【アメリカ人の発想】ホットドッグの早食い・小林 尊という伝説

 

きょう7月4日はアメリカの独立記念日だ。
遠く晴れたイギリスに統治されていて、それからの解放を願った人たちが立ち上がって1776年のこの日、独立を宣言していまのアメリカ合衆国が誕生。
そんなめでたい日、アメリカ人のすることはホットドッグの早食い競争で、「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」はとても有名だ。
ネイサンズ(Nathan’s Famous)とは、アメリカを中心に展開しているホットドッグのファーストフード・チェーンのこと。

それにしても、アメリカ独立とホットドッグにどんな関係があるのか。
それについてネイサンズのプロモーターは、1916年7月4日にネイサンズの店で、最も強い愛国心を持っているのはダレかを決めるため、4人の移民がホットドッグの早食い競争をしたことが起源と主張している。

Nathan’s promoter Mortimer “Morty” Matz claimed that on July 4, 1916, four immigrants held a hot dog eating contest at Nathan’s Famous stand on Coney Island to settle an argument about who was the most patriotic.

Nathan’s Hot Dog Eating Contest

ホットドッグやおにぎりの早食いで死亡する事件が日本で起きたこともあるから、これは見ているだけにしておこう。

 

全米、いや世界ナンバーワンをきめる「ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権」で、レジェンドになった日本人が小林 尊(たける)さんだ。
2001年にこの大会に参加した小林さんは、それまでの最高記録12分間で25個の2倍、50個のホットドッグを食べて全米の注目と喝さいを浴びる。
その後、6連覇を達成し、アメリカで早食い競争という「スポーツ」(the sport of competitive eating)を広く普及させたことから、小林さんは「The Tsunami (ザ・ツナミ)」とか「the godfather of competitive eating(早食いのゴッドファーザー)」と呼ばれた。

 

これが「Takeru Kobayashi」とかいう伝説が誕生した瞬間。
主催者側の想像を超える展開で、用意していた数字のカードがなくなって、急いで手書きの紙を貼り出している。

 

 

ボクはメイドラゴンのほうなら知ってるけど、こっちの小林さんはまったくの圏外で、知人のアメリカ人に「ヤツはアメリカでマジで有名で人気のある大スターだよ」と言われて初めて知った。
ウィキペデアの「小林 尊」を見ると、いくつものCMやキャンペーンに出演していて確かにすごい。

・FOXスポーツネットでは、マイク・タイソンやロジャー・フェデラーらと並んで「スポーツ界で最も恐れられている選手10人」に選ばれた。
・スポーツ専門チャンネルESPNでは、マイケル・ジョーダンやベーブ・ルースを抑えて「スポーツ史上もっとも圧倒的なアスリート(the most dominating athlete)」とされた。
・2004年にはニューズウィーク日本版の「世界が尊敬する日本人100人」で、生きている人物として明仁天皇(いまの上皇さま)、孫正義、イチローらとともに選出。
・2009年には米CNNによる「アジアの偉大なスポーツ・ヒーロー」にブルース・リー、王貞治らと共に選ばれた。

そんな小林さんが去ったあと、ネイサンズのホットドッグ早食い選手権の視聴者は194万9000人(2011年)から、2013年には115万人と41%も減った。

ESPN averaged 1.949 million viewers for 2011’s Nathan’s Famous Hot Dog Eating Contest, but went down 41% to 1.15 million viewers in 2013.

Takeru Kobayashi

 

日本でフードファイターというと、どうも「色物キャラ」のイメージがあるような気がする。
でも、アメリカで小林尊はタイガー・ウッズ、ジョー・モンタナ、カール・ルイス、マイク・タイソンといった本物中のホンモノのアスリートと同じような地位にあるらしい。
まさに生きるレジェンド。
日本では早食い・大食い大会でどんな結果を残そうが、フードファイターが羽生結弦さんやイチローさんと並ぶアスリートとみなされることはないと思う。
「建国記念の日に、最高の愛国者を決めるためにおにぎりの早食い競争をしよう!」なんて発想は日本人に出てこないし、やっぱりアメリカ人は価値観や発想が違う。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。