東京でサラリーマンをしているベトナム人が毎日使っている地下鉄で、こんな日本人らしい姿を見て思わず写真にとってSNSに投稿していた。
酔っているのか分からないけど、確実に夢の中にいる。
この写真には「席を独り占めしてうらやましい」「日本は安全だ」「日本人はすごく働くからいつも疲れている」といったコメントが寄せられていた。
これがベトナムだったら、ハッと気づいたときには財布やスマホなど貴重品一式がきれいになくなっている。
こんな感じに、電車や地下鉄で寝ている日本人を見て驚く外国人はけっこう多い。
そんなところで無防備に休息がとれるのも、世界最高水準の治安の良さがあるからこそ。
さらにいえば、海外の辞書に日本の社会現象「Karoushi」が載るほどの過酷な労働環境のせいでもある。
このベトナム人と同じく、東京で毎日地下鉄に乗っているアメリカ人のサラリーマンも、座ったまま熟睡している日本人をよく見ると言っていた。
でも、降りる駅に近づくとみんな眠りから覚めて、駅名を確認して当たり前のように降りて行く。
アメリカ人の彼ははじめ、そんな日本人が別の生き物に見えたらしい。
でもいまはその気持ちが分かる。
サーチナの記事(2020/01/04)では、訪日ロシア人がこんな様子にビックリしている。
日本では豊かな人もそうでない人も地下鉄を移動手段として利用していて、しかも年齢もあらゆる世代に利用されていたことに驚いたという。
ロシア人も日本を訪れると「驚く」らしい、ロシア人の目に映った日本=中国
日本の地下鉄は利用する層がとても広いのだ。
金持ちも生活の苦しい人も同じように並んで乗車するし、車内には子供からお年寄りまでいる。
こういうことが印象的だというのはロシアの場合、リッチな人は自家用車やタクシーに乗って移動するから、庶民の足である公共交通機関には縁がないということか?
10年ぐらい前だけど、タイやバングラデシュでも鉄道を利用するのはもっぱら庶民で、金持ちは列車に乗らないと聞いた。
少し話はそれるけど、アメリカ人やブラジル人も日本の都市にはスラムがないし、貧富の差がほとんど分からないと言う。
最近は国内で格差が広がっていると指摘されるけど、海外に比べれば日本にはまだまだ平均的な平等がいきわたっている。
また上のロシア人旅行者は、日本の地下鉄では飲み食いする人も携帯電話で話す人もいないことにも驚いている。
知り合いのインドネシア人やトルコ人も同じ感想を持っていて、日本の電車や地下鉄の静けさは不自然で違和感を感じるレベル。
2年まえに京都で知り合ったイスラエル人旅行者に日本の印象をたずねたときも、日本を旅行していると、各地で「リスペクト」を感じると話していた。
東京でも静岡でも京都でも、どこに行っても電車や地下鉄で静かにしている。
そんな様子から、日本人の他者への敬意や配慮がよく伝わるという。
これも一種の以心伝心か?
20世紀前半の有名な歴史学者・津田 左右吉(つだ そうきち)は日本人の価値観や考え方を知りたかったら、いまの生活からそれを探るよう提案した。
過去のそれぞれの時代の生活において日本精神がはたらいた如く、現代には現代の生活においてそれがはたらいている。それを見るのが日本精神を明かにする最も適切な方法である。
「日本精神について (津田 左右吉)」
名誉や自己犠牲といった武士道も日本人の精神だけど、いまのものではない。
現代の日本精神は地下鉄や電車の中を見ればわかる。
津田左右吉(明治6年 – 昭和36年)
戦前のいわゆる「皇国史観」を否定したことで弾圧され、戦後はそのことで日本史学界の政治的主流となった。
おまけ
タイの首都バンコクの様子
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