日本人といえば、昔っから「礼儀正しい人たち」と世界で評判。
たとえば明治の日本を訪れたアメリカ人のシドモアはこう言った。
「愛くるしい日本国民の微笑、比類なき礼節、上品で果てしないお辞儀と明るく優美な表情には、はるかに心よさを覚えます。」
同じく明治時代、花見の様子を見たドイツ人医師のベルツはこう感心する。
「入り乱れて行きかうすべてが、何という静粛で整然としていることだろう。乱暴な行為もなければ、酔漢の怒鳴り声もしないー行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民だ」
さて10日前、準優勝で終わったサッカーアジア杯で、日本代表がとても“らしい賞”をとったことをご存知ですか?
それはフェアプレー賞。
優秀は逃したものの、日本はアジアでもっともきれいな試合をしたと評価された。
決勝でカタールに負けた後、日本代表がロッカーを完璧に掃除して、日本語、英語、アラビア語で「ありがとう」というメッセージを残したことは、アジア杯公式ツイッターが紹介していた。
フェアプレー賞もいいけど、やっぱりほしいのは優勝だ。
いまの日本代表には何が足りないのか?
それはきっと「ずる賢さ」。
今年行われるコパ・アメリカブラジル2019で南米の国と試合をする日本代表に、森保監督は「マリーシア(ずる賢さ)」を身につけることを期待している。
サンスポの記事(2018.12.11)
日本代表から南米から学ぶべきこと…森保監督「マリーシアを身につける」
*「マリーシア」は「ずる賢さ」という意味のポルトガル語。
試合に勝つために、時間をかせぐプレーをしたり意図的にファウルをしたりするなど、ちょいとフェアプレーに反する行為のこと。
くわしいことはここをどうぞ。
コパ・アメリカは親善試合と違ってどこの国も本気で勝ちにくる。
森保監督は日本が世界の強豪と戦うことで、技術や判断力はもちろん南米のマリーシア(賢く戦うということ)を学ぶべきと強調している。
流れを読むという部分、“マリーシア”を学ぶ、よく日本では“ずる賢さ”と言われますが、色んな部分で賢さを発揮するという部分を選手にも学んでほしいし、スタッフも学ばなければいけないと思います
アジア杯が終わったあと、日本代表の試合を見ていたブラジル人のサッカー記者リカルド・セティオン氏も「マリーシア」の重要性を指摘していた。
Sportivaの記事(2019/2/10)
アジア杯の日本に足りないと感じたもの…”マリーシア(狡猾さ)”の欠如
海外の専門家の目から見ても、戦術・選手の技術・パスワークなどの客観的な力は、カタールより日本代表が上回っていた。
でも、日本は決勝で負けてしまった。
その差はメンタルという。
セティオン氏はこう書いている。
Jリーグ発足当時から、私は個人的に日本サッカーを見続けてきたが、いまだに感じるのが、ジーコが何年も前に指摘した”マリーシア(狡猾さ)”の欠如だ。
ということで、日本人や外国人のプロが、サッカー日本代表がさらに強くなるためにはずる賢いかけ引きが必要だと指摘している。
でも、「日本にはマリーシアが足りない」ということはずっと前から指摘されていた。
分かっているけど、日本人はそれを身につけられない。
ネットを見ると、「国民性の違いからそれは難しいんじゃね?」という見方が多い。
・なぜ南米やラテン系がマリーシアをできるか考えろや
そもそも物事の考え方じたい日本人と違うんだから
・常にルールを重んじる日本人には合わないし、応援する人減るんじゃないか?
・日本人には向いてないから
無理にズル賢くやらなくていいよ。
・日本人として恥ずかしいことをするな
・これ今までの外人監督ほぼ全員に指摘されてるよな
本当に日本はいい意味でのズルさが足りないんだろう
・危ないときにはファールで止めるようザックが指示したけど
あからさまで下手過ぎてイエロー連発してやらなくなった
日本人には無理
去年のW杯で日本がベルギーに逆転負けしたあと、NHKの番組で元日本代表監督のオシム氏がこんなことを言っていた。
ベルギーがおこなったカウンター攻撃は、山口蛍選手が相手選手の足元に飛びこむしか防ぐことはできなかった。
それはスポーツマンシップに反する行為だから、きっとレッドカードになっただろう。
フェアプレーを重視する日本人にとって、故意のファウルは日本人らしくない。
それで損をすると分かっていても、日本人は荒いプレーをしない。
それが日本人なのだ。
結局マリーシアは日本人の美学に反するのだ。
日本人が「ずる賢さ」を身につけるということは、サムライらしさを失うことにつながる。
でも日本が世界大会に参加する目的は優勝だから、フェアプレー賞を犠牲にしても、勝利や優勝にこだわってほしいと思う。
「フェアな精神」なら、試合後にスタジアムを掃除するサポーターにまかせればいい。
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