフライブルク市に慰安婦像を設置する計画を進めていたことが分かり、日本側の抗議を受けたフライブルク市がこれをストップ。
「日韓の2国間の問題に干渉すべきでないと判断した。我々は双方とうまくやっていきたい」と話すフライブルク市に日本中が納得した。
だがしかし、スウォン市が後押してバイエルン州のヴィーゼント市にこの像が建てられ、ヨーロッパ初の慰安婦像となる。(慰安婦像・ドイツ)
そしていま問題になっているのが、コリア協議会が主導して2020年に首都ベルリンに設置したこの像だ。
ドイツではこれが3体目の慰安婦像になる。
これまでの私有地とは違い、今回初めて公共の場所に設置されたということで、日本はこれまで以上にホンキになった。
当時の茂木外相がすぐに、ドイツのハイコ・マース外相に像の撤去を求めたのはその表れだ。
それでもなんだかんだあって、いまも像は同じ場所にある。
日本が特に問題視したのは慰安婦像の台座で、そこには「第二次大戦中、日本軍はアジア太平洋地域の無数の少女や女性を強制連行し、性奴隷にした」といった説明があることから、外務省幹部は「事実に反する記載を放置するわけにはいかない。総力戦で撤去の実現を目指す」と気合を入れている。
岸田首相もことし4月、像を撤去するための協力をドイツのショルツ首相に求め、首相が直接要請するのは異例ということで注目を集めた。
「強制連行」や「性奴隷」といった表現のほか、慰安婦の数を「20万人」とするのは、歴史の事実に反しているということを外務省がホームページで説明している。
ベルリンに慰安婦像が設置されたと聞いて、日本のネットユーザーはこう思った。
・よその国で何やっとんねん
・ドイツ市民じゃなくてドイツ国民の意見を聞きたいですね
・ドイツ人にとっては免罪符だからな
・こんなことやってりゃそらドイツ人から疎まれるわな
・ドイツ人が韓国が作った少女像を永遠に保管すべきだと思うだろうか?
いや、どうでもいいと思ってることだろう。
・ドイツ人にとっちゃ悪いのは自分らだけじゃないってのはいい事なわけで
やっぱり日本では、現地のドイツ人がこの像を見てどう思うか、その反応が気になる人が多いらしい。
ということで、ブレーメンにいる日本好きのドイツ人に聞いてみた。
まずそのドイツ人は、この像の存在を1ミリも知らなかった。
日本語を学んでいて彼は、日本についての情報には特に注意を向けていて、ドイツ人の平均をはるかに上回る量の日本情報を持っているのに、この件は初耳で最初は話が通じなかった。
その場で彼に調べてもらうと、ベルリンに少女の像が建てられたという小さな記事を見つけただけで、くわしい内容は書いてないという。
「なんでこんな像がドイツにあるんだ?これは日本と韓国の問題で、ドイツは関係ないと思うのだけど」と首をひねるドイツ人には日本中が同感だ。
それで彼に、この像は日韓に限らず、戦時下におけるすべての女性への性暴力をテーマとしたものだと話すと、「なら分かる」と納得してこんな話をする。
「日韓の慰安婦問題はドイツには直接関係ないから、基本的に国民は関心を示さない。ベルリンに像があることを知っているのは関係者や通りかかった人ぐらいで、ほぼすべての国民は知らないし、関心もない。でも、ドイツは第二次世界大戦で許されない罪を犯して、いまそれを強く反省しているから、平和を願う取り組みには積極的に参加している。だから慰安婦像について、『これは戦争で被害を受けた女性を象徴し、性暴力を非難する作品だ』という説明を受けたら、きっとベルリンはその展示を認める。日本が嫌いとか韓国の肩を持つということじゃなくて、公共の場でそうしたメッセージを紹介するのはドイツの価値観と合致している。」
彼の見方だと、ドイツの事情をよく知るコリア協議会側は「平和」と「芸術性」をアピールして、ベルリンのミッテ区からOKをもらった。
そして許可を出した区の人間は慰安婦問題を、まず間違いなく分かっていない。
ほとんどのドイツ人はこの問題に興味はないし、日韓の主張のどちらが正しいかなんてコトも関係ない。いまドイツ人はウクライナ戦争や物価上昇のことで頭が一杯だ。
自分にとってこの像の設置はとても小さいことなのに、日独首脳会談で話題になったと聞いて驚いた。
ベルリンに慰安婦像が設置されたからといって、ドイツにはほとんど何の影響も与えないし、これでドイツ人の日本への見方が変わることもない。だから、日本は騒がない方がいいのでは?というのが彼の意見だ。
そうは言われても、「見て見ぬふり」をすることは黙認と同じ。
そんなことをすれば、これからヨーロッパの各地で像が登場して、問題がより大きく、やっかいになることはこれまでの経過からしてもまず間違いないから、日本の立場としてはこのベルリンの像は見過ごせない。
この像がこれからも設置され続けるか、それとも撤去されるか判断は8月に下される予定だ。
韓国でも日韓関係を悪化させる原因になるから、慰安婦問題が大きくなることに負担を感じる人は多い。
韓国政府がベルリンの像についてほとんど何も言わないのは、メリットよりデメリットの方が圧倒的に多く、ハッキリ言って関わりたくないからだろう。
韓国最大の発行部数を誇る朝鮮日報も、反日感情をあおって、慰安婦問題を拡大しようとする勢力を最近コラムに批判した。(2022/06/26)
もし日本が合意を守らず、とんでもないことを言い出したら、そのときはまた少女像、国際社会での批判を動員すればいい。これをもって、合意自体に「屈辱」のレッテルを張るのは正しいことか。
韓日慰安婦合意は本当に「屈辱」だったか
正しい歴史認識の基に日韓関係を構築しようとする韓国の市民団体が、ベルリンまで行って慰安婦像の撤去を求める活動をおこなって韓国で大きなニュースになっている。
「不当に政治問題化することは控えるべきだ」というフィリピンや、「日韓の2国間の問題に干渉すべきでない」というフライブルク市のような英断がいまベルリン・ミッテ区に求められている。
日本の新聞が文大統領に「”反日”体質・歴史のわい曲」と批判。
自国の経済安定のために、ドル建て日韓通貨スワップを再開したいと言うなら、まず先にこの手の行為をやめさせたらどうなんですかね?