「違法な献金勧誘は40年間にわたって全国で行われ、例のない規模の被害を生じさせた」という理由で、先日、東京地裁が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散を命じた。
旧統一教会は信者の信仰心を利用し、長年にわたって「献金」として不当に財産を奪い続けた。1500人以上が被害を受け、総額は200億円を超えている。
信者は世界中にいたのに、こんな多額のカネを奪い取られたのは日本人の信者だけ。なんで日本人は彼らに騙されたのか?
その大きな理由の1つに、旧統一教会の独特の主張が日本人の「心に刺さった」ことが挙げられる。毎日新聞の説明によると、旧統一教会は日本を第二次世界大戦を起こした「サタン」と決めつけ、韓国との関係を次のように定義した。(2022/8/26)
韓国は日本によって苦痛を受けた被害者。だから、過ちを犯した日本が韓国に補償しないといけないとみなす。
旧統一教会、発祥地の韓国でなぜ話題にならない?「日本と違う役割」
日本は韓国を侵略して支配し、韓民族に筆舌に尽くしがたい苦痛を与えた。歴史の加害者である日本人は自分たちが犯した罪を認め、献金をするなどして償(つぐな)う必要があると、旧統一教会は主張した。
本当に一方的で勝手な理屈だ。しかし、そんな話を聞いて心を打たれ、贖罪の気持ちから教会に多額の献金をして、生活や家族が崩壊した信者が続出した。山上容疑者の母親は1億円以上を旧統一教会に渡し、家庭が崩壊したことが安倍元首相を暗殺した動機になっている。
韓国で行われた合同結婚式では、日本人女性の割合が圧倒的に多かった。その理由は「加害者の日本人は韓国人に贖罪をしなければいけない」という主張に日本の女性信者が“共感”したからだ。
その背景について、ウィキペディアにはこんな説明がある。
自虐史観の歴史認識を日本人信者に教え込み、韓国への罪滅ぼしとして多額の献金や過酷な経済活動や霊感商法を始めとする詐欺行為の加担を強いていた。
多くの信者にはもともと「日本は悪い国だ」という自虐史観があり、それが旧統一教会の反日思想とシンクロして、「韓国への罪滅ぼし」をしなければいけないという発想に追い込まれた。
教祖の文鮮明は「韓民族に重い原罪を負っている日本人の結婚相手は、動物でももったいないくらいだ」とまで言った。しかし、日本人の信者には、日本人に生まれたことを悔やむ人も少なくなかったという。文鮮明はそんな日本人でも、神の愛で救うことができると主張した。
こんなバカげた説を本気で信じてしまうのが洗脳の恐ろしさ。
以上のことはウィキペディアに書いてあるし、日本のメディアも報じていたから、今では多くの日本人が知っているはずだ。
多額の献金や霊感商法は別として、「加害国の日本は自分の犯した罪を認め、被害国の韓国に償う必要がある」という発想から、日本に謝罪を要求する考え方は韓国では常識的だ。そんな歴史認識に共感する日本人も一定数いる。
日本政府は過去の歴史問題について何度も謝罪し、両国政府の話し合いによってすでに「解決済み」としているから、韓国にはもう謝罪をしていない。ほとんどの国民もそれを支持している。
そんな政治的な理由とは別に、今回の件で、贖罪の気持ちを利用されて多くの人が不幸になったことを知って、過去の歴史に罪悪感を感じたり、韓国に謝罪したりすることに抵抗を感じる日本人は増えたはず。それを証明するデータはないが、一連の報道を見て、日本を「サタンの国」とする旧統一教会の主張に共感するよりも、それを嫌悪した人のほうが圧倒的に多いということは断言できる。
邪教に解散命令が出るのは当然。もうこんな被害者を出さないためにも、「日本=悪の国」という歴史認識はなくす必要がある。
コメント