日本・中国・韓国・ベトナムには共通点があった。
それは、漢字を使うこと。
でも今では、漢字を使っているのは日本と中国だけ。
韓国については、完全に使わなくなったわけではないけれど、日常生活で漢字を使うことはない。
友人の韓国人は、「テストを受けるときも、名前は漢字ではなくてハングルで書きますね。漢字が分からなくても生活はできますし」なんてことを言っていた。
でも、そんな韓国では今、自分や子どもの名前を漢字で書けない人が増えている。
zuuonlineの記事(2017/12/04)に、こんなことが書いてある。
2011年に成均館大学の李明学(イ・ミョンハク)教授が30代から80代の427人を対象に行なった調査で、自分の子どもの名前を間違えて書いた人は47.8%に上り、30.2%は一文字も書くことができなかった。若年層ほど漢字を書けない人が多く、崔、鄭、柳など、自分の苗字を書けない人も少なくなかった。
今でも韓国では、公式な場や慶弔は漢字を使うことが多い。
それで、結婚式のご祝儀袋や葬式の香典袋に書かれた漢字の名前を読むことができず、困ってしまうことがある。
でもさすがは、IT大国の韓国。
祝儀袋や香典袋の漢字が分からなかったら、それを写真で撮って、読み方を相談するインターネットサイトが増えているという。
でも、これは進歩か退化か?
「若年層ほど漢字を書けない人が多く、崔、鄭、柳など、自分の苗字を書けない人も少なくなかった」
これを読んで思い出したことがある。
インドを旅している時、コルカタの宿で、韓国人の女の子と中国人の男子大学生と出会った。
それで、日中韓の友好関係を深めるため、いっしょにご飯を食べに行くことになる。
別れ際、それぞれの連絡先を紙に書いて渡すことになった。
でも、韓国人の女の子の手が止まっている。
彼女は自分の名前の漢字を忘れてしまった。
それで、ペンを握ったまま、何とか思い出そうとがんばっていた。
「漢字で書く必要はないし、英語で書けばいいよ」とボクと中国人が言ったのだけど、彼女はそれを聞かない。
日本人のボクと中国人の彼が漢字で書いているのを見て、何とか自分も漢字で名前を書きたかったらしい。
でも、漢字を思い出すことはできなかった。
結局、ローマ字で書いた名前をボクたちにわたすことになる。
後から中国人がこのことに驚いていた。
「韓国が漢字を廃止したのは知っていたけど、まさか自分の名前も書けないとはね。ビックリしたよ。今、世界で漢字を使っているのは、中国と日本だけだね」
「韓日強制併合 100年」って、そこはハングル文字で書いてほしい。
漢字だと意味が分かってしまうじゃないか。
韓国は、日本でいう「旧字体」の漢字を使っている。
「强」は強、「驛」は駅、「福」は福のこと。
先ほどの記事にたいする日本のネットでの反応はこんな感じ。
・もう老人しか読めないだろ
・漢字文化消滅したから過去の文献も読めない学者が大杉
>社会・数学・科学・基礎漢字
日帝残滓では?
・韓国人が書く特有の日本語で「兔許」ってのを時々見かける
あと「業社」とか
・兔許は免許のことだと思うが、なぜウサギ?と思ってしまった
>日本と韓国、中国という漢字を使う3ヵ国。
初っ端から間違ってるじゃん。
・いいんじゃないかな好きにすれば
自分の意志で漢字文化圏を離れたんだから
2013年の時点で、漢字で「大韓民国」と書くことができない大学生が25%もいたという。
news-postsevenの記事(2013.06.18)で、韓国人の呉善花(オ・ソンファ)さんがこう言っている。
古典や史料がどんどん読めなくなり、大学の研究者たちでさえ1960年代に自らの指導教授が書いた論文を読むことができないのだから、問題の根はとても深い。(中略)今や教師の世代に漢字を教えられる人材がいなくなってしまった。自分たちの大統領である「朴槿惠」はおろか、過去の調査では大学生の25%が「大韓民國」を漢字で書けないとするものもあった。
国名を書けないのは、まだいい。
国民の3割が自分の子どもの名前を「一文字も書くことができなかった」というのは、日本では考えられない。
何か悲しくなる。
朝鮮時代(1392年~1910年)は漢字を使っていた。
韓国は日本の植民地支配から解放された後から、漢字を廃止してしまった。
1948年には「ハングル専用に関する法律」ができ、公文書での漢字の使用はなくなり、すべてハングル文字で書くことになる。
さらに朴正熙(1917‐1979)大統領のときに、「ハングル・ナショナリズム」がおきて、日常生活でも漢字をハングル文字に書きかえるようになった。
朴 正煕(パク・チョンヒ、ぼくせいき)
職業軍人だったが、1961年の軍事クーデターで国家再建最高会議議長に就任し、1963年から1979年まで大統領(第5代から第9代)を務めた。彼の時代に『漢江の奇跡』と呼ばれる高度経済成長が実現されて韓国は世界最貧国の層から脱した。
「ウィキペディア」
韓国で漢字が廃止されたのはこのあたりの時代だ。
1980年代には新聞や雑誌も漢字を使わなくなった。小学校での漢字教育は一切禁止となり、教えた教師は懲戒免職など重い処分を受ける徹底だ。
「漢字を教えたら懲戒免職」ってのは、やり過ぎだろう。
先ほどの呉善花(オ・ソンファ)氏が小学6年生のときに、学校教育で漢字が廃止された。
そのときのことをこう書いている。
六年生になると、教師から「これからは漢字を勉強しなくてもよろしい」と言い渡され、教室中が私たち生徒の歓声でどよめいたのをよく覚えている。そして中学に入り、一九七〇年の春からすべての教科書から漢字が消えていった。
「漢字廃止で韓国に何が起きたか (呉善花)」
この結果、今では自分の国や名前、子どもの名前を漢字で書くことができない韓国人が増えている。
でも、2019年から、小学5年生と6年生で漢字教育が復活する予定になっている。
結局、「オール・ハングル」ではムリがあったのだろう。
韓国で見た日本語。
「數」は日本の漢字だと数。
「わ」は「れ」の間違い。
「いまーす」というのは元気があってよろしい。
ソウル駅
ソウルは漢字で書けないから、ハングル文字表記になっている。
ソウルの漢字として、「京都」という漢字をあてていたこともあった。
実は”ソウル”も”京都”も意味は同じだから。
英語にしたら、どっちも「capital」になる。
くわしくはこの記事を↓
韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?
おまけ
ソウルの繁華街、明洞(ミョンドン)。
日本の植民地時代は「明治町」とよばれていた。
この街をつくったのは実質的に日本人だから、ここを歩くと日本に近い感覚がする。
こちらの記事もどうですか?
なんで名前を漢字にしてるんだろ?
ハングルでいいじゃん。
たしかに