タイのニューハーフ:世界初のCA・徴兵検査はオーディション

 

日本とタイの大きな違いは徴兵制度があるかどうか。

憲法9条のある日本であり得ないけど、タイではこの制度があって毎年4月になると、21歳の男性は適性検査を受けることになる。
でも事前に軍事科の授業を受けていたり、病気や障害のある人には徴兵制は適用されない。

そんなタイはニューハーフが多いことで有名だ。
バンコクの男子校に通っていた知人は、約30人のクラスの中に3~4人のニューハーフがいたから、“彼女たち”はぜんぜん珍しくなかったし、教室で浮いてしまう存在でもなかったと言う。

自由という国名のようにタイは本当におおらかな国。
まさに名はタイを表す。

 

タイでは手術で性別を変えてニューハーフになっても、戸籍上の性を変えることはできないから、兵役の適性検査にはニューハーフも参加しないといけない。
でもほとんどのばあい不合格となるから、実質的にはただ検査を受けに行くようなもの。

*2年間の軍人生活をパスできることも、タイでニューハーフが多い理由の一つになっているらしい。

タイでは社会全体でニューハーフに温かい目を向けているから、軍人以外ならどんな仕事も可能と聞いたことがある。
2011年にはタイの航空会社「PC Air」が世界で初めてニューハーフのCA(キャビンアテンダント)を採用して日本でも話題になった。

これがそのウワサのクルー。

 

あちらでは「レディー・ボーイ」と呼ばれている。

 

タイでは4月の徴兵検査が始まると、会場に現れたニューハーフの美しさが全国的な話題となる。
検査を受ける人にとっては人生を左右する一大事なのに、その様子をテレビカメラが中継して、お茶の間に笑いや楽しみを届けるエンターテインメントにしてしまうのが本当にタイらしい。

コロナのせいで徴兵検査が7月になったことし、話題をさらったのがこのレディー・ボーイ。

 

 

胸や体のラインを強調した、どう見ても場違いな姿をしている。

タイ人から聞いた話では、徴兵検査で“発掘”されて全国的に有名になると、テレビやCMのオファーが舞い込んでくるから、ニューハーフ本人にとって徴兵検査は大事なオーディションの意味があるらしい。
精いっぱいオシャレしてきたこの人も検査に落ちることは分かっていたはずで、ニューハーフとして絶対に負けられない別の勝負をしていたはず。

タイは日本と違って、いろいろなところがゆる過ぎる。
まーそこが大きな魅力なんだけど。

 

 

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3 件のコメント

  • > タイは日本と違って、いろいろなところがゆる過ぎる。

    上の記事のどこが「ゆる過ぎる」のですかね? 私には理解不能ですが。
    「徴兵検査に女装して行ってはならない」と法律の定めでもあるならば話は別ですが。

  • 最近、いくつかの先進国では、軍隊に入隊する際に男でも女でも区別なく間口を広げて兵士を採用するところが増えていますね。日本の自衛隊もそうです。
    徴兵制を採用している国で、女も徴兵の対象とされる国があるのでしょうか? 確か、北欧では女性も徴兵の対象となっていたと思いましたが。あとイスラエルとか。(アクション映画で見たことがあるので知ってます。)
    今後もしも、タイでも男女が同じように徴兵制の対象になったら、女装したり性転換したりして徴兵を忌避することは、できなくなるかもしれないですね。

  • タイ人から聞いた話だと、いまのところ軍人の需要は減っているようです。
    男女が対象となったらニューハーフも軍隊に行くかもしれませんが、周辺国や国内の状況が変わらなかったらいまのままだと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。