空気を読まないインド人がグイグイくる 日本人との文化や性格の違い

「20代のうちに、やっておきたいことはありますか?」

最近、タレントの渡邉渚さんはこの質問に、「価値観をぶっ壊されたい」という理由でインド旅行を挙げた。「自分を変える旅」というテーマで海外旅行先を考えた場合、日本とまったく違う文化や価値観をもつインドを選ぶ人は昔から多い。
インドを旅して価値観を変えたいなら、「インド人とのふれ合い」という要素は欠かせない。インドに行くのはハードルが高すぎるという人でも、国内にいるインド人と出会い、価値観をマイルドに変えることは可能だ。
個人的に、これまでインドには5回以上行ったことがあって、日本国内では少なくとも20人以上のインド人と交流してきた。その経験から言うと、個人差はあるものの、日本人に比べてインド人は全体的に「空気を読む」というスキルが絶望的にない。

60年ほど前、日本の社会を支配しているのは法律ではなく、“場の空気”であるというという本(「空気」の研究)が発売された。それによると、日本では正体不明の空気が人々を統制していて、空気に逆らうことは“罪”になる。第二次世界大戦の末期、今さら戦艦大和を出しても意味がないことを示すデータはたくさんあったのに、会議の場では誰も反論できず、「その場の空気」から戦艦大和の出撃が決定したという。
現在の日本でも、周囲の空気を読まず、浮いてしまう人はたいてい嫌われる。

「空気を読む」という文化は日本独特だから、外国人には理解しにくい。AIの情報によると、日本人は他人の気持ちを察して尊重し、自分の意見を言わないことが多い。しかし、インドの文化では自分の意見をしっかり述べることが評価される。
日印では、自己抑制と自己主張の価値観が大きく違う。
インド人同士のコミュニケーションでは空気を読む必要性があまりない。だから、「日本人はなんでハッキリ言わないんだろう? 何を考えているのかわからない!」という不満を感じるインド人は多い。
日本人のボクからすると逆に、「なんでインド人は相手の気持ちを考えずに、好き勝手なことを言うんだろう」とストレスを感じることがよくある。
だからこそ、異なる文化や価値観がぶつかることで得られるものもある。

 

10年以上前、インドでは街中を歩いていると、象とすれ違ったり、コブラを見かけたりすることが日常的にあった。

 

以前、インド人、アメリカ人、タイ人、台湾人、リトアニア人を連れて日帰り旅行をした。さまざまな国籍の外国人とやり取りをしたり、一緒に行動したりすることで、インド人の「空気の読まなさ」やが際立った。自己主張が強いというよりは、注意や配慮が欠けていて、言いたいことを好き勝手に言う感じ。
インド文化の理解と個人的なストレス発散を兼ねて、これから一連の出来事を書いていこうと思う。

先ほどの外国人に「今度、日帰りで白川郷へ行こうと思うけど、興味ある?」とメールで聞いたところ、インド人だけがこんな質問をしてきた。

「can I know when we will return back again ? On the same day or the next day?」

浜松へ戻ってくる時間を尋ねるのはいいとして、「次の日?」と言っている時点で、彼は「日帰り」の部分を見過ごしていることがわかる。ちなみに、このインド人とはそれまで一度しか会ったことがなく、まだお互いのことをあまり知らない。つまり浅い関係だ。

もし仕事のメッセージなら注意深く読むのだろうが、プライベートの遊びの案件だと、メールをささっと見て「わかった」、「問題ない」と返事をするインド人はよくいる。そして、その後で疑問が浮かぶと、過去のメッセージを読み返さずに反射的に質問をするから、こちらがスクロールして該当箇所をコピペして送信することになる。
こうした二度手間、三度手間があると、地味にストレスを感じる。
それに対して、ひとこと「ありがとう」と言ってくれるといいのだけど、もうそんな素敵な言葉は期待していない。

 

浜松から白川郷まで、ボクが車を出して7人で行くことが決まったから、ボクが彼らを迎えに行く時間やルート、食事の場所などを考えて計画を立てた。
それを完成させて参加メンバーにメールで伝えると、インド人から次の質問がきた。

「I will not eat non veg is that ok to join ?」
(私はベジタリアンフードしか食べられない。それでも参加しても大丈夫か?)

「veg. is」とピリオドがなかったので、一瞬これでひとつの文章だと思ってしまった。面倒くさいのはわかるが、この省エネはちょっと失礼だ。
インド人と一緒にどこかへ行くなら、相手がベジタリアンであることを前提にするのは常識。今回は、それを考慮して計画を立てておいたから、特に問題はなかった。
まだインド人に慣れていなかったころ、前日になって「肉はダメなんだ」と言われたから、急いでベジタリアン対応のレストランを探して予定を組み直さないといけなくなって、かなり面倒な思いをした。それでも彼から「ありがとう」はなかったから、もうそういう言葉を期待するのはやめた。

宗教的な理由なら仕方ないが、問題は直前になって「私はベジタリアン以外は食べない」と言って丸投げすることだ。そういうことはもっと早めに伝えてほしい。予定がすべて決まってから、「参加しても大丈夫か?」では遅すぎる。インド人との付き合いでは、配慮に欠けると思うことがよくある。

 

今回のインド人は、前日になってこんなメールを送ってきたからビックリした。

「my friend is also interested to join for Tomorrows trip can he also join with you please do let me know, thank you」

手間を排除して文を作ったらしく、相変わらずピリオドがないし、「Tomorrow’s trip」になっていない。読みづらい文章を送っといて、語尾に「ありがとう」とつけるところがインド人っぽい。
日本人が友人を誘いたい場合、かなり前に主催者に「誘ってもいいですか?」と確認するはずだ。その段階を飛ばしていきなり言えば、相手が困ると分かると思うのだけど、そんなことは考えない。しかも、彼以外に参加したい人が2人いるという。

彼は自動車メーカーに勤めていて、前にボクの車に乗ったことがある。9人は絶対に乗れないことを知っているはずだなのに、こんなことを言い出す発想が理解できない。
職場で同僚と話していて「今週末、白川郷に行くんだ」と言ったところ、「お〜、良いところじゃん。オレも行きたい」という展開になって、メールを送ってきたのだと思われる。彼はボク以外のメンバーを知らないから、自分から友だちを誘った可能性もある。

「車は7人乗りだから、悪いけどこれ以上は無理」と断ると、友人は車を持っているから、現地で合流して案内してほしいと言いだしやがった。
高速料金やガス代をみんなで割ることになっていたから、彼が参加しないと、1人当たりの負担が増すことになることは彼もわかっている。なのに、メッセージにはそれを気にする様子は1ミリもないから、腹が立つ。

このようにインド人との付き合いでは、空気を読まないでグイグイ来られることが多いため、防戦一方になったことが何度もある。突然変化を要求されるので、「価値観がぶっ壊された」とまではいかないけれど、柔軟性や忍耐力、包容力はかなり鍛えられた。

 

インド人との付き合いは長い。でも前日になって、現地で彼らと合流するか、まったく別々で白川郷を観光するかの二択を迫られるとは思わなかった。
もし前者を選んだ場合、彼らが大幅に遅れて、イライラしながら待たされる未来しか見えない。それにこの様子だと、当日にまた勝手なことを言い出して、無茶ぶりされるのは避けられそうにない。
だから後者を選んで、彼らには別行動してもらい、現地で会うかどうかは「その時しだい」とすることにした。せっかくベジタリアンレストランを調べて、予定を組み直した手間と時間は無駄になるけど、それは仕方ない。
それを伝えた後、返ってきた返事がこれだ。

「Ok no issue I alone will be joining」
(わかった、問題ない。オレだけ参加する。)

ほかのメンバーのインド人、アメリカ人、タイ人、台湾人、リトアニア人からは、最初の計画を伝えた後、一切メールは来なかったから、思いついた時に、言いたいことを言うインド人の「らしさ」が本当に際立った。
インド人と付き合っていると、こんな感じに空気を読まないでグイグイくるから、防戦一方になることが何度もある。「価値観がぶっ壊された」とまではいかなくても、いきなり変化を要求されるから、柔軟性と忍耐力、包容力のレベルは上がった。しかし、うれしいとは思わない。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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