かわいそうな韓国のスポーツ選手②やっぱ日本と違う”応援文化”

 

「何やってんだよ、おまえはよ~」と試合や競技のあと、スポーツ選手がネットでたたかれることはどこの国でもある。
でも日本人のボクから見ると、韓国はやり過ぎだ。
ネットの強烈なバッシングで、インスタグラムやツイッターなどの閉鎖に追い込まれる韓国のスポーツ選手は珍しくない。
前回、アジア大会・男子サッカーの試合でマレーシアに負けたあと、インスタグラムを非公開にした韓国人選手のことを書いた。

そんなスポーツ選手は2016年のリオ五輪のときもいた。
女子バレーボールのパク選手も「じゅうたん爆撃のようにあふれる非難を受け(中央日報)」、SNSアカウントを非公開に切り替えたという。

韓国の大学教授(スポーツ科学)は中央日報の記事(2016年08月18日)で、韓国の「歪んだ応援文化」についてこう話す。

「非難する人々の立場では痛くも痒くもないが、標的になった選手はその後遺症が何年も続くことがある。選手がソーシャルメディアのアカウントを非公開に切り替えるのはよっぽどのこと」

最善を尽くしても負ければSNSで非難殺到=韓国

 

でもこの2年後、2018年の平昌五輪でもっとひどいことが起きた。
今年2月に行われた平昌五輪では、スピードスケート女子代表のキム・ボルム選手が日本に衝撃をあたえる。
国民から猛バッシングを受けたキム選手はSNSアカウントの閉鎖に追い込まれただけではなく、マススタートの競技後、リンク上で国民に”土下座謝罪”した。

産経新聞の記事(2018.2.25)

「土下座は自分の言動を韓国国民に謝るため。ごめんなさいという思いしかありません…」と絞り出すのが精いっぱいだった。

氷上の“土下座”で韓国世論が軟化 “魔女狩り”受けたキム・ボルムに代わる標的は… 

 

このときキム選手は銀メダルをとっている。
銀メダリストが”公開土下座”をするのは、日本では考えられない。
日本のテレビや週刊誌もこの韓国特有と言える出来事を取り上げて、背景にある韓国社会の考え方や価値観を解説していた。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

【韓国人の性格】日本人もあ然。”国民の敵”にされた五輪選手。

 

SNSアカウントの閉鎖と”土下座”謝罪のあと、キム選手と母親は精神科の病院に入院してしまう。
ここまでくると、「選手がかわいそう」という言葉だけではすまない。
韓国の大学教授が言った「私たちの歪んだ応援文化」は、今も変わっていないらしい。

こんなキム選手を知っていたから、アジア大会の準決勝で、日本を相手にオウンゴールをしてしまった韓国の女子選手には心の底から同情するしかない(前回の記事を参照)。
でも、韓国の女子サッカー選手の不安は別のところにあった。

朝鮮日報の記事(2018/08/29)で韓国代表のイ・ミナ選手がこんな話をしている。

「男子サッカーはうまくできなければバッシングされるけど、だからと言って関心を持たれなくなるわけではありません。女子サッカーが注目されるには、とにかくいい成績を挙げなければならないと、代表選手はみんな分かっています」。

サッカー女子:韓国、準決勝で日本に惜敗=アジア大会

 

国民からの期待や関心がなかったら、バッシングを受けることもない。

でも韓国のスポーツ選手にとって、注目されないということは、バッシングされるより辛いことらしい。
国民に注目されないとプロ選手としてやっていくのがむずかしいけど、注目されると、今度はバッシングと戦わないといけない。

日本のスポーツ選手も似たようなものだけど、韓国のほうがもっと激しいと思う。
一般的に日本人は冷静だけど、韓国人は感情的で激しいから。
ときどき韓国のスポーツ選手がかわいそうになる理由がこれ。

「愛の反対は、敵意ではなくて無関心です」

マザー・テレサがそんなことを言ったらしいけど、韓国のスポーツ選手は無関心や敵意と戦わないといけない。
でも日本戦で勝てば、その両方をクリアできる。

 

といっても「とにかく日本に勝てばいい」というほど、韓国は単純ではない。
国民が満足する勝ち方をしなければ、選手は評価されないのだ。

今回のアジア大会では、全員プロ選手でチームを結成した韓国代表が、決勝戦で日本を破って金メダルを獲得した。
でも国民からは、まったくといっていいほど歓迎されていない。

日本に3-0で勝ったのだけど、韓国民はそれでは不満だった。

中央日報の記事(2018年09月03日)

世論の雰囲気は歓呼に変わらなかった。プロ・アマ選手混合の台湾に敗れ、社会人野球選手だけの日本にも快勝できなかったからだ。

<アジア大会>韓国野球代表、金メダル獲得も歓迎なし…「怖くて記事も開けない」

優勝して金メダルをとったけど、「日本を圧倒できなかった」ということで韓国の世論は冷たい。
それで韓国選手は、「記事の見出しを見るだけで怖くなり開けなかった」という状態になってしまう。

 

優勝したけど選手に批判が殺到したことは、朝鮮日報も記事(2018/09/03)にしている。

むしろ銀メダルの日本代表や銅メダルの台湾代表たちの表情の方が韓国代表たちよりも明るかった。
インターネット上は韓国代表たちに対する「十字砲火」状態だった。

野球:「全員プロ」韓国、日本破り3連覇したのに批判殺到=アジア大会

 

日本の社会人チームに、全員プロの韓国チームが勝つのはあたりまえ。
それで選手が兵役免除されることに、国民の間で不満があったらしい。

そういう事情をふくめても、ネットを見ると、韓国人との違いを感じた日本人は多い。

・韓国は何のためにスポーツしてるんだろう
・勝った時には喜べば良いのに
そして負けた時には素直に悔しがれ
・なんかもう思考パターンが全然違うんだなと感じる
・韓国国民も金メダルのチームを歓迎をしてあげればいいのにね。
・そりゃスポーツ選手がリスペクトされないわけだよ

 

日本には「結果はダメでも、がんばったらそれでいい」という応援文化がある。
これはこれで、甘いのかもしれないけど。

でも韓国では、あくまで結果を求められる。
それが「最善を尽くしても負ければSNSで非難殺到」という記事や「とにかくいい成績を挙げなければならないと、代表選手はみんな分かっています」という悲壮な言葉につながる。

選手を追いつめ、専門家も非難する韓国の「歪んだ応援文化」や結果至上主義は、きっとこれからも変わらない。
SNSの非公開に追い込まれるスポーツ選手はまた出てくる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。