21世紀の現代において、絶対に許されないのが人種差別。
人権意識の高まりを受けて、日本では、昭和時代には当たり前のようにあった「肌色」が無くなった。
さまざまな民族・宗教の人たちが暮らすアメリカ社会では、とくに人種差別に対する意識が敏感だ。
アメリカでこの手の問題を起こすと本人だけでなく、間接的に関係する人たちを巻き込み、大騒動へと発展し、重い代償を払うことになる。
これから、アメリカのスターバックスに関連してそんな「失敗例」を紹介しよう。
今年4月、アメリカのフィラデルフィアにあるスターバックスで「人種差別」問題が発生した。
その流れはこんな感じ。
2人の黒人男性が知り合いと待ち合わせをするため、その店に入った。
商品を買わない2人に対し、店側は「営業妨害」だと訴えて退店を求めた。
2人がそれを拒否すると、店側は警察に連絡し、駆けつけた警官が2人に手錠をかけて警察署へ連行した。
そのとき店内にいた客がその様子を撮影し、SNSに投稿するとすぐに大拡散し、世論の怒りが集中して大炎上に発展する。
スターバックスはすぐに謝罪したが、抗議が殺到して不買運動まで起こされてしまう。
これが世界的な大ニュースになって、ブランドイメージもガタ落ちだ。
事件後、たくさんの人がその店舗に集まり、抗議活動をおこなった。
in a place called Philly yesterday…the PEOPLE…came together for…the PEOPLE. it was powerfully and peacefully beautiful. ✊🏽👊🏽 1❤ pic.twitter.com/CUYHy37vkE
— ursula rucker (@urucker) 2018年4月16日
これは重大な結果を招いた。
スタバのジョンソンCEO(最高経営責任者)は、「我々は間違いを犯した」と正式に謝罪した。
4月にこんな事件があったにもかかわらず、5月にもまた、スターバックスの店舗で人種差別行為があった。
中南米系の客が飲み物を注文したところ、そのカップに、とんでもないことが書かれていたのだ。
CNNの記事(2018.05.18)から。
同僚が買ってきた飲み物のラベルを見たところ、従業員に告げてあった本人の名前ではなく、メキシコ系移民を侮辱する「Beaner(ビーナー)」という単語が印刷されていたという。
ドイツのスタバも同じことをしていた。
カップに韓国人を侮辱する「つり目」を描いて、人種差別問題に発展した。
この店は最初の対応を誤った。
客が店に問い合わせると、店側は50ドル分のギフトカードをわたすことを提案。
これに不満を持った客がツイッターに写真付きで投稿すると、これまた世界的なニュースになってしまった。
50ドルのギフトカードで、人種差別行為を「無かった」ことにしようとする発想は甘すぎる。
こうした人種差別騒動で大きなダメージを負ったスターバックスは、全米8000店舗を休業して、従業員研修を行うことになった。
CNNの記事(2018.05.29)から。
それぞれの店舗には研修用ツールのセットが届けられている。人種的偏見を理解するだけでなく、米国の公共の場における差別の歴史を知ることにも重点を置いた内容になるという。
約17万5,000人の従業員がこのトレーニングを受けたという。
この休業による売り上げへの影響は、2000万ドル(2億1500万円)になるとみられる。
でもこれは、このときの売り上げだけだ。
世界的なイメージダウンをふくめ、スタバ全体が受ける損害は想像を超える。
このすべては、フィラデルフィアのスタッフの対応ミスから始まった。
米スターバックスは2015年に、人種差別をなくそうと「レース・トゥゲザー(Race Together)」というキャンペーンを行った。
バリスタがドリンクのカップに、「Race(人種/民族) Together(共に)」と書いて客にわたす。
スタバ側はそれで、バリスタと客や客同士が人種問題について語り合ってもらおうと考えた。
Race Togetherの考え方はよかったのだけど、「スターバックスで人種差別を話したくねえ!」という客が多くて、このキャンペーンは大失敗に終わった。

スターバックスのホームページから。
人種差別で大きな代償を払ったのは、スターバックスだけじゃない。
最近では、女優のロザンヌ・バーさんもその1人。
アメリカの人気コメディードラマ「ロザンヌ」に主演していたバーさんは、ツイッターに人種差別的な投稿をしてしまう。
あるアフリカ系アメリカ人に対して、「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)と猿の惑星(Planet of the Apes)に赤ちゃんができた」とからかう。
ツイッターはアメリカでも、優秀な”バカッター(バカ発見機)”だった。
このツイートには抗議が殺到。
バーさんはあわてて謝罪と投稿の削除をしたけれど、それだけではすまない。
主演していたドラマも削除されてしまった。
AFPの記事(2018年5月30日)から。
それでもABCにとっては十分ではなく、エンターテイメント部門のチャニング・ダンジ社長は声明で、バーさんのツイートは「忌まわしく、大変不快で、われわれの価値観にそぐわない」と批判。番組を打ち切ると表明した。
この話には続きがある。
予想外の事態に驚いたバーさんは、今度は「あの投稿は、睡眠薬を飲んだ後にしたものだった」というツイートをする。
すると、製薬会社(サノフィ)から「薬の副作用で”人種差別”なんてねーよ」と、同じくツイッターでツッコまれた。
AFPの記事(2018年5月31日)
すべての治療薬には副作用がありますが、サノフィの医薬品の中で、人種差別が副作用として知られているものは一つもありません」と説明。この投稿は瞬く間に話題を呼んだ。
人種差別問題を起こしておいて、50ドルや睡眠薬で解決しようとしてもムリ。
とても大きな代償を払わないといけなくなる。
勢いでツイートしてしまう人は、特に気をつけよう。
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