「戦争だけは絶対にしてはいけない」と日本でよく言われているが、世界の歴史には「これならギリセーフ」と思える戦争もある。
たとえば、1859年に起きた「豚戦争」だ。
豚一頭から始まった「豚戦争」
現在のアメリカ領サンフアン諸島で、一頭の豚が射殺されたことがきっかけで、アメリカとイギリスが軍を派遣し、戦争になりかけた事件だ。
結果的に両軍の兵士たちは互いのキャンプを訪問し合ったり、それぞれの祝日を祝ったりしてかえって仲良くなった。
くわしいことはこの記事をどうぞ。

戦闘行為はなく、死者も負傷者もゼロでハッピーエンドで終わった「戦争」なら、そう悪くはない。
もちろん、一歩間違えれば軍事衝突に発展する可能性があったから、「良いこと」とは言えないが。
もう一つの「ほのぼの戦争」ウイスキー戦争
さて、そんな一滴の血も流れずに終わった「ほのぼの戦争」はほかにもある。
それが、豚戦争から約100年後に起きたウイスキー戦争だ。
舞台となったのは、カナダとデンマーク領グリーンランドの間にある「ハンス島」。
1970年代に、両国がこの島の領有権を主張して対立し、話し合った結果、「領有権未決」というあいまいな状態で棚上げとなった。
1983年、カナダの石油会社の科学者がハンス島で調査をおこない、それをジャーナリストが記事にして新聞で発表したことで、この小さな島に大きな注目が集まった。
酒を置き合う「平和的な戦闘」
先に動いたのはカナダだ。
カナダ軍はハンス島に上陸し、カナダ国旗を掲げてカナディアン・ウイスキーのボトルを置いた。
これはデンマークに対する挑発行為にほかならない。
デンマーク政府はそのユーモアを理解し、「対抗措置」として担当大臣を派遣した。
大臣はハンス島でデンマークの国旗を掲げ、「デンマークの島へようこそ」と書かれたメッセージを設置し、さらにデンマークの蒸留酒「シュナップス」のボトルを置いてきた。
その後、カナダとデンマークの軍や政治家が上陸しては、
・自国の国旗を立てる。
・相手国の酒瓶を掘り起こす。
・自国の酒瓶を埋める。
といった、これ以上ないほど平和的な「戦闘行為」が約50年間にわたって続くことになる。
もともと両国は友好関係にあり、NATOのメンバーでもある。だから、武力衝突なんてできるわけがない。
それで、ほとんどネタのような感じで「ウイスキー戦争」と呼ばれるようになった。
2022年、ついに決着へ
しかし、いつまでもこんな「お遊び」はしていられない。
カナダとデンマーク政府が話し合い、2022年に、ハンス島を二つに分け、両国で分割領有することで合意。
カナダの外相とデンマークの外相は、カナディアン・ウイスキーとシュナップスのボトルを交換して、「世界で最も平和的な争いだった」とにこやかに語った。
ウイスキー戦争が示した平和へのメッセージ
しかし、この合意の裏には深刻な事情があった。
これはロシアによるウクライナ侵攻の最中に決められたもので、他の国々に対して象徴的な手本を示すとともに、領土紛争は平和的に解決できることをロシアに示唆する意図があったという。
The resolution occurred during the Russian invasion of Ukraine, and was meant to create a symbolic example to other nations, implying to Russia that land disputes can be resolved peacefully.
「豚戦争」や「ウイスキー戦争」は例外中の例外で、ロシアとウクライナの戦いも、いずれは終わりをむかえるだろうが、ハッピーエンドにはならない。
結論としては、やっぱり戦争はしてはいけないのだ。

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