「はだ色」さえなくなった今の時代、人種差別は絶対にやってはいけない。
人種差別問題を起こすと、その人間や関係する人たちが、とんでもなく大きな代償を払わないといけなくなる。
100の精神論より1つ具体例。
今回はそんな事例を知っていこう。
そうした人たちを反面教師にして、自分はそうならないようにしよう。
その場の判断を間違えてツイートすると、削除しても取り返しのつかないことになる。
今年4月、アメリカのフィラデルフィアにあるスターバックスで人種差別問題が起きた。
スタバの店員が黒人男性のトイレ利用を断り、警察に通報してしまう。
駆けつけた警察官はその黒人男性を逮捕する。
その様子をMelissa DePinoという女性が撮影して、ツイッターに投稿した。
*以下、3つの動画がうまく再生できないときは、元のツイートにアクセスして見てください。
@Starbucks The police were called because these men hadn’t ordered anything. They were waiting for a friend to show up, who did as they were taken out in handcuffs for doing nothing. All the other white ppl are wondering why it’s never happened to us when we do the same thing. pic.twitter.com/0U4Pzs55Ci
— Melissa DePino (@missydepino) 2018年4月12日
この後スターバックスはすぐに謝罪したのだけど、抗議が殺到して不買運動まで起こされてしまう。
これが世界的な大ニュースになって、スタバのイメージもガタ落ち。
踏んだり蹴ったりで、散々な目にあう。
事件後、たくさんの人がフィラデルフィアのスタバに集まって、抗議活動をしていた。
in a place called Philly yesterday…the PEOPLE…came together for…the PEOPLE. it was powerfully and peacefully beautiful. ✊🏽👊🏽 1❤ pic.twitter.com/CUYHy37vkE
— ursula rucker (@urucker) 2018年4月16日
「泣きっ面にハチ」というか「溺れた犬を棒で叩く」というか、「人種差別の店」というレッテルを貼られたスタバは、”ぶったたかれモード”に入る。
「このスタバの店舗でも人種差別があった!白人にはトイレを使わせたのに、黒人は断った!」と告発するツイートが投稿され、拡散されてしまう。
Here we go again.
Meet Brandon Ward. He was @Starbucks – about to make a purchase – and needed to use the restroom.
They denied him the code.
He then finds a white man, Weston, who came out of the restroom.
He had not made a purchase but they gave HIM the code.
RACISM. pic.twitter.com/2UGZ20aOtF
— Shaun King (@ShaunKing) 2018年4月16日
4月にこんな事件があったにもかかわらず、5月にもまた、米スターバックスの店舗で人種差別行為があった。
中南米系の客が飲み物を注文したところ、そのカップに、とんでもないことが書かれていた。
CNNの記事(2018.05.18)から。
同僚が買ってきた飲み物のラベルを見たところ、従業員に告げてあった本人の名前ではなく、メキシコ系移民を侮辱する「Beaner(ビーナー)」という単語が印刷されていたという。
ドイツのスタバも同じことをしていた。
カップに韓国人を侮辱する「つり目」を描いて、人種差別問題に発展した。
この店は最初の対応を誤った。
客が店に問い合わせると、店側は50ドル分のギフトカードをわたすと言い出す。
これに不満を持った客がツイッターに写真付きで投稿すると、これまた世界的なニュースになってしまった。
人種差別を、50ドルのギフトカードで収めようとするのは甘い。
こうした人種差別騒動で大きなダメージを負ったスターバックスは、全米8000店舗を休業して、従業員研修を行うことになった。
CNNの記事(2018.05.29)から。
それぞれの店舗には研修用ツールのセットが届けられている。人種的偏見を理解するだけでなく、米国の公共の場における差別の歴史を知ることにも重点を置いた内容になるという。
約17万5,000人の従業員がこのトレーニングを受けたという。
この休業による売り上げへの影響は、2000万ドル(2億1500万円)になるとみられる。
でもこれは、このときの売り上げだけ。
世界的なイメージダウンをふくめて、スタバ全体が受ける損害ははかり知れない。
このすべてはフィラデルフィアのスタッフの対応ミスから始まった。
米スターバックスは2015年に、人種差別をなくそうと「レース・トゥゲザー(Race Together)」というキャンペーンを行った。
バリスタがドリンクのカップに、「Race(人種/民族) Together(共に)」と書いて客にわたす。
スタバ側はそれで、バリスタと客や客同士が人種問題について語り合ってもらおうと考えた。
Race Togetherの考え方はよかったのだけど、「スターバックスで人種差別を話したくねえ!」という客が多くて、このキャンペーンは大失敗に終わった。
スターバックスのホームページから。
人種差別で大きな代償を払ったのは、スターバックスだけじゃない。
最近では、女優のロザンヌ・バーさんもその1人。
アメリカの人気コメディードラマ「ロザンヌ」に主演していたバーさんは、ツイッターに人種差別的な投稿をしてしまう。
あるアフリカ系アメリカ人に対して、「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)と猿の惑星(Planet of the Apes)に赤ちゃんができた」とからかう。
ツイッターはアメリカでも、優秀な”バカッター(バカ発見機)”だった。
このツイートには抗議が殺到。
バーさんはあわてて謝罪と投稿の削除をしたけれど、それだけではすまない。
主演していたドラマも削除されてしまった。
AFPの記事(2018年5月30日)から。
それでもABCにとっては十分ではなく、エンターテイメント部門のチャニング・ダンジ社長は声明で、バーさんのツイートは「忌まわしく、大変不快で、われわれの価値観にそぐわない」と批判。番組を打ち切ると表明した。
この話には続きがある。
予想外の事態に驚いたバーさんは、今度は「あの投稿は、睡眠薬を飲んだ後にしたものだった」というツイートをする。
すると、製薬会社(サノフィ)から「薬の副作用で”人種差別”なんてねーよ」と、同じくツイッターでツッコまれた。
AFPの記事(2018年5月31日)
すべての治療薬には副作用がありますが、サノフィの医薬品の中で、人種差別が副作用として知られているものは一つもありません」と説明。この投稿は瞬く間に話題を呼んだ。
人種差別問題を起こしておいて、50ドルや睡眠薬で解決しようとしてもムリ。
とても大きな代償を払わないといけなくなる。
勢いでツイートしてしまう人は、特に気をつけよう。
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