反省しない日本 vs 国内のぼったくり 韓国人が腹立つのはどっち?

2024年6月、円安は控えめに言って異常レベルで「1ドル=160円」の壁を突破した。しかし、最近はそんな傾向も収束しつつある。
外国人にとって円安は、勝手に物価が安くなるボーナスタイムだったから、特に韓国では日旅行が大ブームとなり、訪日韓国人は過去最高レベルで爆増した。しかし、円の価値が上がったら、そんな熱も冷めてしまった。って思うじゃないですか?

現実はそうではなく、韓国の人たちはあいかわらず日本に熱視線を送っている。
先日、韓国の旅行アプリ「スカイスキャナー」が検索データをもとに、春に人気の旅行先を公開した。
それによると、1位は国内・国外に関係なく、「どこでも」(20.7%)だった。が、それ以下を見ると、2位は「福岡」(17.0%)、3位は「大阪」(13.8%)、4位は「東京」(13.5%)で、そして5位に韓国の「済州島」(11.9%)が入った。
具体的な場所なら、上位のほぼすべてが日本の都市で占められていた。
円の価値に関係なく、韓国人にとって、あいかわらず日本は人気の旅行先ナンバーワンだ。
ちなみに、6位は台北(5.9%)、7位は上海(4.9%)、8位は香港(4.5%)、9位はダナン(4.1%)、10位はバンコク(3.7%)だった。

 

しかし、こうなった背景には「自滅」もある。
韓国に失望したことで、相対的に日本に魅力を感じる韓国人が増えたのだ。国内旅行に対する関心が低くなり、お金を使いたいと思う人が少なくなっていることはデータでも判明している。
おそらく韓国で最も人気の高い観光地の済州島が5位だったことからも、そんな韓国民の意識が分かる。

韓国人が国内をスルーして、日本行きのチケットを握りしめるーー。
そうなった大きな理由のひとつが、国内の「ぼったくり」だ。

韓国人が国内をスルーして、日本行きのチケットを握りしめるーー。
そうなった大きな理由のひとつが、国内の「ぼったくり」だ。
朝鮮日報の記事(2024/07/12)

「週末なのに静か」「並ばず入れる」 ぼったくり騒動に揺れた済州島の今

この2カ月ほど前、済州島で「脂身サムギョプサル騒動」が起きた。
ある韓国人が済州島を旅行し、有名な焼肉店でサムギョプサルを注文すると、脂身ばかりでほぼ真っ白な塊が出てきた。彼(彼女?)が怒って抗議したが、店員は「これくらいなら肉が多い方だ」と一蹴される。
そんな“ダメ肉”に約1万6700円を請求され、客はネットに「腹が立って眠れません。済州島に行かないでください」と投稿すると、共感する韓国人が続出。そんなぼったくり騒動もあって済州島の評価は急落し、そこへ足を運ぶ韓国人も減った。
そんな中、ある韓国人が週末に済州島を訪れた。すると、人気の店でもほとんど並ばなかったし、そもそも街に人があまりいなかったと驚き、SNSで「みんな東南アジアとか日本に行ったのかな」と投稿し、それが世間の注目を集め、こんなコメントが寄せられたという。

「(済州は)もはや死にかけているんだな」
「もっともっと、そうなってほしい。それでもどうせ(済州は)目を覚まさないだろうけど、(ソウルの)広蔵市場や仁川を見れば分かるよね」
「済州島で使うカネがあれば、海外で豪華なおもてなしを受けてくるよ」

「ぼったくり」は韓国社会の天敵だ。2年前には、それを撲滅するためにソウル市(中区)が動いたと、中央日報が報じた。(2023.07.19)

「ソウル明洞、ぼったくり料金との戦い」10月から110万円の過料

韓国での日本旅行ブームは新しくない。それは数年前から続いていて、2023年に、知人の韓国人(20代の男性)と話をしたときにその理由を聞いてみた。
彼の意見では、日本は距離がとても近いから、金曜日の夜に出かけて週末に旅行を楽しんで、月曜日の仕事に間に合うという点が大きい。それに、韓国に比べてサービスのレベルが高く、日本には魅力的なところがたくさんあるから、一度行くとハマってしまう。
まったく予想外だったのは、彼が発したこんな一言だ。

「それにね、罰を与えたいんですよ」

 

コロナ禍で海外へ行けず、旅行は国内に限定されていたころ、各地で客の足元を見て“ぼったくり”が続出したという。彼の友人が済州島へ行って刺身を注文したら、「ギリ千円を超えるかな?」という質と量で、3千円以上も取られた。怒った友人がSNSで報告すると、「わかる! オレもやられた!」といった共感メッセージが返信できないほど殺到した。
そんなぼったくり被害が各地であったこともあり、最近では国内ではなくて国外、特に「安・近・短」の日本へみんな行きたがる。

そんな話を聞いても、2019年に「日本製品のボイコット運動」があったことを思うと、日本人の立場では素直に喜ぶことはできない。当時、韓国各地で「日本製品は買わない、使わない、日本に行かない」のノージャパン運動の嵐が吹き荒れ、多くの日本人を怒らせた。
それが今では「ゴージャパン」と、手首がちぎれるほどの“手のひら返し”をしている。
韓国人からすれば、日本は歴史の加害者なのにそれを認めず、しっかり反省や謝罪しないことがノージャパン運動の原因にあったと考えるはず。

そんなことで、彼に「過去と向き合わない日本」と「国内のぼったくり」のどっちがイヤか、ある意味で究極の二択を迫ると、今は間違いなく後者だと言う。
「歴史に不誠実な日本」は昔からのことで、腹は立つけれど、観念的なことだし耐性もついている。しかし、ぼったくりはそうじゃない。自分が損をすることには激しい怒りが込み上げてきて、それに慣れることは絶対に不可能だ。

キリスト教の主にカトリック教会では、伝統的に「異端の罪は異教の罪より重い」という発想があるという。イスラム教やユダヤ教などよりも、考え方の違う同じキリスト教徒のほうにより大きな憎悪が向けられる。
13世紀には、ローマ教皇インノケンティウス3世が戦いを呼びかけ、それに応じたカトリック教徒の軍隊がフランス南部にいたアルビ派の人たちを虐殺し、追放する出来事があった。(アルビジョア十字軍

話を戻すと、知人の韓国人は「反省しない日本人」よりも、「不当な利益を得る同胞に罰を与えたい」という気持ちのほうが強かった。若い世代では、自分と同じ考えの人が多いと断言する。
つまり、しっかり過去を反省し、心を入れ替える必要があるのは、今は日本よりも韓国内の観光・飲食業界のほうらしい。それをしなかったら、「ラブ・ジャパン」の流れは止まらないかもしれない。

 

 

韓国 「目次」

【二宮尊徳】韓国の歴史にはいなかったタイプの日本人

もし、日本人が着物姿で景福宮にいたら、韓国民はどう思う?

「右傾化」が進む日本にいて、韓国人はどう感じている?

【価値観の違い】約束・ルールの日本人と情・正義の韓国人

韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?

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