協力関係と謝罪要求　時代が変わっても変わらない韓国人の思い　

きょう3月１日は、３月の始まりだ。
しかし、韓国でこの日には、憲法の前文に「悠久な歴史と伝統に輝くわれわれ大韓国民は、3・1で建立された大韓民国臨時政府の法統」を継承することが明記されていて、現在の韓国が始まった日という見方がある。

日本に統治されていた1919年のこの日、今のソウルの中心部に33名が集まり、

「吾らはここに、我が朝鮮が独立国であり朝鮮人が自由民である事を宣言する」

という文から始まる独立宣言を読み上げ、万歳三唱を行った。これがきっかけとなり、多くの民衆が参加する全国的な独立運動に発展。
現在の韓国でこの「三・一運動」は特に重要な出来事と認識され、学校の歴史教育でくわしく教えられている。
この日は「三一節」という祝日で、記念式典が開催され、韓国の大統領が国民に向けて演説を行うことがお約束。その内容は、日本については協力関係が不可欠であり、未来志向の関係の重要性を訴え、そのために歴史問題の解決にふれることが「あるある」だ。

2014年には朴槿恵（パク・クネ）大統領が「加害者と被害者という立場は、1000年過ぎても変わらない」と述べ、日本では「どれだけ謝罪すればいいんだよ」という反発だけでなく、ネット上では「千年恨（千年の恨み）」というパワーワードが生まれたのも記憶に新しい。

ことし2025年の３月１日現在、韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領は内乱首謀罪で起訴され、獄中にいるため、大統領代行が「三・一節」の演説で、「両国がともに過去の痛みを癒やしながら韓日関係の新しい章を開いていくことを期待している」と述べた。
過去の痛みを癒やすというのは、「歴史問題はまだ解決していない」ということで、暗に日本にそのための行動（＝謝罪）を求めていると考えていい。

 

ネット上には、日本人と韓国人が集まって文化や観光地、グルメスポットを紹介しあうアットホームなグループがいくつもある。相手の国が好きな人が集まる協力的なグループでも、歴史問題の投稿をするとよく大荒れになるため、そういった政治的なメッセージは禁止されている。
しかし、あるグループでは、この日に沈黙することはできないらしく、韓国人メンバーが「今日３月１日は日本支配に抵抗する運動が起きた日で、韓国では祝日です」と紹介する投稿があった。
すると、別の韓国人が「決して戦おうという意図はないので、誤解しないでください」と前置きをしてから、こんなコメントを書く。

저는 일본 좋아하고 알본어 공부도 열심입니다.
근데 많이 아쉬운건… 좀 일본이 과거 반성…
意訳：私は日本が好きで、日本語の勉強も熱心にしています。
でも残念なのは… 日本が過去の反省をしないことです…

続けて、こんな不満を言う。

国民の投票によって選ばれ、国民を代表している首相も韓国に謝罪をしないで、独島を自国の領土と主張する。
「悪かった。ごめんなさい」と言うのがそんなに難しいですか？

 

しかし、最近の歴史を知る人なら、2023年に尹大統領が「日本はすでに数十回にわたってわれわれに歴史問題について反省と謝罪を表明している」と述べ、日本に対する謝罪要求はもうやめようと強調したことを知っているはず。
「千年恨」の朴大統領も、2015年に慰安婦問題で安倍首相が「心からのお詫び」を伝えてからは、日本に謝罪を要求していない。
過去の歴史問題については日本が反省して何度も謝り、日韓両政府が話し合って「最終的な解決」を確認したから、今になってまた日本が頭を下げることは、合理的にも現実的にも不可能だ。

日韓はお互いに、協力関係の構築を望んでいることでは一致している。しかし、謝罪要求をされると、日本側は「またか…」と引いてしまい、協力関係が遠ざかる。しかし、韓国側は、官も民も謝ってほしいという願いを持ち続けていて、協力関係の必要条件と考えている。
この認識のギャップや駆け引きは、時代や大統領が変わっても本当に変わらない。

 

 

【儒教的な上下関係】天皇か日王か？ で苦悩する韓国

天皇への謝罪要求　韓国が踏み、日本の嫌韓を発生させる地雷

韓国人の日本の文化への見方とは①小学校の歴史教科書から

恋愛事情にみる韓国人との違い①日本人の男は情けない！？

過去に対する認識の違い：水に流す日本人と掘り起こす韓国人