前回の記事では、日本製品不買運動について韓国側の主張をほぼ一方的に伝えてしまったから、公正を期すために今回は日本の立場を中心に書いていこう。
きょねん7月、日本が貿易管理上の優遇国から韓国を除外すると発表したことに激怒した文大統領は、「(日本には)二度と負けない」、「加害者である日本が、盗人猛々(たけだけ)しい」と国民の反日感情に火を点けるから、日本製品不買運動が激化した。
それから1年が過ぎたいまの韓国社会は、「『メードインジャパン』の購入を避ける人が多く、反日感情も相変わらずだ。」と中央日報が書いたとおり。
韓国の政治家やメディアが敵意むき出しで呼ぶ「日本の経済侵略」について、当時の世耕産業相はそうなった過程をツイッターでこう説明した。
日本が優遇しないと「差別的だ」と怒り出す韓国もどこかおかしい。
それはともかく、韓国の管理体制に問題があったから日本が何度も対話を求めたのに、韓国側が無視したことで両国の信頼関係が崩れてしまったという。
もちろんこれだけが理由ではないけど、これが「経済侵略」の引き金となったことは確か。
韓国の反日と日本の嫌韓はほぼイーブンで「どっちもどっち」として語られることが多いけど、日本では100を超える自治体が嫌韓運動に加担することはない。
韓国の地方自治体の首長らによる日本の措置に反対する糾弾大会が開かれた。日本の措置に対応する連合体も発足し、約100の地方自治体では日本製品の購入や公務員の訪日中断を掲げた。
前回の記事でも載せたけど、これはソウル地下鉄が車両に貼った「反日ステッカー」。
画像:Ho Yuchih
日本の公共交通機関が乗客に「嫌韓」を訴えることは絶対にない。むしろそんなことをしたら、乗客から批判が殺到するはずだ。
これは木浦市にあった「ボイコット・ジャパン」ステッカー
国を挙げての熱心な運動の成果は確実に現れている。
朝鮮日報の記事(2020/06/28)
韓国で日本製品の不買運動が広がってから1年となるが、日本車の苦戦が続いている。
不買運動で苦境の日本車 ホンダ営業益9割減・日産は撤退へ=韓国
日本を「盗人猛々しい」とののしった先ほどの文大統領の言葉は国内向けのものだけど、今の時代、隣国の言動はすぐに日本へ伝わる。
朝日新聞の記事(2019年8月2日)
「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」と強い言葉で非難した。
文大統領「日本、盗っ人猛々しい」 ホワイト国除外で
日本が対話を求めても韓国は応じなかった。
政府が韓国に対して輸出管理強化をすることになった理由については、国民のあいだにも伝わっていたから、このころ読売新聞が行った世論調査では、政府の対応「支持」する人は71%と、「不支持」(17%)を4倍以上も上回っていた。
韓国に対する政府の強気の態度はこうした民意に支えられている。
これに加えて、元徴用工訴訟では1965年の日韓請求権協定をひっくり返して、韓国は日本との合意を破り国際法にも違反した。
それに文政権は慰安婦合意も実質的に破棄している。
約束を破った側が守った側を、「加害者である日本が、盗人猛々(たけだけ)しい」と非難するのはどう考えても異常だ。
国民の反日感情を刺激して不買運動をあおった人間が、「大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」というのも変だ。
こうした隣国の言動を知れば、どうしても日本人の心に嫌韓感情が芽吹いて大きくなってしまう。しかも容赦なく肥料を投下するし。
日本人はおだやかだから、個々の国民・市民団体・公的機関や自治体が団結して全国的な嫌韓運動をすることはない。
でも、社会的にはそんな嫌韓ムードが広がっていて、それは日本にいる韓国人にも分かるから、居心地が悪く肩身の狭い思いをする人も多かったらしい。
昨年末、中央日報にこんなコラム(2019.12.06)があった。
2019年、重い嫌韓の空気
全体的に「加害者である日本」という文大統領と同じ認識で、コラムでは自分たちを被害者に設定している。
「約束を守らない国」、「韓国人は約束を守らない人たちです」と批判する“日本右翼”の主張を聞くと、「韓日は共に進まなければいけない隣国」なのに「不意打ちを食らったような気持ちになった」となげく。
そう思うなら、「盗人」呼ばわりする大統領を何とかしなさい。
それに日本で行われた世論調査では、「譲歩するくらいなら日韓関係の改善を急ぐ必要はない」と答えた人が約7割もいたのだから、「韓国は約束は守れ」と言う人が右翼ならいまの日本は右翼でいっぱいだ。
でもそれが韓国人には「重い嫌韓の空気」に感じるから、こんなため息をつく。
1年以上も続いた韓国に対する「ラベリング(labeling)」作業の結果だ。日本社会全般に韓国に対する否定的な空気が流れている。誰かが何かを約束したというわけではないが、誰もがそのように考える嫌韓の空気が日本社会を支配している。
地下鉄に「反日ステッカー」を貼ったのはだれ?
このコラムは「年が変わると韓日関係は良くなるのだろうか。」と、まるで七夕のお願いのような無責任な態度で終わっている。
つい最近、読売新聞が発表した世論調査の結果、現在の日韓関係が「悪い」と答えた人は日本で84%いて、韓国最高裁の判決は国際法違反だという日本政府の主張を支持する人は79%もいた。
「この原因は日本を敵視して国民の反日感情をあおり、請求権協定を守ろうとしない韓国文政権にある。」と読売新聞は的確に指摘する。
年が変わったところで、「日本社会を支配する重い嫌韓の空気」に変化はなし。
韓国はそろそろ傍観者でいることやめて、覚悟を決めて当事者になって問題解決に当たるころだ。
日本はこれまで日韓関係を改善するために韓国へ譲歩してきたけど、いま多くの人がそれが間違いだったことに気づいている。
反日は嫌韓を量産するし、被害者になって嘆いているだけでは日本の空気は変えられない。
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支援が私怨に? 無条件の日本支援を“許さない”韓国の対日世論
>日本はこれまで日韓関係を改善するために韓国へ譲歩してきたけど、いま多くの人がそれが間違いだったことに気づいている。(改行)反日は嫌韓を量産するし、被害者になって嘆いているだけでは日本の空気は変えられない。
これは、全く、おっしゃる通りだと思いますね。
>韓国はそろそろ傍観者でいることやめて、覚悟を決めて当事者になって問題解決に当たるころだ。
(この曖昧な日本語文章表現は、あえて外国人風に解釈しますが)私はそうは思いませんね。主語をハッキリと記してほしい。こういう稚拙で曖昧な日本語独特の文章表現・思考形式を外交の場でも採用してきたことも、ここまで日韓関係がこじれた一つの原因であったのかもしれませんよ。
「覚悟を決めて当事者になって問題解決に当たる ’べき’ ころだ、と自分は考える。」
と言うなら賛同します。
国家存続の最高資産は、誠実な国民・誠実な指導者・世界から寄せられる信頼だ。