韓国の目:カニやエンジンは旭日旗で、旭日旗は旭日旗ではない

 

3~5千人の兵力で、およそ10倍(2万5千~4万5千人)の今川義元の軍を撃破した。
桶狭間の戦いで、奇跡のような勝利を収めた織田信長はこんなことを言う。

「臆病者の目には、常に敵が大軍に見える」

まったく同じものでも、見る人の価値観や考え方によって目に映る像は大きく変わる。
過去の歴史に対する認識が天と地、銀河系の端から端まで離れているような日韓では、同じものでも、鏡のように左右対称に見えることがよくある。
このところ韓国で話題になっている旭日旗はまさにその代表例。

赤い太陽の光が中心から周囲へまっすぐ伸びるこの旗は、日本では古くから出産や節句の祝いなどで使われる縁起物だ。
港町へ行くと、よく大漁旗のデザインにこの模様が使われている。
明治時代のころから、軍旗としても使われるようになったが、日本で旭日旗は日常生活で使われる文化のひとつ。

 

 

日本ではめでたい旗でも韓国では「侵略」の象徴になっていて、呼び方も「戦犯旗」とまったく違う。
韓国でこれは基本的に憎悪の対象だから、芸能人がうっかりSNSにアップすると、国民から非難殺到→本人の公式謝罪→全国ニュースのコンボになる。

 

 

もうこの時点で、韓国と日本の価値観の差は埋められないことが分かる。
2017年には衝撃的な、日本ではいまでもよくネタにされる「ズワイガニ事件」が発生。
韓国のバーガーキングがズワイガニを使ったハンバーガーを販売したら、その包装紙を見て「旭日旗を連想させる!」と一部の人たちが怒って会社に抗議した。

 

赤い縞(しま)模様があれば旭日旗?

 

「親日企業」(*韓国で親日は”裏切り者”のニュアンス)と激しいバッシングを受けたバーガーキングは、ただカニを描いただけと困惑する。
旭日旗ではないのに「そう見える」という理不尽な理由でも、このデザインは反日感情を刺激するからすぐに炎上してしまう。

中央日報(2017.06.07)

芸能人のチョン・チャンウさんは2014年、赤縞の服を着て放送に出演したことで非難を浴びた。旭日旗と関係がないと釈明したが、チョンさんは「とにかく自分に非がある」と述べ、謝罪することになった。

「旭日旗」ハンバーガー包装?…度が過ぎる反日情緒=韓国

 

まったく非はないのに、「とにかく自分が悪い」と頭を下げないといけない。
韓国社会で、”戦犯旗”というタブーに触れるとこうなってしまう。
ただ上の記事では、韓国に広がる行き過ぎた民族主義や反日情緒を警戒して、「過度な嫌日は韓国のイメージを低下させるだけ」という懸念の声を伝えている。

 

 

そんなカニ騒動の2年後、2019年には飛行機のエンジンが「旭日旗認定」された。
韓国のある経済人がジェットエンジンの前で写真を撮って、報道資料にそれを載せたところ、「旭日旗を連想させる!」という批判が浮上する。
「飛行機で一番重要なのがエンジンで、その前で写真を撮っただけ」、「旭日旗を連想させる意図はない」とった釈明をしてもムダ。
この経済界の要人も結局、公式謝罪に追い込まれた。

 

ボーイング777のエンジン

 

日本の海上自衛隊が今月6日、国際観艦式を開催した。
これに参加を表明した韓国では自衛隊の艦船に掲げられる旭日旗に注目が集まり、韓国の軍人が”戦犯旗”に向かって敬礼をするのはケシカランと大問題になる。
でも国際慣例上、これは当然の行為で、韓国の観艦式では自衛隊が同じことをする。
ミサイルを連続で飛ばす最近の北朝鮮の動きを見れば、いまは観艦式に出席して日韓の一致を示した方がいい。
参加を決めた韓国政府の判断はどう考えても正解だ。

でも批判は止まず、イ・ジョンソプ国防部長官は「デザインは類似しているが赤色の円の位置が違う」と、なんと衛隊旗は旭日旗ではないと言う。

中央日報(2022.11.03)

韓国国防長官「自衛艦旗と旭日旗は違う」発言が論争に

「式典参加」の結論がすでに決まっているから、こんな説明をしないといけないのだろうけど、それにしても苦しすぎ。

 

自衛隊旗
これが旭日旗ではないのなら、旭日旗なんてモノはこの世に存在しない。

 

ズワイガニや飛行機のエンジンが旭日旗に見えると騒ぐ人がいて、日本政府の認める旭日旗を韓国の大臣は旭日旗に見えないと言う。
もう何が何だか。
でも、この認識のギャップでツライ思いをするのはほぼ韓国人だから、まあこれからもがんばってください。

 

 

日本と韓国がマジで国交断絶したら、具体的にどうなるのか?

「日本人に正しい歴史を教え、謝罪させたい」と言う韓国人と出会ったら?

韓国の「国際社会が日本を批判する」を笑う日本人は笑えない。

日韓関係がダメな理由。反日感情をあおる韓国メディアの具体例

日韓関係悪化中。韓国が恐れる「経済協力の破局」が見えてきた。

 

2 件のコメント

  • 韓国で旭日旗反対運動をする人たちを見ると恥ずかしいです。
    韓国人は事実上日本の一部となってアメリカと戦った人たちですが、今になって旭日旗を戦犯旗と軽蔑する姿も情けないです。太平洋戦争で日本の相手国だったアメリカも容認する旭日旗を韓国が戦犯旗と規定するのもコメディーですよね。
    多数の韓国人が旭日旗反対運動をする少数の人々にだまされないことを願います。

  • 韓国で旭日旗が「戦犯旗」と憎まれるようになったのは、ここ10年ほどのことです。
    以前は日本の観艦式に参加したり、旭日旗を掲げた自衛隊の艦船を国内に受け入れていました。
    一度火がつくと止まりませんね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。