大谷選手のように、世界を股にかける日本人は素晴らしいけれど、迷惑をかける日本人はノーサンキューだ。
日本人は一般的に無宗教で、世界的にも宗教的な色合いが薄いことで知られている。
以前、クリスマスの時期に、お地蔵さまが赤いサンタクロースの「コスプレ」をしている(させられている)のを見たことがある。
そんな宗教にユルい日本の反対側にある国がインド。
日本に住んでいたあるインド人は、「インドではヒンドゥー教徒とイスラム教徒が対立していて、暴動が発生して人が何人も死ぬことがある」となげいて、「日本は宗教に寛容で、テンション(緊張)をまったく感じない。すごく良いことだね」と絶賛していた。
とはいえ、「何でもアリ」というわけではない。
日本人は仏教や神道を大切に感じているから、外国人観光客が鳥居にぶら下がって懸垂をすると、「日本では日本の価値観に敬意をしめせ!」と大炎上した。
しかし、最近、「郷に入っては郷に従え」がブーメランとなって返ってきてしまった。

ガンジス川で沐浴をする人たち
インドのヒンドゥー教徒は、ガンジス川で沐浴をすることで、あらゆる罪や穢れが洗い流され、心身が清浄化されると信じている。
今年のクリスマス、日本人らしき男性が聖地バラナシを訪れ、サンタの赤い帽子と赤い水泳パンツを身につけた姿でガンジス川に入ろうとしたところ、周囲のインド人に止められ、猛抗議を受けた。仲間の男性が謝罪する事態が発生した。
ヒンドゥー教で神聖視されている川にキリスト教のシンボルを持ち込む行為は、「場違い」を超えて「宗教冒涜」になる。
「いやいや、ガンジス川を見に来た観光客から、インド人がぼったくる行為は神聖を穢す行為にならないの?」というツッコミはここではスルーしよう。
ヒンドゥー教徒の立場からすると、サンタの格好でガンジス川に入ろうとする外国人を見たら、「ここは神聖な川だ! すぐに立ち去れ!」と怒るのも当然だ。
ネット情報だからどこまで正確かわからないが、すでに彼らは特定済みで、「お騒がせ系の動画配信者」だったらしい。そのうちの一人が「これからガンジス川!」と予告していた。
「ガンジス川でバタフライ」という本やドラマがあるように、日本人は昔から、聖なる川をスイミングプールと同じように見て、正直言って舐めていたと思う。
くわしい状況は「動画」を見て確認してほしい。
「その日本人がガンジス川におしっこをした」という情報が流れてインド人を激怒させているが、これはフェイクニュースっぽい。
インドでやらかした日本人に、日本のネット民の感想は?
・こういう馬鹿を日本人と呼ばないで欲しいね
・他の宗教の最大の聖域でアホかな
・Zかな?アホだろこいつら
殺されなくてよかったなって感想しかないわ
・広島カープの帽子だったんじゃ?
・巨人のユニホームを着て、阪神応援席に入る様なもの。
外国人観光客が伏見稲荷大社の鳥居で懸垂をするようなもので、これはヒンドゥー教徒としては水に流せない問題だ。

その日本人はこんなことをやって、「ガンジス川からメルクリ!」みたいなお気楽動画を配信しようとしたのだろう。
ネットで現地の反応を探すと、もちろんインドの人たちは怒っていた(原文は英語)。
・教養が無いとこうなる。
・英国のテムズで足を洗っていて、怒られたインド人もいたな。
・彼らがいるのはゴア(きれいなビーチのあるリゾート地)じゃなくて、バラナシだ。ビキニやショーツを着て教会に行かないだろ?彼がやったのはそれと同じだ。
・彼らはヒンドゥー教徒の感情に配慮するべきだった…。
しかし、意外にも、日本人に激怒したインド人に対する批判もあった。
インドメディアの『The Hindu』の記事(2025/12/30)によると、外国人観光客に恐怖を感じるほど怒鳴り、謝罪させるまで追い詰めたインド人に対して、野党の議員が「嫌がらせ(harassment)」だと非難した。
Opposition condemns harassment of Japanese tourists over attire in U.P.
インドは多様性や「おもてなし」を尊重しているはずなのに、主要な観光地で外国人を公然と辱める行為をするのは、その価値観に反している。野党議員はその原因として、政府与党の「不寛容の文化」を指摘し、非難している。
実際、日本人観光客を「激詰め」インド人を批判するインド人は多い。
・聖水だって? でも、ヒンドゥー教徒はプージャ(祭り)をしたあと、大量のゴミをガンジス川に捨てるじゃないか 😂😂😂
・ヒンドゥー教徒は、自分たちのアイデンティティだけで世界が回っているわけではないことを認識する必要があります。このようなときは怒鳴ったり、しつこく迫ったりするのではなく、彼らを教育して知識を共有し、理解を深める機会にするべきです。
・親愛なる外国人旅行者のみなさん、インドを訪れることを計画しているなら、南部を選択することを強くお勧めします。インドの伝統的なおもてなしに、大きな誇りを持っている人たちと出会えるでしょう 🙏🙏🙏🙏
もちろん、彼らはサンタの格好でガンジス川に入るような、無知な日本人を擁護しているわけではない。だからといって、インドの寛容さや多調性の価値観からすると、外国人がおびえるほどの怒りをぶつけていい理由にはならないと考えているらしい。
しかし、日本人が未遂で終わらず、本当に沐浴していたら彼らの忍耐がどうなっていたかはわからない。
ガンジス川のガートで沐浴するヒンドゥー教徒

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