世界には、日本人の常識や感覚では考えられないこともある。
たとえば米CNNのこのニュース。(2022.12.30)
レイプ犯を無罪に、被害者女性との結婚「合意」で パキスタン
女性が男性から性暴力を受けることは、残念ながら世界中で起こっている。
でも、日本を含むほとんどの国では、その男は強姦罪で逮捕され、裁判所で法の裁きを受けることになるが、パキスタンのこの事件は違った。
強姦罪で有罪判決を受けた男が、被害者の女性と結婚することに「合意」したため、裁判所はこの男に無罪判決を言い渡す。
もちろん、これはパキスタン全体の意見ではない。
パキスタン人権委員会はこの判決を「完全な法律違反」と非難し、国にこの女性の権利を守るよう求めた。
もし、男が女性をレイプしたとしても、その被害者と結婚すれば男は罪に問われない。
先進国の中でも進んだ国である「G7」の一角を占めるイタリアにも、40年ほど前までそんな野蛮な習慣が存在していた。
フランカ・ヴィオラという勇気ある女性がそれをぶっ壊す。
彼女は15歳の時に、マフィアとつながりのある23歳のメロディアという男と婚約した。
でも、メロディアが窃盗の罪で警察に捕まったため、縁が切れて、ヴィオラは別の男性と婚約をする。
それを許せなかったメロディアは仲間を連れて、1965年に彼女の家へ押し入り、ヴィオラを拉致して町の郊外ある家(納屋?)に監禁した。
そこでヴィオラは警察に救出されるまでの約1カ月間、繰り返しメロディアから性暴力を受ける。
当時の南イタリアでは、「処女を失った女性には結婚する価値がない」とい考え方があり、それを理由にメロディアはヴィオラに結婚を迫る。
しかし、ヴィオラの答えはNO。
それどころか、彼女はメロディアを誘拐と強姦の罪で告発したのだ。
処女を失ったのに結婚しないことは、当時のイタリア南部の伝統や社会規範を否定するものだから、ヴィオラは「名誉のない(恥知らず)の女」と町の人々からののしられ、憎悪の対象となった。
ヴァイオラがレイプ犯との結婚を拒否した後、彼女の家族は町のほとんどの人たちから脅迫や迫害を受けたという。そして、彼女の家のブドウ園と納屋は放火された。
After Viola’s refusal to marry her rapist, her family members were reportedly menaced, ostracised, and persecuted by most townspeople. Their vineyard and barn were torched.
イタリア全土が注目した裁判の結果、有罪とされたメロディアには懲役11年の刑が言い渡された。
フランカ・ヴィオラの勇気ある告発によって、被害者と結婚することでレイプ犯は無罪になるという、クソふざけた法律は1981年に廃止された。
その後、ヴィオラは1968年に子供の頃から好意を寄せていた男性と結婚し、3人の子供に恵まれた。
そんな幸せに比べれば些細なことだが、この夫婦はイタリア大統領とローマ教皇から祝福を受けた。
一方、メロディアは刑務所から釈放された2年後の1978年に、マフィアによって処刑された。
勇気ある者は救われ、卑劣な者は報いを受ける。
物語の結末としては完璧だ。
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