【韓流人気】韓国メディアに、日本にいる韓国人が嘆くわけ

 

日本の会社で働いていて、2〜3年前に韓国へ帰国した韓国人と話をしていると、彼が「韓国メディアのせいで、困ったことがあるんですよ」とグチをこぼした。

それはたとえば、中央日報のこんな記事のこと。(2020.08.11)

韓経:漫画王国日本を占領したカカオ…「圧倒的1位になる」

韓国企業カカオの漫画・小説アプリの「ピッコマ」が、日本のアプリマーケットで売り上げ1位を記録した。
That’s all(それが全て)。
こんな瞬間的なことで「日本を占領」と表現するのは、日本人の感覚だと度を越した誇張だ。

しかし、ハンギョレ新聞も同じような記事を掲載している。(2024-02-27)

日本のお茶の間占領した「韓国式恋愛」…「第4世代韓流」が変えた日本ドラマ

しかし、きっと日本でテレビを見ている人の99%は、「韓流に占領された」ことに気づいていない。つまり、そんな事象は起こっていないのだ。

韓国メディアは読者受けを狙って、どの二郎系ラーメンも追いつかないほど、事実を「マシマシ」にして報道する傾向がある。一方、日本のメディアは事実をそのまま伝えようとする。
彼は両国のメディアを読み比べ、韓国メディアの「盛り盛り報道」が気になるようになった。しかし、そんな韓国人は例外で、ほとんどの人は自国メディアの報道しか目に入らない。

韓国にいて、「韓流が日本を占領中!」といったメディアの報道をそのまま信じている友人がいると、彼は「いや、実際はそこまでではない。韓流の人気が高いのは限られた層だけで、日本全体がそうだと考えてはいけない」と釘を刺す。
韓国メディアの報道は誤報ではないが、誇張ではある。だから、それを前提として話す知人に日本の実情を伝えると、冷水をかけて期待をしぼませることになるから、彼としては良い気分ではない。
こんな経験をした彼としては、海外で韓流ブームが起こると、韓国メディアが安易に「占領」や「席巻」といった極端なワードを使うことに不安を感じるという。
そんな韓流の「温度差」は昔からあったようだ。

 

いま行なわれているパリ五輪の開会式で、韓国にとっては「重大事件」が発生した。
韓国の選手団が入場すると、フランス語でも英語でも「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」と紹介されてしまったのだ。
北朝鮮が入場した時は正しいアナウンスが流れたため、パリ五輪の開会式では北朝鮮が“2回”入場した形となる。
これに、韓国最大の全国紙・朝鮮日報が「パリ五輪開会式で過去最悪級のミス」と非難したが、不幸は終わらなかった。

朝鮮日報の記事(2024/07/29)

パリ五輪の公式インスタ、韓国だけが顔も国旗も見えないぼやけた写真…韓国ネット民憤慨「また差別だ」

韓国のネットでは、「フランスが韓国を民族差別している!」と沸騰した模様。

 

こんな韓国メディアの報道を見ていると、フランスやヨーロッパ、世界中で韓国の人気が大爆発しているかような印象を受ける。

ハンギョレ新聞の記事(2016-05-30)

韓国の人気バンド、続々とヨーロッパのロックフェスティバルに

中央日報のコラム『韓流ファン10年間で17倍…「韓流経済」に翼を付けよう』では韓流をこう絶賛。(2023.03.07)

「世界を席巻している韓流」
「世界が羨んでいるが、韓国だけが知らずにいるのが韓流」
「(韓流は)今では韓食と韓国語学習ブームを起こして世界へと羽ばたいている」

東亜日報の記事(June. 11, 2011)

K−POPフィバーに包まれたフランス

中央日報の記事(2023.04.04)

「日本語を追い越すのも時間の問題」…フランスが韓国語に魅了された理由、他にもあった

しかし、知人のフランス人に言わせると、韓流に夢中なのはごく一部だけで、フランスでの知名度で言えば『ドラゴンボール』の方がずっと上。
ドイツ人も韓国について、一般的なドイツ人は「名前を知っているだけで、特に印象はない」という人が一番多いだろうと言う。
「過去最悪級のミス」が起きた原因にも、この無関心や無知があるはずだ。
北朝鮮と韓国の違いさえ分からないフランス人はかなり多いと思われる。
だから、内外の「温度差」に戸惑う韓国人が出てくる。

 

2011年に駐日韓国大使館のウェブサイト(ヨーロッパの韓流ブーム)は、フランスでK-POPコンサートの開催がきまり、予約の受付を開始すると15分で完売し、別の日の公演も10分で全席が完売したと強調したうえで、「ヨーロッパでの韓流の根源地はフランス」と書いている。
それと同じ年、中央日報が興味深いコラムを掲載した。(2011.06.28)

フランス韓流ブームの裏

フランスにいた韓国人の記者が、「そちらでは韓流ブームがすごいそうだね?」という質問をよく受けるようになって、困っていた。
実際のところは、K-POPのコンサートが開かれた後、その記者がフランスメディアの反応を確認すると、「主要新聞・放送では言及さえもなかった」という状態でガッカリしたという。
それで韓国の知人には「なんとも言えない」、「人気があるのはあるが、韓国で期待されている状況とは少し違う」と話した。
しかし、韓国メディアはコンサートについて、「フランス主要メディアも特筆大書した」と大々的に報道していたから、知人たちもそれを信じていた。
だから、現地のリアルな事情を知る記者が、そんな期待に水を差すような返事をすると、「答える側に愛国心が不足」しているように思われ、苦しい思いをしたという。

 

韓国メディアが誇張した表現で書くから、それを信じた人と、実際に海外にいる人との間には大きなギャップが生まれる。
その板ばさみになると、相手の期待に合わせるか、それともありのままの事実を伝えるかでツライ思いをすることになる。
こんな構図は10年以上前から変わっていない。

 

 

韓国 「目次」

【韓流】訪日韓国人は多いのに、日本人が韓国へ行かない理由

韓国旅行で感じた日本人との文化の違い「食のシェアと個別」

【韓国の風習・文化】生者が死者を結ばせる「霊魂結婚式」

【ひな祭りの起源】日本・中国・韓国の文化「曲水の宴」

 

2 件のコメント

  • 韓国の記者たちの頭の中は大体以下の通りだと思います。
    -日本の恥部に関するニュースが出ると、すぐに記事を書く。
    -日本選手が不振な時はすぐ記事を書く。
    -日本選手のスキャンダルの記事が出たら、すぐに引用して記事を書く。
    -韓国人や韓国の芸能人が日本で人気を得たら、すぐに記事を書いて知らせる。

    今進行中のパリオリンピックでも日本選手の不振、日本チームの敗北は大きく報道します。
    サッカーがスペインに0-3で敗れたときは、「박살났다(完全に粉になるまでこわれたという意味)」という低俗な表現で痛快でした。
    しかし、日本の人たちが韓国の選手や韓国の芸能人が好きな場合には、日本全体がその韓国人に惚れて気を失ったというくらい好きです。韓国のマスコミは三流反日小説家たちです。

  • 韓国紙の日本語版の記事でも、表現が刺激的です。
    韓国人向けに韓国語で書かれた記事はもっとオーバーな表現がされていると思います。
    きょねん福島原発で処理水が流されたときは、すごく過激な記事が多かったのだろうなと想像します。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。