日本人が韓国を旅行するなら、ガイドブックなんて要らない。
ネット上には、韓国が好きな人の集まるグループが「これでもか!」というほどたくさんあって、「来月に渡韓します。おすすめのお店はありますか?」と投稿すると、今話題のお店や変わったサービスや商品を提供するお店の情報が洪水のように寄せられる。
処理できないほどの情報量にきっとオーバーロードしてしまう。
なかには治安に不安を感じる人もいて、その点について質問すると、「大丈夫ですよ~。日本と変わりません」といったコメントがよく返ってくるが、現実は違うらしい。
中央日報(2023.06.30)
日本、韓国よりはるかに平和…「平和な国」韓国43位、日本9位
オーストラリアの経済平和研究所が163カ国を対象に調査した結果、「もっとも平和な国」のトップ3は以下のとおりになった。
1位:アイスランド
2位:デンマーク
3位:アイルランド
日本は9位で韓国は43位と圧倒的な差がついたから、この結果には、韓国メディアも「はるかに」のまくら言葉を付けるしかなかった。
ちなみに最下位、つまり世界でもっとも危険な国とされたのはアフガニスタンだ。
ただし、このランキングは国内総生産(GDP)に対する軍事費の支出割合も考慮されていて、犯罪発生率の低さだけでランキング化されているわけではない。
最近の日本では特に若い女性の間で韓国人気が高く、旅行に行ってグルメを楽しんだり、映える写真を撮ったりする人が続出している。
数日間の旅行で、韓国のあちこちへ行っていろいろな経験をした日本人なら、夜でもたくさんの人が街を歩いているし、治安は日本と変わらないと感じる人がほとんどだと思う。
ボクも何度か韓国を旅行してそう感じた。
不審なタクシーに乗ってしまい、ダマされたという人に会ったことがあるぐらいで、個人的には韓国で危険を感じたことはなかったし、客観的に見ても、世界の中で韓国は治安の良い国とされている。
でも、女性の視点はちょっと違うらしい。
知人のアメリカ人女性が日本の学校で3年ほど英語を教えた後、ソウルに移り住んで英語を教えていた。
そんな彼女と話をしていると、日韓の治安を比べた場合、基本的にはどっちも同じだけど、やっぱり違いはあると言う。
彼女はソウルで暮らしていて、それまで危険な目にあったことは一度もなく、夜でも飲みに出かけることもあって、その点では日本での生活と同じような安心感を持っていた。
でもある時、韓国人の友人女性と話していて、彼女がバッグに防犯グッズを入れていると知って驚いた。
知人が「アメリカなら分かるけど、ここでそれが必要なの?」と尋ねると、友人の女性はこう答えたという。
「たぶん使うことはないけど、もしもの事態を想像するとコワくなる。だから、防犯グッズを持っていると安心できる。保険みたいなものね。韓国社会では男尊女卑の風潮があって、女性は犯罪の被害にあいやすいから、注意が必要なの」
その防犯グッズは彼女自身で購入したものではなく、友人からのプレゼントだった。
韓国での生活で治安に不安を感じたことはなかったから、その話を聞いて、アメリカ人はちょっと”平和ボケ”していて防犯意識が緩んでいたと反省した。
日本にいたころは、こんな話を聞いたことは一度もなかったし、防犯グッズを意識したこともない。
韓国と日本は安全面では「同じ」と考えていた彼女にとって、この話は完全に予想外だったから、日韓の大きな違いとして印象に残った。
下の現象は一般の日本人にはナゾで、あるていど韓国を知っている人でも理解が難しいと思う。
ハンギョレ新聞(2022-03-12)
韓国大統領選後、女性たちが「護身用品」を求める理由は
韓国ではきょねん選挙が行われ、それまで野党だったユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が選ばれた。
日本で言えば、選挙で与野党が逆転して首相が交代するようなものだから、これは日本人にもわかりやすい。
でも、この選挙の結果によって、スプレーやブザー、ガス銃などの防犯グッズを求める女性が増え、売上が上昇した理由はなかなか理解しづらいと思う。
記事を見ると、ユン新大統領が「女性家族部の廃止」と「虚偽告訴等罪の処罰強化」を公約として掲げていたことが原因だ。
実際にはそんなことはなかったのに、女性が「性暴力の被害を受けた!」とウソ(虚偽)の告訴をした場合の罰則を強化することや、女性家族部(”部”は日本でいう省)が廃止されることによって、「法で保護を受けられないという思いから、自分で自分を守るという気持ちで護身用品を求める」女性が増えているという。
家族や友人の女性を心配して、護身用品を買って配ろうとする男性もいる。
これは上の韓国人女性と重なる。
日本では選挙の結果によって、女性の「潜在的危険」が左右されることはない。
少なくともボクは、そんな話は寡聞にして聞いたことがない。
ほぼすべての日本人は安全に韓国旅行を楽しむことができるし、体感治安は日本と変わらないと感じるだろう。
でも「同じ」と考えると、現実が見えなくなってしまう。
防犯グッズは必要ないと思うけど、韓国へ行く女性なら、保険のために防犯意識は高めたほうがいい。
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