日本をめぐり争う韓国 屈辱的! vs 反日の政治利用はやめろ!

 

韓国の検察総長を務めた経験があるだけに、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「法による統治」を重視する。
文前政権下の韓国ではじまって、日韓関係を戦後最悪に追いやった元徴用問題について、韓国企業がお金を集めて”とりあえず”原告に渡すという、国際法に即した解決法を提案したのもそういう考え方が根底にあるはずだ。
日本も、韓国への謝罪や反省を表明した過去の談話を受け継ぐと発表して、そんな尹大統領をサポートする。
この問題は1965年の日韓請求権協定ですでに解決済みで、それを後からひっくり返すことは国際法に違反する。
国と国との約束や国際法を最優先する日本としては、はじめから謝罪と賠償は選択肢にない。
それで、見せられる最大の誠意として「過去継承」を表明した。

すると、「それじゃまったく足りない!」と韓国の一部の人たちが反発。
日本の直接的な謝罪や賠償を求める野党などの左派勢力は、元徴用工問題を解決して日本との関係を深める尹大統領に「亡国外交」、「日本の手下」とレッテルを貼って、支持者に呼びかけ反日運動を行った。
そんな動きを尹大統領が批判したと、日本経済新聞の記事にある。(2023年3月21日)

韓国大統領「日本すでに数十回謝罪」 反日利用に反論

日本は韓国にもう何度も謝罪した。
日韓請求権協定で韓国政府は、国民の個人請求権を含めて日本から支援金を受け取った。
その資金や当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の決断で、サムスン、現代、LGといった世界的な企業が誕生した。

尹大統領が今回の解決案を発表した背景にはこうした事実がある。
文前政権のように日韓関係を放置すれば、破滅的な未来は避けられない。
「反日感情を刺激し国内政治に利用しようとしたら、大統領としての責務を捨てることになる」と思ったから、尹大統領は国益を考えて現実的な判断をした。

でも、それが気に入らない人もいる。
そんな左派の立場を代表して、ハンギョレ新聞が社説で怒った。(2023-03-07)

「謝罪と反省」さえ口にしなかった。被害者の数十年の苦しい闘いとその成果である最高裁判決などを全て後退させた、みじめで屈辱的な「解決策」だ。

強制動員問題、歴史を後退させた最悪の屈辱「解決策」

 

「韓国社会には排他的民族主義と反日を叫びながら政治的利益を取ろうとする勢力が厳然と存在する」と尹大統領が反論するのは、まさにこんな勢力に対してだ。

反日の政治利用の具体例は、2020年の選挙で見ることができる。

「文春オンライン」の記事(名村隆寛(2020/04/11)

韓国3大紙が暴いた文在寅・与党の「総選挙『反日』遊説マニュアル」の赤裸々な中身

これは韓国国内の選挙なのに、当時の文政権や与党(現・野党)はこれを「韓日戦」にして、『反日・遊説マニュアル』を作成したと韓国メディアが暴露する。
それによると、最大野党(現・与党)については国民にこう訴えるよう書いてあった。

「日本政府には屈従的だが、韓国政府を非難するばかり」
「安倍(晋三)政権を擁護し、日本に何の批判もできない」

選挙対策委員長は総選挙を「国内政治であるかのように偽装された韓日戦だ」と堂々といってのける。
だから、自分たち政府を「日本製品ボイコットなどを通じ、日本の輸出規制危機克服を先導した」とアピールした。
「克服」は別として、あのノージャパン運動は政府・与党の扇動によるものだったことは間違いない。
すると支持者も「土着倭寇を撲滅せよ」と呼応する。
*土着倭寇とは朝鮮半島に土着した倭寇の子孫で、この場合は野党を指す。

こんな遊説マニュアルで戦って実際に総選挙に勝利したから、「反日を叫びながら政治的利益を取ろうとする勢力」は韓国社会から無くらない。
でも、それでは日本との関係はいつまでたっても絶望的だし、韓国の国益も失われてしまうから、尹大統領は左派勢力との対決姿勢を明らかにした。
左派が国民の支持を得られる背景には、「日本はまだ韓国に謝罪していない」という見方があるからで、「日本はすでに数十回~」と尹氏は言及してその誤解を解こうとする。

中央日報が伝えるようにいま韓国は対日外交をめぐって、与党・政権側と野党による争いで二分している。(3/20)

「野党、無条件反日の無責任」「現政権、日本の手下の道」=韓国

このハルマゲドン(最終戦争)はまだ始まったばかり。
結果は神のみぞ知るだけど、この戦いに負けた側が力を大きく失うことはまず間違いない。
だからどっちも必死。
日本が下手に応援すると、「屈辱的」「日本の手下」と叫ぶ勢力の応援になってしまう。
でも日本もこの動きは見逃せないから、首脳同士のシャトル外交を復活させたり、対韓輸出の管理厳格化をゆるめたりして、韓国に目に見えるメリットを提供して尹大統領を後方支援している。
あとは、光が闇に打ち勝つことを願うしかない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。