日本人が驚いた中国の接客 店員が客を無視して怒り出す

外国語のテキストでよくある設定がショッピング。どこの国でも買い物はするし、そこでは簡単な言葉が使われるから、新しく言葉を学んでいる外国人には実用的で分かりやすい。
SNSを見ていたら、中国語を学んでいる日本人がテキストに載っている内容に驚いたと投稿していた。それはこんな流れだ。

ある男性がデパートで買い物をしていて、服屋の店員に「請問(すいません)」と声をかけた。でも、店員は返事をしない。男性がもう一度「すいません」と言ったけれど、店員は何も反応しなかった。そこで男性は「これは人間じゃなくてマネキンかな?」と言ったところ、店員が「おまえも人間じゃない!」と怒って言い返した。

外国人が学ぶテキストに、客が店員に無視されて怒鳴られるシーンを載せる発想は、日本人には、というか中国人以外には思いつかないだろう。
でも、このSNSの投稿を見て、「そもそも中国ではこんなことが日常的にあるのか?」と疑問に思ったから、日本の大学で学んでいる20代の中国人女性に聞いてみた。
すると、彼女は「ありますね」と即答。

特に世界的に有名な高級ブランドショップでは、店員が客の服やアクセサリーを見て、「コイツはお金を持ってなさそう」と判断すると、客が声をかけても返事をしなかったり、背中を向けて去ったりする。それでも客が声をかけると、今度は怒り出す。
中国では接客サービスがあまり発展していないから、店員が客を露骨に無視することがあるという。

でも、彼女の言うことには、同じ現象でも動機は違う。
「請問(すいません)」と言った客を無視した店員は、その時やる気がなかったか機嫌が悪かったから。特に男性店員がそんな自己中心的な態度を取ることが多いそうだ。
いっぽう、客を外見で判断する店員は、仕事に意欲や意識があるからこそ、「脈ナシ」と思った客は相手にしない。高級デパートの女性店員にそんな傾向が「あるある」とのこと。
だから、理由はいろいろあるけれど、店に入ってきた客を店員が無視する光景は中国では珍しくない。

「マネキンかな?」と言って店員が「おまえも人間じゃない!」と言い返す展開は、日本人の感覚からするとマンガの世界だ。でも、中国人にとっては、具体的なセリフは別として、店員が客に逆ギレすることは日常茶飯事らしい。
ということで、あのテキストの設定は、中国社会の現実をしっかり反映しているようだ。

 

 

ちなみに、彼女は「マネキン」という言葉が分からなかった。
中国語でマネキンは「模特(mótè)」というらしい。「model」の音訳で、絵画や彫刻のモデルやファッションモデルを指すこともある。
日本語の「マネキン」はフランス語の「マヌカン(mannequin)」に由来する。でも、これだと「招かん(客を招かない)」に聞こえるため、縁起が悪いということで、「マネキン」になったという。

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中国 「目次」

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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