反転攻勢に出たのはウクライナだけじゃなかった。
約３か月前、韓国の国会で、不正が疑われる最大野党「共に民主党」の李在明（イ・ジェミョン）代表に対する逮捕同意案が出されたが、否決された。
でも、そもそも逮捕状を請求されるという状況は最大野党のトップにとって危機的で、しかも同じ党の２割以上の議員が造反して請求に同意したというから、李氏への不信感はかなり高いことが分かる。
政府与党に追い込まれた李氏は、「反日扇動」で政権への反撃を始めた。
時事通信社（6/24）
野党、処理水巡り政権攻撃 塩買い占めや魚離れも 韓国
日本としては福島原発から排出され、たまり続ける汚染水を何とかしないといけない。
そのため、この放射性物質を取り除いて、国際基準を満たした処理水に変えて海に流すことにした。国際原子力機関（IAEA）も確認し、問題ないと日本の対応を支持する。
この処理水を「汚染水」と呼んでいた李氏は、「核廃水」と悪意のバージョンアップをし、「井戸に毒物を入れたこと」「放射能テロだ」「漁民が皆死ぬ」と誇張やデマを連発。そして、これを“黙認”する韓国政府を無責任だと批判した。
ただ、政府を攻撃するために根拠のない危険をあおった結果、韓国では塩の買い占めや魚の購入を控える動きが出てきて、関係者が困っている。
世界中の科学者が集まる最高権威であるIAEAもOKを出したのだから、科学と事実に基づけば日本の海洋排出は問題ない。
そもそも韓国の原発が福島処理水の10倍の放射線物質を含む水を海へ流しているのに、李氏はそれにはスルーで、日本だけを「放射能テロ」と攻撃する。
韓国ではこんな根拠ないデマを「怪談」と呼ぶ。
そんな怪談で攻撃を受けた与党はこう反撃した。
中央日報（6/24）
「汚染水怪談」に韓国与党の対応法…常任委別に「刺し身店会食」
国民の被害が深刻になっているのだから、「恐怖マーケティングに没頭するのをもうやめるべきだ」と与党が刺し身を食べながら野党を批判する図は、こう言っては何だがちょっと面白い。
でも当事者は真剣だ（たぶん）。
国内の水産事業者には「食べて応援」をして、国民には安全を事実として示すこの反撃は意外と効果的ではないかと思う。
まずは注目を集めることに成功した。
でも、野党による「怪談扇動」や「恐怖マーケティング」といった政権への攻撃が終わるとは思えない。
思えば今から２年前、集会を開いて記者会見を行った高校生が、こう言い放ったことには驚いた。
中央日報（2021.04.29）
「日本はいま汚染水を放出しても飲むのには問題ないという暴言を連日吐き出している。汚染水はお前らが飲め」
釜山の高校生が集会「福島原発の汚染水、日本人が飲め」
日本の処理水をめぐって、今の野党や左派勢力による「怪談扇動」や「恐怖マーケティング」は数年前からあったのだ。
科学に基づいて福島の処理水は問題ないと言い切る与党政府に対して、野党は今でも同じことを言う。
朝鮮日報（2023/05/22）
共に民主・李在明代表「福島汚染水、安全なら飲用水に」…与党「きれいならトイレの水も飲むのか」
放射線物質はバナナや飲料水のほか雨水にも含まれているから、人間が普通に生活している以上、被ばくは避けられない。
大事なポイントはその量。
理論的には福島の処理水は水道水よりも被ばく量が少ないから、人が飲んでも問題はない。
トイレの水を飲んでも死ぬことはないが、だからといって「飲んで証明しろ」と迫るのは人間に対する侮辱行為だ。
今の野党のしていることは「安全と言うなら汚染水はお前らが飲め」と言っていることと同じ。
韓国には残念ながら、こんな態度を支持する勢力が昔からある。
塩の買い占めや魚離れが起きても、こうした人たちは政府への攻撃も口撃もやめようとしない。
科学と事実という強力な味方がいるのに、「反日扇動」という攻撃をされると、政府与党が防戦一方になってしまうのが韓国社会の困ったところ。
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