【うま味】日本人が発見し世界中に広がった味 ドイツではどんな感じ?

この世界には「5つで1つ」というユニットがいくつもある。
たとえば、万物は火・水・木・金・土の5つの要素で成り立っているという中国の考え方を「五行」と言う。ほかにも五色や五感があるし、わりと最近ではゴレンジャーがいる。

五つの基本味もその一つで、これには甘味・酸味・塩味・苦味、それに「うま味」がある。基本味とは、味覚を感じるための基本的な要因で、ほかの味を組み合わせても作り出せない独立した味のこと。日本人が発見したこの「うま味」は、現在では世界中に広がっているという。

英語版ウィキペディアには、東京帝国大学の教授だった池田菊苗が「うま味」を発見し、1908年に「うまい」という言葉から新しい名前を作ったと紹介されている。

This neologism was coined in 1908 by Japanese chemist Kikunae Ikeda from a nominalization of umai (うまい) “delicious”.

Umami

 

英語には「うま味」にぴったり合う言葉がなく、あえて言えば「meaty」「savory」「broth-like」などが近い。でも、どれも厳密には違うので、日本語の「うま味」がそのまま英語に取り入れられた。

うま味の正体はグルタミン酸だ。池田は、昆布だしのおいしさがグルタミン酸によるものであることを発見し、世界で初めて科学的に特定した。彼は昆布だしの味が甘味、酸味、苦味、塩味とは違うことに気づき、「うま味」と名付けた。昆布や鰹節を使って作る出汁(だし)にはうま味が含まれている。出汁は日本料理でよく使われているから、日本人は名前を知らなくても、うま味(グルタミン酸)の存在に気づいていたのだ。
そんな日本発の新しい味について、友人のドイツ人に聞いてみた。

 

ーー最近、日本のネットメディアに、「うま味」がドイツでも人気になっているという記事があった。でも、この手の話には「盛りすぎ」がよくある。前に「イギリスで今、日本の◯◯が大ブーム!」という記事を見て、実際にイギリス人に聞いたら、「なにそれ? 初耳」と言われて話が終わった。
うま味については本当?

それはガチ。ドイツでも10年くらい前から、新しい味として「ウマミ」が有名になってきていて、日本語の「Umami」で通じる。

ーーうま味がドイツ人に受け入れられた理由は何だと思う?

うま味は昆布から発見されたんだろ? ドイツ人は日本人と違って、昆布やワカメとかの「Sea vegetable(海の野菜、海藻のこと)」を食べないから、日本っぽい味が新鮮だったのかもね。

ーードイツではどんなときに「うま味」が使われている?

うま味は野菜や肉の料理に合うから、ドイツ人はいろいろな料理で使っている。そう言えば、アーヘンに住んでいた時、私が好きだった韓国料理店のテーブルに「うま味ソース」が置いてあって、時々それを料理にかけて食べていた。韓国料理にはうま味ソースをたくさん使うイメージがあるね。

ーーへ〜、本国の韓国人に、海外同胞によるその“反愛国行為”を教えてあげたいな。ところで、ドイツにも「うま味」みたいな調味料はあるの?

「マギー(マギーソース)」がある。ちょっと塩辛いけど、ドイツ人には人気。でも、これが苦手な外国人もいるから、うま味と違って評価は分かれると思う。

 

西洋料理(特にフランス料理)でも、肉や香味野菜から出汁を作り、スープのベースとして使っている。この出汁をフランス語では「ブイヨン(Bouillon)」と言う。
19世紀にスイスからドイツに移住したユリウス・マギーが濃縮液体ブイヨンの「マギーシーズニング」を開発し、販売を始めた。今ではマギーは世界的に有名で、日本でも販売されている。ちなみに、世界で初めてインスタントスープを販売したのもマギーだ。

参照:ネスレのブランドヒストリー 「マギー」の魔法

 

 

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