アジアの夜を変えた日本人の発明が「カラオケ」なら、人類の健康を変えたインド人の偉大な発明は「ヨガ」と「カレー」だ。
北半球で一番日が長くなる夏至は、各地で特別な日とされている。このため、インドのモディ首相は6月21日を「国際ヨガの日」にしようと国連総会で提案し、それが承認された。
モディ首相によると、ヨガは5000年の歴史があり、ヨガをすることで意識を高め、より幸せになれるそうだ。現在、ヨガは世界中で人気があり、インド政府はヨガを広めることで、インドの国際的な存在感を高めたいと考えているらしい。
そんなことで、2日前、モディ首相は市民と一緒にヨガのイベントに参加し、ヨガの魅力を国内外にアピールした。
さて、友人のインド人、クマールさんは日本で約3年働いた後、5年ほど前に帰国した。最近、彼が出張で日本にやって来て、久しぶりに会って話をしたので、今回は会話の要点を短く書いていこう。
なお、これは彼の個人的な意見なので、他のインド人に聞いたら、また違った意見が出るかもしれない。
◯日本の生活について
・彼にとって一番大変だったのは「言葉の壁」だった。彼の日本語スキルは、メールで「こんいちは」と書いてしまうレベルで、挨拶や超簡単なやり取りはできるけど、会話はむずかしい。周りの日本人も英語を話せないので、コミュニケーションに苦労した。
・インドにはヒンドゥー教のルールで肉を食べたり、牛乳を飲んだりできないヴィーガンの人が多い。彼の友人もその一人で、肉食大国の日本ではヴィーガン生活が大変だと不満を言っていた。
・ヒンドゥー教では牛を神聖視しているので、信者は絶対に牛肉を食べられないと、一般的には思われている。でも、ヒンドゥー教の中にもいろんなグループがあり、彼はヒンドゥー教徒でも牛肉や豚肉を食べることができる。だから、日本の食文化でも問題はなかった。
・日本人はとても礼儀正しいから、彼は不快な経験をしたことはなかった。でも、彼がヨーロッパで働いていた時と比べると、日本人は少し冷たい。ヨーロッパ人の同僚はフレンドリーで、サッカーやパーティーに誘ってくれたけど、日本ではオフィス以外で同僚と会うことはほとんどなかった。日本人の仕事仲間が彼を自宅に招いてくれたのは、3年間でほんの数回しかなかった。
◯日本の文化で驚いたもの
メイドカフェを知って、「日本人の発想はすごい!」とビックリしたけれど、いちばん衝撃的な日本文化は温泉。インドの文化では、人前で裸になることは考えられないから、とても恥ずかしかった。でも、温泉はうわさどおり気持ちよかった。
◯日本とインドの違いは多様性
・インドにはたくさんの民族が住んでいて、地域ごとに独自の言葉がある。だから、別の州に行くと新聞や看板の文字が読めないことは「インドあるある」だ。
※AIによると、インドには22の公用語がある。国内には約460以上の言語があり、方言を含めると1600を超える。インドで開発されたSNS「ShareChat」は、ヒンディー語、ウルドゥ語、テルグ語など、15の言語に対応している。
・日本はインドとは反対に、とても画一的な国。言葉は変わらないから、どこに行っても日本語が通じる。仕事のやり方を見ていると、日本人は意思決定が早いと感心する。彼が考えるに、その理由は基本的な価値観や考え方が似ているから。
・ヒンドゥー教徒とイスラム教徒、さらには同じヒンドゥー教徒でもカーストの違いなど、インドの社会は多様性が豊かなぶん、対立や分裂が起こりやすい。そのため、立場や価値観の違いを認め、寛容な態度を持つことがとても大切になっている。
◯イギリスの植民地支配について(イギリス領インド帝国:1858年 – 1947年)
・イギリスがインドでおこなった最悪の出来事は、1919年のアムリットサル事件。パンジャーブ地方にある都市アムリットサルで、イギリス軍(英印軍)が非武装の市民に無差別射撃を行い、1500人以上が死傷した。この事件がインド人を怒らせ、反英運動が激化した。
・イギリスの支配には良い面もあった。それはインドを統一したこと。現在のパキスタンやバングラデシュも含めて、歴史的にインドは初めて一つになった。
コメント
コメント一覧 (2件)
> どこに行っても日本語が通じる。仕事のやり方を見ていると、日本人は意思決定が早いと感心する。彼が考えるに、その理由は基本的な価値観や考え方が似ているから。
へぇ、日本人の仕事の進め方に関してそのような感じを抱く外国人もいるのですね。初めて見ました。
外国人から通常よく言われるのはそれと全く逆で、「日本の企業は意思決定が遅すぎる」なんですが。
この感想は私にも意外でした。事前の「根回し」があったから、仕事が早く進むように見えたのかな、と思います。