【日本ならでは】オーストラリア人が感じたうれしい瞬間

 

10年ほど前、オーストラリアに1年間住んでいたという日本人と会って、話をする機会があった。
現地でビックリしたことを聞くと、彼は「オーストラリア人って“裸族”なんです」と言う。
たとえば、公園に行くと男たちが上半身裸でジョギングをしているし、街中では素足のまま路上を歩いたり、スーパーで買い物をしたりする人がいる。
近くにビーチなんてないのに。
彼からすると、そんな「裸族な光景」がとってもオーストラリア人っぽかった。
では、日本にいるオーストラリア人は、どんなところに日本人らしさを感じるのか?

 

誰かが質問をすると、それについて知識のある人が答えてくれる Q&Aサイトの「Quora(クオーラ)」で、ある外国人がこんな質問をした。

「What is an “Only in Japan” moment?」
(“日本ならでは”の瞬間とは?)

いろいろな外国人が意見を書き込んでいたけど、ここでは、オーストラリア人が感じた「日本ならでは」の瞬間を紹介しよう。

 

2016年に、あるオーストラリア人が渋谷でおいしいと評判のラーメン屋を探していると、トラブルが起きて、グーグルマップが使えなくなった。
そこで、通りすがりの女性に道をたずねると、彼女はその店を知らないと言って歩き去った。と、オーストラリアではなるところだったけど、日本は違った。
驚いたことに(to my surprise)、その女性は近くの通行人に声をかけて、そのラーメン屋の場所を聞いた。
でも、その人も知らなかったから、別の人に声をかけてラーメン屋の場所をたずねた。
そんな「連鎖(chain)」が続いて、最後にはスマホを取り出してラーメン屋の場所を特定し、そこへ案内してくれた。

外国人がラーメン屋を見つけるために、何人もの人たちが足をとめて、いろいろな手助けをしてくれた。
このオーストラリア人にとって、これは予想外のすばらしいな出来事だったから、「That’s my “only in Japan” moment」となったという。

 

別のオーストラリア人は日本でこんな体験をした。

彼は心臓病を患っていて、2ヶ月に一度、東京の専門病院に通っていた。
そこでやることはいつも同じで、待合室で座って順番を待ち、血液検査や尿検査を受けて病院を出る。
そんな退屈な午後に“楽しみ”を加えるために、彼は検査が終わった後、病院から400メートルほど離れたコーヒーショップに立ち寄ることにした。

ある日、彼がバリスタに向かって「グッジョブ」と親指を立て、彼女がいれたコーヒーを指差し、お礼を言って店を出た。
彼女が作ったラテアートをとても気に入ったらしい。

それから2ヵ月後、彼はまた病院でルーティンを終えた後、まえと同じ店に行ってコーヒーを注文した。
すると、60日前と同じバリスタが、今度はきれいなハート型のラテアートを作り、カウンターにいた店員がそれを彼に渡した。
このオーストラリア人はこれを、彼女が褒められたお返しをするために、2ヶ月間待っていたと理解した(She’d waited 2 months to return the compliment)。

2ヵ月後、もし彼女がいたら、きっと笑顔でまたおいしいコーヒーを出してくれる。
おそらく、自分たちの間で言葉が交わされることはないだろうが、彼はその瞬間をとても気に入っている。
それが「my “only in Japan” moment」だったという。

 

一般的に、オーストラリア人は日本人よりもフレンドリーで親しみやすく、考え方や行動はラフで大ざっぱで、細かいことは気にしない。
だから、日本人がオーストラリアへ行けば、そんなところに「ならでは」を感じるだろうし、オーストラリア人が日本へ来たら、丁寧さや親切さ、細かい気配りにきっと感動する。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。