日本と韓国の残酷な違い。安倍首相の能力と文大統領の善意

 

最近、日本と韓国で明暗が分かれている。
原因はリーダーにある。

日本の安倍首相はこのところ調子がいい。
安倍政権の支持率は上昇を続け、読売新聞社がおこなった世論調査によると、最新の支持率は53%で過半数を超えた。
くわしいことは読売新聞の記事(2018/11/25)をどうぞ。

内閣支持率、4ポイント上昇53%…読売調査

去年の4月ごろは「モリカケ爆弾」という地雷を踏んで、支持率は30%前後と瀕死の状態だったのだけど、不死鳥のようによみがえった。

でも光がまぶしいほど、影は目立ってしまう。
韓国の文大統領は絶不調。
中央日報はあからさまに安倍首相と比較している。

文在寅政府20代支持率、6カ月で85%→56%…安倍政権と対照的

 

安倍首相は20代に強い。
20代の支持率は63%で、これは全体平均より10%以上高い。

これに対して、韓国では若者の「文離れ」が進んでいる。
文政権への支持率はすべての年齢層で下がっているのだけど、20代の下落率が一番高い。

この違いは経済だ。
文政権の経済対策は全然ダメで、韓国の若者には仕事がない。
日本は反対で人手不足が問題になっている。
それで日本企業の就職セミナーには、数千人の韓国の大学生が殺到することになる。

韓国のホープレス社会については、中央日報の記事(2018年11月23日)にくわしく書いてある。

苦難の韓国青年たち…22%は職がなく20%は借金経験

 

文政権もいろいろと手は打っているのだけど、結果が出ないのだ。
世界史に名を残すローマの軍人で政治家のカエサルはこう言った。

「何かを生み出す行動でなければ、行動とは言えない」

この意味で文大統領は何も行動していない。
それが安倍首相との差を生み出している。

 

 

朝鮮日報の記事(2018/11/25)は残酷だ。

文在寅政権は安倍首相の成功に学べ

経済は数字にあらわれる。
現在の日韓を比べたら、安倍政権のとった経済対策がはるかに効果的だったことは疑いようがない。
この記事ではそのポイントを3つ挙げている。

まず安倍首相は政治的理念や傾向ではなく、実用性を取った。

首相が初めのころに唱えたスローガンは「戦後レジームからの脱却で美しい国を作る」だった。
これは韓国から見ると「簡単に言えば歴史美化だ」となる。
でも安倍首相は次第に「問題は経済にある」という点に気付いて、理念よりも現実を重視するようになった。
靖国参拝をしなくなったのもこの理由だろう。

 

第二・第三のポイントは人事。
安倍首相は自分の理念とは違う人でも、能力があればその政治家を要職に起用した。
朝鮮日報の記事では「敵と手を取り合うこともいとわなかった」と書いている。
それと民主党政権時代の官僚もうまく活用している。

文大統領はこの点で正反対だ。
文政権は前政権時代の官僚を「積弊(弊害)」と呼んで排除してしまった。
能力のある人間も「害」とレッテルを貼って追い出してしまったのだから、韓国の若者の「22%は職がなく20%は借金経験」という現実は来るべくして来たのだろう。

文大統領の決定の多くは感情にもとづいているように見える。

カエサルはこう言ったのに。

「理性に重きを置けば、頭脳が主人になる。だが、感情が支配するようになれば、決定を下すのは感性で、理性のたち入るすきはなくなる」

慰安婦問題や徴用工問題でとくにこの傾向がある。

 

ちなみに上の記事では、韓国社会にもっと冷静になって安倍首相を見るよう訴えている。
いまの韓国では「極右性向の安倍首相は憲法改正により軍国主義復活を推進している」という見方が一般的だけど、日本の軍事費は中国の5分の1程度でしかない。
しかもこのまま推移していけば、数年以内に韓国の軍事費が日本を上回ってしまう。

日本は軍国主義の復活を目指してはいないのだ。
「我々は安倍首相のことを客観視しなければならない」と朝鮮日報は警告する。
日本や安倍首相のことになると「理性のたち入るすきはなくなる」韓国人は多い。

 

安倍首相と比較されて文大統領はボロボロに言われているけれど、「単体」ではこれが強烈だった。

中央日報の記事(2018年11月06日)

文大統領、善意は無能の免罪符でない

文大統領にあるのは善意であって能力ではない。
政治家として死亡診断書を受け取ったようなものだ。
口ではいろいろと甘いことを言うのだけど、韓国の現実は「最低賃金引き上げで職場を失った人たちと閉鎖する自営業者と零細業者が続出しているだけだ」と切り捨てる。

文大統領は演説で「一人の国民も差別を受けない「包容国家」を強調した」のだけど、いまのままだと、国民全員が等しく貧しくなることでその理想が達成されてしまうかも。

中央日報は文大統領に「実力と現実感覚が伴わない善意は雲をつかむような机上の空論にすぎない」と厳しい。
でも言ってることはその通り。
政治家はキレイゴトを言わないといけないけど、それは能力の範囲内でのこと。
それ以上は無責任だ。
そのツケは国民が払わないといけないのだから。

政治で大事なことは純粋な動機ではなくて、現実としてあらわれる結果。
カエサルもこう言った。

「始めたときは、それがどれほど善意から発したことであったとしても、時が経てば、そうではなくなる」

さらにカエサルは「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」という言葉も残した。

下の記事でも書いたけど、文大統領には、お気に入りの人や意見しか見えていないような気がする。

【慰安婦問題】韓国文大統領の「被害者中心主義」の被害者たち

 

希望的観測にもとづいて、それ以外のことは排除してしまう。
そして善意やキレイなことばかり口にしているから、自分の信念に酔って行動を修正しない。
韓国紙を見ていると、政治的理念より実用性を取った安倍首相はそこが違う。

いまの日韓の明暗はそんなトップの違いに由来していると思う。

でも、こういう失敗は普通の人でもやりやすいから気をつけよう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。