TWICEの紅白出場。日本の社会は公平/韓国の報道は行き過ぎ。

 

TWICE(トゥワイス)の紅白出場おめでとう!
フルで聞いたのは一曲もないけど、とにかく出場おめでとう。

いまの日本では、韓流に対してビュービューと逆風が吹いている。
先月10月、韓国は海上自衛隊に「旭日旗を降ろせ」と非礼&非常識な要求をしてきた。
さらに韓国の最高裁判所は、1965年の日韓協定をひっくり返して、日本企業に賠償金の支払いを命じる。
そして今回のBTS・原爆Tシャツ騒動だ。

傷口をつくって広げて塩をぬったのだから、日本で嫌韓感情が広がっても仕方ない。

 

TWICEの紅白出場は確実視されていたけど、「原爆Tシャツ」が出てきたせいで、それが吹き飛ばされる可能性が急浮上する。
国民の受信料で成り立っている「みなさまのNHK」が、日本の世論を無視できるわけない。
それでNHKが頭を悩ませている、という日本のマスコミ報道はきっと正しい。

TWICEが紅白に出場できるかどうかは、韓国も注目していた。
朝鮮日報の記事(2018/11/12)から。

日本を刺激する要因が何もない韓国のガールズグループまで出演中止になれば、これは韓国大法院(最高裁判所に相当)の強制徴用賠償判決を理由に日本が韓流全体の制限に乗り出すシグナルとも解釈できる。

徴用工判決影響? BTSに続きTWICEも日本のテレビ出演に暗雲

 

でも、結果はOK。
TWICEは出場を決めたけど、BTSは落選。
同じ韓流だから、結果的にその違いが際立ってしまった。

 

 

紅白出場が決まったあと、朝鮮日報は安どのため息をつく(2018/11/14)。

TWICE 「嫌韓」乗り越え紅白出場決定=2年連続

 

「TWICEが嫌韓という険しい山を乗り越えた」というハンニバル的な見方はできる。
でも、韓国が考えていたほど、日本の嫌韓は深刻ではなかったという見方もできる。

日本にはいろいろな考えの人がいるから。
韓国のマスコミは、日本では右翼傾向や韓国に対する差別的な空気が広がっていると書くけど、TWICEは選ばれたではないか。
韓国の報道には過剰なところがある。

 

たしかにいまの日本には嫌韓の空気があるけれど、それでもNHKはふところの深さを見せた。
TWICEだけなら世論の反発も少ない、と見込んでいるはず。

日本人が怒ったのは韓国ではなくて、原爆Tシャツの着用だ。
そういう問題行動を起こさなかったら、韓流アーティストの紅白出場はかまわない。
日本の社会はそれだけフェアでもある。

 

このことは、テレビ局と日本政府の考えは別ということも示している。
韓国最高裁の判決を、日本政府は「断じて受け入れられない」と強調したけど、テレビ局は、問題がなくて実力のある韓流アーティストを歓迎している。
NHKは、政府の意向に沿って人を選んだわけではない。

でも、TWICEが落選していたら、こんなことを言っても説得力はなかった。

 

象を連れてアルプス山脈を越えるハンニバルの軍(紀元前3世紀)

 

それと同時に、韓国メディアの報道は正確さに欠いていたり、行き過ぎていたと言うことができる。
BTS騒動についてこんな報道があった。

中央日報(2018年10月29日)

“嫉妬した”日本、防弾少年団の揚げ足取り? 原爆Tシャツ「非常識」

中央日報(2018年11月12日)

なぜBTSがスケープゴートにならなければならないのか

 

朝鮮日報(2018/11/11)

偏狭な日本のテレビ局、防弾少年団の出演が相次ぎ白紙に

 

東亜日報の社説(2018/11/12)

BTSに徴用判決の報復をする日本、「指導国家」の資格はない

 

ハンギョレ新聞(2018/11/13 )

K―POPや韓国の歌手に対する日本メディアのネガティブな報道が近ごろ相次いでおり、極右団体の嫌韓デモなどと相まって反韓・嫌韓の動きにつながるとの懸念が出ている。

日本メディアが嫌韓あおる? K―POP巡りネガティブ報道相次ぐ

 

すべて韓国社会に大きな影響力のある全国紙だけど、「原爆Tシャツを着ていたBTSメンバーの責任で、今回の事態を招いた」という報道はない。
日本を悪者にして、責任転嫁をするものばかりだ。

 

日本は世界の韓流ブームに嫉妬しているから。
日本はBTSを嫌韓の犠牲(スケープゴート)にした。
BTSを主演させないのは、日本のテレビ局の心が狭いから。
徴用工訴訟での敗訴を、BTSの主演キャンセルで「文化報復という幼稚な方法で表出した(東亜日報)」。

日本社会の嫌韓や反韓流のせいで、BTSがテレビに出られなくなった、という報道ばかり。
ちなみに日本の全国紙について言えば、報復・偏狭・嫉妬なんて言葉を使って、韓国側を責める新聞はひとつもなかった。少なくともボクが見た限りでは。

でも、朝鮮日報の言う「日本を刺激する要因が何もない韓国のガールズグループ」が選ばれたことで、こんな韓国的な報道は信頼性を低下させた。
韓流はウェルカム、でも反日はノーサンキューなのだ。

 

 

きょう中央日報にこんな記事(2018年11月15)があった。

日本では嫌韓や反韓流が広がっているけれど、地上波テレビのゴールデンタイムで、韓国人の料理人を紹介していた。
ボクは観てないのだけど、新大久保で韓国料理をつくる「オモニ(お母さん)」の人たちらしい。
韓国人記者はこの番組に注目する。

放送そのものは非常に敏感な時期に行われた。(中略)放送中止も考えるという選択肢もあっただろうが、TBSはこの番組を予定通り放送した。

BTS非難の中、日本のテレビに登場したタッペクスクおばあさん

 

くり返しになるけど、多くの日本人が問題視したのは「原爆Tシャツ」で韓流や韓国ではない。
日本人アーティストが原爆Tシャツを着ていたら、もっと叩かれる。
問題行為をした人にはペナルティーをあたえるけど、地道にがんばっている人は評価する。

日本の社会が素晴らしいとは言わないけど、それぐらいの冷静さや公平性はある。
TWICEの紅白出場はその一例だ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。