1億7千万人以上の人が住んでいて、世界の人口ランキングでは第8位とかなり上位にいる(2022年)。それがバングラデシュという国。
経済が低迷していて、「失われた30年」が枕詞となった日本とは違って、バングラデシュの経済成長はうらやましいほど順調だ。アメリカの投資銀行ゴールドマン・サックスやエコノミストが、21世紀中に世界的な経済大国になれる力を秘めた11カ国を発表した。その『NEXT11』にバングラデシュが選ばれている。
バングラデシュは次にブレイクする可能性がとても高い。一方、そのころの日本では、経済大国が美しい思い出に変わっているかもしれない。
ではこれから、そんな国からやってきた人に聞いた話を書いていこう。
ーー日本とバングラデシュは宗教的には「真逆の国」だとよく思う。
日本は宗教色がとても薄く、国民の90%がムスリムのバングラデシュではイスラム教がとても濃い。
まずは、あなたの誤解を訂正させてほしい。バングラデシュはインドネシアと違ってイスラム教の国ではない。国内には仏教やヒンドゥー教を信じる人もいるから、宗教に対してとても寛容なんだ。法律ですべての宗教が平等と定められていて、それぞれの重要な祭りの日は国の祝日になっている。
ーーそこも日本とは反対だ。日本ではクリスマスもお釈迦さまの誕生日も平日で、祝日と宗教は関係ない。
*「あなたは誤解している」と突っ込まれてしまったけれど、バングラデシュでイスラム教は国教と定められているから、誤解しているのは彼のほうだ。インドネシアではイスラム教が国教とされていないから、イスラム色もバングラデシュよりは薄いと思う。
イスラム教徒の女性が身につけているヒジャブ
ーー15年ぐらい前、日本に住んでいるバングラデシュ人の男性から、「バングラデシュでカラオケボックスなんてありえない。あんなものがあったら、国民は“悪魔の箱”と怒って破壊してしまう」と聞いて、とても驚いた。
バングラデシュは経済的に発展して価値観も変わったと思うけど、今ならどうだと思う?
日本のようなカラオケボックスは、今でも無理だろうね。バングラデシュでは、若い男女が個室に入るのはとても不道徳な行為と見なされる。それを誘発するカラオケボックスは“悪魔”と認識されて、そんな存在はきっと許されない。
ーーカラオケボックスは反イスラム的、日本風に言えば「反社の箱」か。
そう言えば悪魔っていうのは、人に直接悪いことをするんじゃなくて、人に悪いことをさせようとする存在なんだよね?
そう。悪魔は人をそそのかす存在だ。
ーー以前、日本の大学に留学していたインドネシア人のイスラム教徒から、こんな話を聞いた。
インドネシアではイスラム教徒の女性は外出するときには、頭にヒジャブをつけて髪を隠している。それが昔から当たり前だったから、大学のキャンパス内を移動していて、たまたま目の前に女性のうなじが見えた時には、その白さにすっごくドキドキしたらしい。
イスラム教的にはあれも悪魔になるん?
いや、それはどうだろう。悪魔がかかわっているかもしれないけれど…。
でも、彼の気持ちはよく分かる。私も日本に来て最初のころは、若い女性のうなじやミニスカートからのぞく足を見て、何度も心臓がバクバクしたからね。
ーー日本語で言うなら、悪魔よりも小悪魔だな。日本の社会は、イスラム教徒を誘惑する要素にあふれていそうだ。
違う文化の国へ行けば、基準が変わるから誰でもそうなる。
アメリカに住んでいた日本人男性が、公園を散歩していたら、若い女性が水着姿で寝そべっていたり、トップを外して下向きになっているのを見て驚いたと言っていた。欧米で「文明の衝突」が起こるわけだ。
コメント
コメント一覧 (2件)
> バングラデシュでイスラム教は国教と定められているから、誤解しているのは彼のほうだ。インドネシアではイスラム教が国教とされていないから、イスラム色もバングラデシュよりは薄いと思う。
へぇ、不思議ですね。
バングラデシュから日本へやってくるくらいだから、その彼は、それなりに学識も経済的余裕もある人物なんでしょ? それがどうしてそんな風に自国の基本的システムに関して間違いをするんですかね? 彼らの意識では、法律は、現実社会においてそれほど権威や実権を有するものではないと、軽んじられているってことですか?
またその対比にインドネシアをわざわざ持ち出して、「我々の国はあれほど遅れた国ではない」と主張していることも不思議です。何か理由があるのでしょうか? インドネシアで酷い目にあって、バングラデシュへ逃げてきたとか?
日本の政治や社会の基本的なシステムについて、憲法で確認する日本人はまずいないと思いますよ。
>「我々の国はあれほど遅れた国ではない」と主張している
彼はこんなことを言っていませんでした。