冬の寒さのピークを超えて、だんだんと昼が長くなっていくと、「昼と夜の長さが等しくなる日」といわれる春分の日がやってくる。
そのころはクルド人にとっては新年になるらしく、きのうの春分の日、埼玉県でこんなイベントが開催された。
共同通信の記事(2023/3/21)
在日クルド人、復興へ祈り 埼玉県で4年ぶり新年祭
音楽や踊りで新年を祝うクルドの祭典を、ネウ(新しい)とロズ(日)を組み合わせて、ネウロイじゃなくて「ネウロズ」という。
このイベントはクルド風の食べ物があったり、日本人もダンスに参加できたりとオープンな雰囲気で行われるらしい。
クルド人はトルコ・イラク・シリアなどにいて、人口は3~5000万人といわれているが正確なところは不明。
というのはクルド人には母国がない。
だから、「国を持たない最大の民族」なんて紹介されることが多い。
クルド人がもっとも大事にする祭典の「ネウロズ」は出身地では禁止されているから、自由な日本で、こうして祝ってクルドの文化やアイデンティティーを守っている。
ちょうど日本の「春分の日」のころ、イランでも正月(ノウルーズ)を祝うから、クルドのネウロズもきっとこれと関係している。
クルドの民族衣装を着て踊る「ネウロズ」
これが見られるのは全国でも埼玉県だけだろうから、貴重な観光資源になる予感。
出身地で迫害を受けた多くのクルド人が難民としてやってきて、そんな知人を頼りに別のクルド人が来日したりして、いま日本には2000人のクルド人がいるという。
その多くが埼玉県の蕨(わらび)市に住んでいることから、このへんを「ワラビスタン」なんて呼ぶこともある。(在日クルド人)
「~スタン」はペルシャ語から生まれた言葉で「~の国(土地)」という意味だから、アフガニスタンは「アフガン人の国」、ウズベキスタンは「ウズベク人の国」になる。
「クルディスタン(クルド人の土地)」と「わらび」を合わせると、「ワラビスタン」の出来上がり。
でもこれだと、「ワラビ人の国(土地)」の意味になってしまうのでは?
とにかく埼玉県にそんな地域があって、「ネウロズ」の祭典が行われている。
最近、日本に住む外国人が増えてきて、母国の伝統文化を紹介する人がボクのまわりにチラホラいる。
大学に留学していた知人のインドネシア人は、近くにある高校の先生に頼まれて、インドネシアの食べ物や世界遺産なんかについて生徒へ紹介する。
「日本語のジャガイモは、インドネシアのジャカルタに由来するんです」と話すと、「へー!」という生徒の反応を見て手ごたえを感じたらしい。
カレー屋のオーナーから、「ただ食べるだけではツマラナイから、食事をしながらインド文化を学ぶイベントをしたい」と相談されたインド人は、光の祭典と言われる「ディワリ」について説明したり、「バラタナティヤム」という踊りを披露した。
そのインド人は母国の文化を日本人に紹介できて、店は集客につながってまさにウィンウィンの関係だ。
これから少子高齢化をむかえる日本は、外国人の労働者を受け入れるどころか、優秀な人材を積極的に呼び込まないといけないことは分かっている。
そんな動きに抵抗のある人がいたとしても、この流れを止めることはできない。
嫌でも何でも日本の多文化共生は広がっているのだから、これを有効利用すれば自分の世界を広げたり、ビジネスチャンスにつながる。
「同じアホなら踊らにゃ損々」と日本ではむかしから言うし、このウェーブには上手に乗ったほうがいい。
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