オランダの特徴「寛容の精神」①その歴史と理由:大麻と売春じゃない!

 

オランダの特徴といえば?

自分のやりたいことができる自由がある国。
そして、それを認める寛容さがある。

ということで、「自由と寛容」でいいと思う。

その例として、「オランダでは、同姓婚・安楽死・売春・大麻が合法である」ということがよくあげられる。

そんなことを前回書いた。

 

でも、オランダ人にとってはどうだろう?
売春と大麻の合法化がオランダの自由や寛容の象徴のように言われたら、どう感じるか?

ふつうのオランダ人はわからないけど、オランダ政府の観光局はこの2つを完全に無視している。

やっぱり、オランダにとって名誉なことじゃないみたい。

 

ところで、なんでオランダという国には自由や寛容という特徴があるのか?

オランダの歴史を知って、その理由をさぐっていきましょう。

その前に、ここで改めて「寛容」という言葉の意味を確認しておこう。
この言葉本来は、異端や異教を許すといった宗教上の態度を表すものだった。それが異論反論などさまざま意見の表明を認める言論の自由の問題になり、民主主義における大切な理念の一つとなった。

スペインから独立したオランダの寛容の原点も、異端や異教を許すという宗教上の態度にある。
独立する前、スペインではキリスト教のカトリックが信仰れていて、プロテスタントの多いオランダとは事情が違っていた。
それで中央政府のあるスペインから、「オランダの人たちもカトリックを信仰しなさい!」という命令が出ると、自分たちの信仰を絶対にやめたくなかったオランダのプロテスタントが立ち上がる。
カトリックを強制するスペインと戦うことを決意して独立戦争を始め、オランダはそれに勝利してスペインから独立した。
信仰の自由を守るために戦ったことがオランダの原点だから、「寛容の国」になることは必然だった。

 

オランダの国旗

三色旗(トリコロール)といえばフランスの国旗が有名なんだが、オランダの国旗が世界最初の三色旗(トリコロール)と言われる。
独立をかけてスペインと戦っていたとき、オランダはオレンジ色のある旗を使っていた。
これが今のオランダのナショナルカラーとなり、サッカーのオランダ代表もオレンジをチームカラーとしている。

 

「違う宗派・宗教でも、ここではその信仰は認められますよ」という信仰の自由が、オランダ建国の精神となった。
オランダの寛容とは建国精神そのもの。
決して「大麻と売春」がオランダの自由と寛容の象徴ではない。

 

こうしたオランダの寛容によって、ユダヤ教の信仰もオランダでは保証された。

「オランダなら、安心してユダヤ教を信仰することができる」ということで、当時たくさんのユダヤ人がオランダを目指した。

特にこのとき、イベリア半島(スペイン)から多くのユダヤ教徒がオランダに移住している。

そのことは、在日オランダ大使館のホームページにも書いてある。
*現在はリンク切れ。

過去数十年間に、オランダは、出身地の異なる多くの人々が共に生活する多文化社会へと発展しました。オランダ人は異なる信念や信条を持つ人々に寛容なことで知られています。
17世紀に主に宗教上の信条で迫害され、母国を逃れた人々を保護して以来、オランダには寛容の精神が培われてきました。

オランダの社会

 

自分の信仰を守るためにオランダは建国された。
そして他人の信仰も守ることによって、オランダの寛容の精神が育っていった。

 

おまけ

サッカーオランダ代表のチームカラーはオレンジ。
日本代表は「サムライブルー」をチームカラーとしている。
青は「日本の国土を象徴する海と空の青」と一般的に考えられているけど、実際の理由は不明だ。(日本代表チームのユニフォームはなぜ青なの?

 

なんだ、JFLでもわかんないのか。
ということは、日本のチームカラーが青である理由は、日本の誰もわからないってことになる。
ただ戦前の日本のユニフォームが水色だったから、戦後もそれを受け継いで現在の「青」になったという。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。