どの社会でも「礼(礼儀)」は大切にされていて、特に日本では、これがないと人間関係が成立しなくなる。
たとえば生徒が先生に、または部下が上司に対して、「わかった、明日までにやってやるよ」と応えたら、秩序がなくなって組織が機能しなくなる。
「わかりました。明日までにやっておきます」と言っている内容は同じだけど、礼を欠くと相手を激しく怒らせてしまう。
さて、いま韓国が「無礼だ!」と日本に怒っている。
時事通信社の記事(2019/05/22)
文大統領への対応要求「無礼」=河野外相発言を批判-韓国紙
この原因は、河野外相が記者会見で徴用工問題について「文在寅(ムン・ジェイン)大統領に責任を持って対応いただきたい」と発言をしてしまったからだ。
日本の立場からはすれば適切な発言だが、あちらの受け止め方は違った。
韓国各紙は一斉に反発し、「礼儀を欠いている!」と批判的に報道したという。
韓国日報は1面トップに「無礼な日本」という見出しの記事を載せ、日本の外務大臣が韓国の大統領を名指しして「圧迫に出た」ことは、「『外交欠礼』という指摘が出ている」と報じた。
朝鮮日報も「外交欠礼」という表現を使って河野外相を批判し、東亜日報によると韓国の当局者は「事態の解決に役立たない」と憤った。
韓国の大統領には責任を持って対応してほしいと河野大臣が言ったのは、そう言うしかなかったからだ。
日本は首を長くして韓国政府の対応を待っていた。
きょねん10月、韓国の最高裁判所が徴用工訴訟で日本企業に賠償命令を下した。
これは1965年の日韓請求権協定をひっくり返すだけはなく、国際法にも違反するため、日本としては受け入れることはできない。
それでも、日本は冷静に対応していた。
韓国政府がこれに対してどのような解決策を取るのか、その発表を待っていた。
「遅くても2018年のうちには出るのでは?」という大方の予想を裏切って、韓国政府が沈黙したまま新年になって時が過ぎて、もう令和になってしまった。
韓国は問題を解決するのではなく、実質的には放置している。
そこで日本はことし1月、この件で話し合おうと韓国に提案した(2国間協議)が、韓国はこれに応じなかった。
韓国政府は徴用工問題の解決策を発表することなく、日本の呼びかけにも応えない。日本はもう半年以上、韓国の「前向きな態度」を待っているのだけど。
韓国政府が「慎重に考えている」と言って何もしないあいだにも、原告側は日本企業の財産の現金化を進めている。
このままでは日本企業の財産が取られてしまう。
そしてやっと、この問題をとりまとめている韓国の李洛淵(イ・ナクヨン)首相が口を開いた。
しかし、それは「韓国政府ができることには限界がある」と、具体的には何もしないことを宣言も同然だった。
韓国の立場に配慮し、待ちに待っていた結果がこれだから、河野外相が「文大統領に責任を持って対応いただきたい」と行動をうながすと、韓国は反発し、「無礼だ!」という怒りが返ってきた。
しかし、日本はこれ以上待てないのだ。
韓国側は「慎重に検討する意向を明らかにした」とか「解決法を模索する努力を続けている」と、数か月前と同じことを言っているが、具体的な動きはない。
今の韓国は「無礼な日本」に怒り心頭なのだけど、でも待ってほしい。
思い出してほしいことがある。
ことし1月、文大統領が日本に対して言ったことだ。
フランスAFPの記事(2019年1月10日)
韓国大統領、「日本政府はもっと謙虚な態度取るべき」
このときの状況はさっき書いたとおりで、文大統領が問題を解決する立場にあった。
いまの徴用工問題は、韓国側が日本との約束を破ったことが原因で起きたのだから。
問題を引き起こした側が対応策を考えるべきだ。
文大統領はこの徴用工問題を念頭に、新年の記者会見で、
「韓日間には不幸な歴史があった。私はこれについて日本政府がもう少し謙虚な姿勢を持つべきだと思う」
と言って日本の政府や国民を怒らせた。
文大統領は「日本の政治家は問題を政治化している」という言葉に対しては、日本中が「おまえがな」とツッコんだ。
自分は約束を破ったにもかかわらず、守った側に謙虚であることを求める。
大統領がそんなことを言っているから、日韓関係はどんどん悪化しているのだ。
日本の感覚からすると、韓国側の「異次元の無礼」はこれだけではない。
韓国が開催する観艦式で、海上自衛隊の艦船が掲げる旭日旗が問題になると、与党議員は日本を「永遠の二頭国」と呼び、外交部(外務省)は「韓国国民の感情を考慮せよ」と要求した。
海上自衛隊の艦船が旭日旗を掲げることは、日本の法律によって決められているため、「掲げない」という選択肢はない。
そんな事情を無視して、韓国側は一方的な主張をしてきた。
日本の外務大臣が「文在寅大統領に責任を持って対応いただきたい」と発言すると、「無礼だ」「圧迫に出た」「外交欠礼だ」と一斉に怒り出す。
しかし、日本を「二等国」と呼び、約束を破った側が守った側に「謙虚な態度取るべき」と言っても韓国メディアは問題にしない。
その一方で、朝鮮日報にはこんな記事があった。(2019/05/22)
『日本は水泳大国』 駐韓大使に世界選手権への協力要請=光州市長
自分たちに必要があるときは、ためらわず日本に協力を求めてくる。
韓国はもう少し日本国民の感情を考慮し、「礼儀」を尊重したほうがいい。
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