【民族魂抹殺】日本が韓国に、仏がマダガスカルにしたこと

マダガスカルはアフリカ大陸南東部から約 400km離れたところにある。
日本ではこの島国についてあまり知られていないから、まずはマダガスカルの基本スペックを確認しよう。

面積は日本の約 1.6倍で、そこに 2961万人が住んでいる。
首都はアンタナナリボで、「アンタ、7回リボ払いネ」という魔法を唱えると、簡単に覚えることができる。
国内にはアフリカ大陸系とマレー系、それに 18の部族がいる。
公用語はマダガスカル語とフランス語で、宗教はキリスト教、伝統宗教、イスラム教がある。

マダガスカル共和国(Republic of Madagascar)基礎データ

現在のマダガスカルは共和国で君主はいない。以前は王が君臨していたが、1897年の2月28日、フランスにとどめを刺された。この日、フランス軍がメリナ王国(またはマダガスカル王国)を占領し、ラナヴァルナ3世をレユニオン島に追放した。ラナヴァルナ3世は最後の王となり、メリナ王国は滅亡する。
知人のマダガスカル人が言うには、このときフランスはマダガスカル人の心を打ち砕くことをした。その話を聞いて、韓国の日帝風水謀略説を思い出した。

 

「日帝」とは大日本帝国や日本の帝国主義のことで、韓国社会では戦前・戦中の日本を敵視し、こう呼んでいる。
日本は朝鮮半島を統治していた時代(1919〜1945)、風水の考え方を利用して、朝鮮民族の民族精気を奪おうとしたという説があり、韓国ではそれを「日帝風水謀略説」「民族精気抹殺政策」「風水侵略論」と呼んでいるという。
個人的にはただの都市伝説でしかないが、ウィキペディアに「国家的な陰謀論」と書かれているように、あちらではこれを信じる人は多いらしく、政府が対策に動いたこともある。

1995年、金泳三大統領が国民に向けてこう述べた。

「わが国民大多数は、日帝がわが民族精気を抹殺するために全国の名山のあちこちに鉄杭を打ち込んで地脈を絶ったことをよく知っている。」

こうして韓国政府は「日帝の鉄杭」の除去を始め、韓国各地で多くの鉄の杭が引き抜かれた。しかし、実際には、その鉄の杭が本当に日本によって、韓民族の精気を抹殺するために打ち込まれたという根拠はなく、単に測量用に打ち込まれた可能性が高いという。
鉄杭を引き抜いたことで、韓民族の精気が復活したという話も聞かない。

山の上など風水上の重要なポイントに鉄の杭を打ち込んで、民族精気を抹殺し、日本の統治に抵抗しようとする心を消す。そんな「日帝風水謀略説」の考え方はとっても韓国的で、日本ではまったく支持されていない。そもそもこの説には根拠がない。

 

数年前、ソウル市が公開した資料に「風水断脈説」が登場して話題を集めた。
今のソウル市内にある「栗谷路」という道路が設置された背景について、ソウル市は次のように説明したという。
朝鮮日報のコラム『萬物相』(2020/01/05)

「栗谷路は、日帝が民族魂の抹殺政策に基づいて宗廟-昌慶宮を断絶させるため作った道路」だとした。道路一本が「民族魂」を抹殺したというのだ。

21世紀の「風水断脈説」

 

この「風水断脈説」は一時的なものではなく、ソウル市は2013年にも「民族魂抹殺」説を訴えたことがある。
しかし、朝鮮日報は一本の道路が「民族魂」を抹殺したという説を信じていないらしい。そんなことを言い出して工事方法が変わり、工事費が増加した結果、「21世紀に風水地理が市民の税金400億ウォン(約38億円)を飲み込んだ」とソウル市に批判的だ。
東京都が「民族魂」を復活させるために、同じ金額の税金を使って工事をしたら、きっと暴動が発生する。

 

さて、ここで話をマダガスカルに戻そう。
メリナ王国(マダガスカル王国)の国王が住んでいた宮殿は、現在、こんな状態になっている。

 

 

三角形の屋根はマダガスカルの伝統的な木造建築物の特徴で、1897年まで、ここに国王が住んでいた。
フランス人がマダガスカルを占領した後、その王宮を取り囲むように西洋の城のようなものを建てたことで、こんな姿になったという。
マダガスカル人に、「フランス人がそんなことをした理由が分かりますか?」と聞かれたが、答えが見えてこない。
フランスがマダガスカルを植民地にした後、最優先したことは、現地の人たちに反乱を起こさせないことだったのは理解できる。王を島流しにしたのも、処刑すると民衆の憎悪がフランスに集中するおそれがあったためだろう。
だから王宮も破壊することなく、周囲を取り囲み、屋根だけを見せることで、マダガスカルが「フランスのもの」であることを見せつけようとしたのでは?

そんな話をすると、半分ほど正解だった。

昔のマダガスカル人は、生きている人は木(木造)の家に、死んだ人は石の家に住むと信じていた。フランス人はその文化を知って、王宮を石で囲み、マダガスカル王家を「死者」に見立てた。
21世紀に生きる知人のマダガスカル人も、あれは棺みたいのように見えるから、当時のマダガスカル人の心は完全に砕かれ、素直にフランス統治を受け入れるようになったのだろうと言う。

やり方はまったく違うけれど、この場合は、韓国の金泳三元大統領やソウル市が主張した「民族魂の抹殺政策」が成功したことになる。

 

 

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