GSOMIA騒動で激怒のアメリカ、韓国の立ち場を一切無視

 

「日本の態度に変化がない限り、GSOMIA(韓日軍事情報包括保護協定)はあす終了する」

と前日まで言っていた韓国が、輸出管理強化に関して日本が何の譲歩もしなかったにもかかわらず、翌日11月23日にこれまでの強気をひるがえして、条件付きでGSOMIAの延長を発表した。

世界が文政権を理解した瞬間だ。
こんな思い付き政権と何年も付き合ってきた日本の苦労を分かってほしい。

ほとんど「するする詐欺」で終わったGSOMIA終了宣言だけど、文政権も3か月の混乱を無視して、「GSOMIAは延長しますっ!」とはさすがに言えなかった。
スタップ細胞じゃないんだから。
延長の「条件」というのは、日本が輸出管理強化の撤回に前向きな態度を見せることで、それがなければ韓国はGSOMIAをいつでも破棄することができるという。

日本側がパーフェクト・ゲーム(完全試合)と呼んだ日韓の外交戦は、韓国政府の見方では事実上、韓国の判定勝ち。
優位に立っているのは実は韓国側で、韓国国立外交院のキム・ジュンヒョク院長によると、いま韓国はいつでも日本を「斬れる」状態にある。

中央日報日本語版の記事(2019.11.25)

彼は続けて、韓国が日本に屈服したという主張に対し「(GSOMIAは)日本の姿勢を見てあしたにでも、1カ月後にでも終了できる。これは韓国が刀の柄を握って日本を待つものと考えれば良い」と強調した。

韓国国立外交院長「GSOMIA、日本の姿勢見てあしたにでも終了できる」

 

結論からいうと、それは無理。

「事実上の判定勝ち」というのは現実的には韓国の大敗で、それを決定づけたのはアメリカのすさまじいプレッシャーだった。
GSOMIAを破棄したら米韓同盟に深刻な亀裂が生まれて、在韓米軍も危険にさらされる。
国益を害する決定を許すはずもなく、アメリカの大物政治家が韓国を訪れて破棄しないようにムン政権側へ説得を続けていた。

アメリカの専門家もほぼすべてが韓国政府の判断は誤っていると批判する。
中央日報の記事(2019.11.18)

米国の専門家20人中19人「GSOMIA破棄、韓国の安全を犠牲」

直前には、もし韓国がGSOMIAを終わらせたら「パーフェクト・ストーム」(最悪の状況)に見舞われるかもしれないと文政権におどしをかける。
くわしいことはこの記事を。

「なぜ日本は助けない!」韓国の名誉を汚すムン政権

米韓の間で、「GSOMIAを終了させたら、文政権を終了させるぞ」という強烈なやり取りがあったと思う。
アメリカに睨(にら)まれて、土壇場であわせてて延長を発表した韓国が、GSOMIA破棄を口にして再びアメリカを激怒させることは考えられない。
「あしたにでも、1カ月後にでも終了できる」というのは韓国に対するアメリカのことばで、「刀の柄を握っている」のもアメリカだ。
そろそろ韓国はバーチャルからリアルに戻ってきてもいい。

 

そのアメリカは文政権の立ち場をまるで無視している。
「条件付き延長」なんてハナから認める気はなく、韓国はGSOMIAを「更新」と米国務省は表現した。

「いつでもGSOMAの効力を終了させることができるという前提で終了通知の効力を停止させることにした」と発表した韓国大統領府に対して、米国務省は「GSOMIAをrenew(更新)するという韓国の決定を歓迎する」という声明をだす。
韓日のGSOMIA延長問題は完全に終わったことで異論は認めない、ということだ。

アメリカはもう韓日の争いに関わるつもりもないらしい。
いまアメリカと韓国にあるミゾはマリアナ海溝より深くて暗い。

朝鮮日報の記事(2019/11/26)

韓国政府は韓日間の合意後「今回の協議が終わった後も、もし日本が輸出規制を撤回しない場合はいつでもGSOMIAを終了できる」と主張しているが、米国の態度は明らかにこれと大きな隔たりがある。

米「韓日間の仲裁はしない」…GSOMIA問題は決着済みという立場

ここからどう、「事実上の判定勝ち」に持ち込むかが腕の見せどころ。

 

「日本の姿勢を見て、あしたにでも終了できる」という韓国に日本も、「GSOMIAを更新するという韓国の決定を歓迎する」と言ってみてはどうか。

 

 

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3 件のコメント

  • >「日本の姿勢を見て、あしたにでも終了できる」という韓国に日本も、「GSOMIAを更新するという韓国の決定を歓迎する」と言ってみてはどうか。

    ははは、そんなこと言っても向こうがヘソを曲げて、また新たなイチャモンつけてくるだけのことです。
    向こうが「いつでも破棄できるぞ!」と言いたければ、言わしておきなさい。どうせやれやしない。
    先方のウソにいちいち反応するのは非生産的です。特に実害がなければ放置しとくべし。丁寧な無視に限る。
    日本側は、たとえ破棄されたとしてもさほどの被害はありません。今回のことで激怒しているのは米国です。
    そんな強気の発言をしていると、そのうち、自分達には何の決定権も無いことを再び思い知るでしょう。

  • でしょうね。笑。
    何か言うと上げ足を取られて反撃されるでしょう。
    これは気分で書いてみただけです。
    いまも謝罪した/しないという小さなことでもめていますし、争いの原因を提供するのは禁物です。
    基本は丁寧な無視です。

  • そうでしょうね。笑。
    きっとも上げ足をとってくるでしょう。
    これは気分で書いてみました。
    いまも謝罪した/しないという小さなことでもめていますし、現実的には距離を置いているほうが吉です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。