世界は理解できるか？韓国人による韓国のための「正義」

「日本人が誇りにできる日本人」に杉原千畝（ちうね）がいる。
杉原は第二次世界大戦中のリトアニアにいた外交官で、約6000人のユダヤ人を救ったことで世界的に知られている。
と書きたいところだけど、リトアニア人やイスラエル人に聞いても「スギハラ、フー？」という状態で拍子抜けしたから、あんまり期待しないほうがいい。

杉原と彼が書きまくった「命のビザ」
杉原によって救われたユダヤ人は「スギハラサバイバー」と呼ばれる。

この功績をたたえるため、イスラエルは「諸国民の中の正義の人」という名誉ある賞を杉原に贈った。
諸国民というのは非ユダヤ人のことで、ナチスによるユダヤ人虐殺（ホロコースト）から、生命の危険をかえりみずにユダヤ人を守った人に授与されるのがこの賞。

「諸国民の中の正義の人」認定者に贈られる表彰状とメダル

この正義には疑問の余地がない。
でも正義なんてものは、価値観や見方しだいでいくらでも作ることができる。
だから世の中にはよく分からない”正義”もある。

隣国の韓国を見ると、「反日愛国」が正義の基準として確立している。
だからプサンの日本総領事館前に慰安婦像を違法に建てても、当局は黙認してしまった。
国民感情という法を超えた正義には、大統領さえ逆らうことができないから。

さて、このまえユニクロのフリースのCMが韓国で特大炎上した。
ユニクロ側はCMを公開したことを後悔しているという。（いや知らんけど）

それが下のCMで、13歳の女の子が「私の年齢の時は、どんな格好をしてたの？」ときくと、おばあさんが「I can’t remember that far back（昔のことは、忘れたわ）」と答える。

このCM、韓国ではおばあさんのセリフが「80年も前のことを覚えているかって？」という字幕になっている。
これで国民が「ユニクロは慰安婦をからかっている！」と激怒し、批判が殺到。
ユニクロ側は謝罪とCMの公開中止に追い込まれた。
韓国人に聞いたら、この抗議は”正義”と答えると思う。

黒人の女の子と白人のおばあさんの会話から、慰安婦問題を連想するのは敏感肌にもほどがある。
でも、反日がそのまま”ジャスティス”となっている社会では、これはまっとうでノーマルな反応。
オマケに言うと、韓国の人たちは正義を行うことが大好き。
中小ベンチャー企業長官（日本でいう大臣）まで「非常に腹立たしい」と公の場でユニクロを批判している。
これについては記事に書いたので、くわしいことはこれをどうぞ。

元慰安婦をバカにした？韓国のユニクロが踏んだ地雷

この字幕をつけたのは「ファーストリテイリングコリア」のマーケティングチームだ。
日本人と韓国人の比率は分からないけど、韓国人スタッフは確実にいる。
専門家集団でさえ、いまの韓国社会の空気は読めない。

慰安婦を”バカにした”CMに対して、今度はそれをバカにした動画が作られた。
韓国の大学生ユンさんがSNS上に「ユニクロ広告パロディ」という動画を公開。
そこでは「日帝時代当時の労働挺身隊強制徴用被害者」の女性を登場させて、ユンさんが「私の年頃にどれくらい大変でしたか？」と聞くと、そのおばあさんが「それほど残酷な苦しみは永遠に忘れられない」と叫ぶ。
受けねらいの大学生がノリで作ったパロディなんだろうなと思ったら、韓国の自治体から「正義の市民賞」を授けられたと知ってビックリ。

中央日報の記事（2019.11.05）で市長がその意義をこう語る。

光州市の李庸燮（イ・ヨンソプ）市長は「ある青年の覚醒した意識が歪曲された歴史を正しく立て直す契機になった。これを実直に評価し市民とともに共有することもまた、光州共同体の役割」と話した。

「慰安婦嘲弄」ユニクロ批判の大学生、「正義の市民賞」受賞＝韓国

黒人と白人女性の会話について、ユニクロ側は慰安婦問題とはまったく関係ないと説明している。
（これはボクも同感。あれでユニクロを非難するのはただの言いがかり。）
なのにそれを「わい曲された歴史」にされてしまって、それをコケにする大学生が作ったパロディ動画が市から「正義の市民」と認められた。もはやコメディ。

日本から遠く離れたイスラエルの「諸国民の中の正義の人」は理解できる。
ナチス=ドイツからユダヤ人を助けた人間は、世界が認める正義だ。
でも、隣人のやることはワケがわからん。
韓国での正義の意義や基準はどうなっているのか。
この「正義の市民」は韓国人による韓国のための正義、韓国でしか通用しない正義だから、世界の共感を得られるとは思えない。

日本人のボクには関係ないことだけど、反日がそのまま正義になるのは少々うんざり。
市長が「市民とともに共有する」とか言うと、これから韓国で正義になりたい人が続出しそうだ。